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船井総研HD Research Memo(3):コンサル業界において独自のストック型ビジネスモデルを確立

注目トピックス 日本株
■事業概要

1. 経営コンサルティング事業のビジネスモデル
(1) ズバリソリューション
ズバリソリューションとは船井総研ホールディングス<9757>オリジナルの言葉であり、「いま、実践すれば、飛躍的な業績向上を狙える、その業界における旬のビジネスモデル」を意味する。一般的な経営コンサルティングでは、経営診断を行った後にカスタマイズされた解決策の提案を行うのが常道だが、同社は逆の発想である。事前に成功するビジネスモデルを準備しておき、そのモデルに賛同するクライアントを集客していく。数あるソリューションの中から例示すれば、中古車販売業においては「低価格軽自動車に特化! 軽39.8万円専門店」、住宅業では「90日で満室になる高齢者住宅モデル」、弁護士業においては「交通事故後遺障害認定を含めたワンストップサービス」など非常に具体的である。若いコンサルタントでも、同じソリューションを何件も担当することで短期に累積経験を積むことができ、早く独り立ちできる。

(2) 業種・テーマ別経営研究会
同社のビジネスモデルの中核となるアプローチが「業種・テーマ別経営研究会」である。2017年3月末で130の研究会に6,003名の会員(有料)が、勉強会やモデル企業視察などの活動に参加している。世の中の経営者の集まりは、異業種交流会的なものが多いが、この経営研究会は業種やテーマが絞り込まれており、より実践的だ。住宅・不動産業界での研究会を例示すると、「FAST-Reform研究会」、「賃貸管理ビジネス研究会」、「高齢者・障がい者住宅土地活用研究会」、「北欧モダン住宅ビジネス研究会」、「スマートハウス研究会」など、非常に具体的かつ細分化している。既存クライアントも参加しているため、経営コンサルティングの実態や効果も口コミで伝わりやすい。ズバリソリューションを進化させる上でも経営研究会は重要な役割を果たしている。

(3) 業種別組織・早期人材育成体制
同社は業種別組織を基本としている。新卒採用を中心とした若いコンサルタントが多い中で、ズバリソリューションや経営研究会、経営セミナーなどの場数を踏むときに、業種やテーマに特化することで早期にノウハウを吸収し自立することができる。コンサルタントが新卒入社からチームリーダーに昇格するまでの期間は以前は7.1年(2013年)であったが、現在では5.4年(2016年)となっており、早期に“一人前”のコンサルタントを育成する体制に磨きがかかっている。結果として、年間5,289社のコンサルティング契約社数(前期比8.1%増、2016年度)に対して、継続的な契約関係を維持している。

上記の強みが組み合わさり、顧客が集い、信頼関係が深まり、契約が積み上がっていく、経営コンサルティング業界では独自性の高いストック型ビジネスモデルが確立されている。


2. 業種別、業務別の動向
経営コンサルティング事業を業種別に見ると、主力の3業種「住宅・不動産」、「医療・介護・福祉」及び「士業」で順調に業績を伸ばしている。「アミューズメント」は近年業界自体が停滞しており、同社の業績も下降気味だったが、下げ止まるとともにM&A仲介売上も加算された。注力業種にコンサルタントなどの経営資源を集中し、業種ポートフォリオ管理をすることにより、全社としての成長につなげた形だ。規模は小さいが成長性が高い業種としては、「人材サービス」、「環境・エネルギー関連」、「運輸・物流」がある。同社は「住宅・不動産」、「医療・介護・福祉」、「士業」、「アミューズメント」など多くの参入市場でシェアNo.1クラスの地位にあり、独走状態にある。

業務別に見ると、「月次支援(コンサルティング)」が約7割を占め、売上の中心である。1年間の契約が多く、継続率も高い。「プロジェクト(コンサルティング)」は、調査、診断やこれらに基づく提案を一定期間でレポートする業務であり、カスタマイズ性が高い。M&A案件などもここに分類される。コンサルティング以外では「経営研究会会費」が大きく、会員の増加に伴って増加している。以上の上位3業務でしっかりと成長できている。

3. ロジスティクス事業
ロジスティクス事業の中では、「物流オペレーション業務」(売上高283百万円、前期比9.4%減、17/12期1Q)がメインであり、顧客企業の物流業務の運用等を実行するサービスである。市川倉庫の閉鎖により売上・顧客数ともに減少したが、今後も期待される業務である。利益率の高い業務である「物流コンサルティング業務」(売上高68百万円、前期比56.7%増、17/12期1Q)は継続案件が堅調であるとともに、新規受注も追加し大幅増収となったため、ロジスティクス事業全体の収益性の改善にも寄与し、事業のセグメント利益で65百万円(前期比47.3%増、17/12期1Q)となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)



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