ネットイヤー Research Memo(3):大型プロジェクト一巡と不採算プロジェクトの発生により営業損失を計上
[17/06/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2017年3月期の業績概要
ネットイヤーグループ<3622>の2017年3月期の連結業績は、売上高が前期比13.2%減の5,906百万円、営業損失が206百万円(前期は146百万円の利益)、経常損失が209百万円(同143百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失が297百万円(同74百万円の利益)となり、営業利益ベースではリーマンショックでIT投資全体が冷え込んだ2009年3月期以来、8期ぶりの損失計上となった。
国内におけるIT投資は拡大基調が続いているが、同社においては前期に計上したオムニチャネル関連の大型プロジェクトが一巡し減収要因となったこと、また、前第3四半期に発生したプロジェクトトラブルの収束が遅れ、営業・制作にかかる人的リソースを振り向けざるを得なかったことから、受注活動が十分行えず、結果的に2桁減収となった。また、営業利益の減益要因の内訳を見ると、受託売上高の減少で300百万円、当第3四半期に発生したトラブルプロジェクトに関連する受注損失引当金の計上で69百万円、新サービスの開発費用で16百万円、家賃・システム開発等費用増で77百万円となった。増益要因として、既存・新サービスの収益改善で70百万円、販管費の削減で41百万円があったものの減益要因をカバーするまでには至らなかった。なお、新たなトラブルプロジェクトに関しては、技術的に新規性の高い案件への取り組みとなったため、納期遅延や想定以上の工程数の増加が発生したことが要因となっている。現状は、テスト稼働段階まできており、問題が無ければ今上期中に納品が完了する見込みとなっており、追加で費用が発生する可能性はほとんどないものと見られる。
会社別の収益動向を見ると、ネットイヤー本体の売上高は前期比19.2%減の3,950百万円、営業損失が198百万円(前期は27百万円の利益)となり収益悪化要因の主因となっている。一方、子会社のトライバルメディアハウスの売上高は前期比2ケタ増収の17億円と好調に推移した。企業のソーシャルメディアを使ったマーケティング施策への取り組みが活発化するなかで、同領域におけるマーケティング支援で多くの実績を持つ同社への引き合いが増加した。ただ、利益面ではベトナムに開発拠点を設けたことや人員体制の強化を図ったことで減益となった。rakumoの売上高は「rakumo」の導入社数が前期末比104社増の1,130社と順調に増加し、前期比で1桁増収の3億円となったが、利益は横ばい水準となった。
なお、2015年11月にリリースした小売店舗向けの集客支援アプリ「ぽぷろう」(POP作成、メッセージ・クーポン配信アプリ)については、導入店舗数が前期末の10店舗強から2017年3月末には231店舗まで拡大した。手軽に電子POPが作成でき、写真などを組み合わせた割引情報などをリアルタイムで配信できる利便性の良さが評価されているものと見られる。また、小売企業の自社運営アプリに「ぽぷろう」の機能を組み込む「ビルトインぽぷろう」を開発、2016年12月末より大手スーパーの(株)ダイエー(176店舗)に採用されたことも導入店舗数の増加に寄与した。
月額利用料は「ぽぷろう」が7,800〜13,000円、「ビルトインぽぷろう」が51,000円〜となっている。安価なため業績へのインパクトは軽微なものの、今後期待されるサービスの1つとなる。
同社では「ぽぷろう」や「rakumo」「Engage Manager」などの自社開発プロダクトや他社プロダクトのライセンス販売等の売上高を拡大し、経営の安定化を高めていく方針となっている。2017年3月期におけるこれらプロダクトの売上高は前期比1ケタ増の8億円弱と順調に拡大した。主にSalesforce Marketing Cloudや「rakumo」の増収が寄与した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<MW>
1. 2017年3月期の業績概要
ネットイヤーグループ<3622>の2017年3月期の連結業績は、売上高が前期比13.2%減の5,906百万円、営業損失が206百万円(前期は146百万円の利益)、経常損失が209百万円(同143百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失が297百万円(同74百万円の利益)となり、営業利益ベースではリーマンショックでIT投資全体が冷え込んだ2009年3月期以来、8期ぶりの損失計上となった。
国内におけるIT投資は拡大基調が続いているが、同社においては前期に計上したオムニチャネル関連の大型プロジェクトが一巡し減収要因となったこと、また、前第3四半期に発生したプロジェクトトラブルの収束が遅れ、営業・制作にかかる人的リソースを振り向けざるを得なかったことから、受注活動が十分行えず、結果的に2桁減収となった。また、営業利益の減益要因の内訳を見ると、受託売上高の減少で300百万円、当第3四半期に発生したトラブルプロジェクトに関連する受注損失引当金の計上で69百万円、新サービスの開発費用で16百万円、家賃・システム開発等費用増で77百万円となった。増益要因として、既存・新サービスの収益改善で70百万円、販管費の削減で41百万円があったものの減益要因をカバーするまでには至らなかった。なお、新たなトラブルプロジェクトに関しては、技術的に新規性の高い案件への取り組みとなったため、納期遅延や想定以上の工程数の増加が発生したことが要因となっている。現状は、テスト稼働段階まできており、問題が無ければ今上期中に納品が完了する見込みとなっており、追加で費用が発生する可能性はほとんどないものと見られる。
会社別の収益動向を見ると、ネットイヤー本体の売上高は前期比19.2%減の3,950百万円、営業損失が198百万円(前期は27百万円の利益)となり収益悪化要因の主因となっている。一方、子会社のトライバルメディアハウスの売上高は前期比2ケタ増収の17億円と好調に推移した。企業のソーシャルメディアを使ったマーケティング施策への取り組みが活発化するなかで、同領域におけるマーケティング支援で多くの実績を持つ同社への引き合いが増加した。ただ、利益面ではベトナムに開発拠点を設けたことや人員体制の強化を図ったことで減益となった。rakumoの売上高は「rakumo」の導入社数が前期末比104社増の1,130社と順調に増加し、前期比で1桁増収の3億円となったが、利益は横ばい水準となった。
なお、2015年11月にリリースした小売店舗向けの集客支援アプリ「ぽぷろう」(POP作成、メッセージ・クーポン配信アプリ)については、導入店舗数が前期末の10店舗強から2017年3月末には231店舗まで拡大した。手軽に電子POPが作成でき、写真などを組み合わせた割引情報などをリアルタイムで配信できる利便性の良さが評価されているものと見られる。また、小売企業の自社運営アプリに「ぽぷろう」の機能を組み込む「ビルトインぽぷろう」を開発、2016年12月末より大手スーパーの(株)ダイエー(176店舗)に採用されたことも導入店舗数の増加に寄与した。
月額利用料は「ぽぷろう」が7,800〜13,000円、「ビルトインぽぷろう」が51,000円〜となっている。安価なため業績へのインパクトは軽微なものの、今後期待されるサービスの1つとなる。
同社では「ぽぷろう」や「rakumo」「Engage Manager」などの自社開発プロダクトや他社プロダクトのライセンス販売等の売上高を拡大し、経営の安定化を高めていく方針となっている。2017年3月期におけるこれらプロダクトの売上高は前期比1ケタ増の8億円弱と順調に拡大した。主にSalesforce Marketing Cloudや「rakumo」の増収が寄与した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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