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ネットイヤー Research Memo(6):今後2年間で持続的成長に向けた事業構造の転換を図る

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

2. 今後の戦略について
ネットイヤーグループ<3622>は中長期的な成長戦略として、企業のデジタルマーケティング活動を支援するソリューションサービスを提供していくほか、それを補完するツールやライセンスサービスの提供、並びに自社メディアサービスの育成によって、最良のカスタマーエクスペリエンス(CX)を実現するマーケティングテクノロジー会社として、業界No.1を目指していく方針となっている。

特に、今後はマーケティングに必要なCMS※1やDMP※2、MA※3、eコマースを中心としたテクノロジーに注力していく。また、他社との差別化戦略として、システム開発に当たっては業務要件をベースとする従来のSI企業と異なり、「カスタマーエクスペリエンス要件」をベースに「売上を拡大するシステム」を開発していく。Webサイトを訪問するカスタマー目線に立った開発を行っていくというものだ。これは同社がUX、戦略、クリエイティブ、テクノロジー、データといったそれぞれの専門家が協働して働くユニークな文化があるからこそ実現できることでもある。

※1 CMS(Content Management System)…Webコンテンツを構成する画像やテキスト、レイアウト情報などを一元的に保存・管理し、サイトを構築したり編集したりするソフトウェア。広義には、デジタルコンテンツの管理を行うシステムの総称。
※2 DMP(Data Management Platform)…インターネット上の様々なサーバーに蓄積されるビッグデータや自社サイトのログデータなどを一元管理、分析し、最終的に広告配信などのアクションプランの最適化を実現するためのプラットフォーム。
※3 MA(Marketing Automation)…マーケティングの各プロセスにおけるアクションを自動化するための仕組みやプラットフォーム。顧客や見込み顧客に対して、どんなアクションをとったかを記録し、「最適なコンテンツを、最適なタイミングで、最適な方法で届ける」ことを目的に利用される。


今後の事業計画として2017年度から2018年度までの2年間は、持続的な成長に向けた事業構造への転換を進めていく方針となっている。具体的な施策としては、第1に、生産性向上のために稼働率を高める取り組みを進めていくほか、高スキル人材の獲得によって1人当たり受注単価を引き上げていく。第2に、「UX、戦略、クリエイティブ、テクノロジー、データ」といった5つの専門領域を融合した高付加価値案件を手掛け、業界内での競争力を高めていく。第3に、テクノロジービジネスで利益率の高い事業構造への転換を図っていく。このためテクノロジーグループを新設し、CMSやMA、DMP等を使ったマーケティングSIを提供できる体制を整えていく考えだ。

サービスラインナップもフルカスタマイズの大型案件対応に加えて、多様な顧客ニーズに対応するためサービスメニューを拡充する。デジタルマーケティング市場そのものは拡大しているものの、その領域が多岐に広がっており、顧客企業もどこから手を付けてよいかわからない状況となっているのが実情のためだ。同社では、顧客企業がデジタルマーケティングに取り組みやすいよう、領域ごとにサービスラインナップを細分化して導入支援を行っていく。また、CXを実現するオウンドメディア(Web、Mobile、広告)の構築や、マーケティングプラットフォーム(DMP、MA、CMS)の構築等を手掛け、効果測定とともにPDCAサイクルにより、顧客企業にとって最適なCXの実現を目指していく。

同社ではこうしたソリューションサービスを補完するサービスとして、各種プロダクトツールやライセンスサービスの販売強化に取り組むほか、自社メディアサービスの投資、育成も進めていく計画となっている。自社メディアとしては子会社のトライバルメディアハウスが2016年12月に立ち上げた「Funmee!!」が注目される。

「Funmee!!」は共通の関心事やライフスタイルを持った人々が集う情報メディアサイトとなっており、2016年12月にβ版を立ち上げ、今期中にはスマホアプリ版もリリースする計画となっている。現在はキャンプや湘南ライフといったライフスタイルのほか、ビールやパンなど合計で6つのカテゴリーで構成されており、写真や記事の作成を同社で行っている。各コンテンツはtwitterやFacebookなどと連携できるようになっている。マネタイズの方法は広告収入のほか、BtoC企業が同サイトを自社のマーケティング活動に利用する際の利用料からなる。従来、共創マーケティングプラットフォームとしてASP形式で提供していた「ココスクェア(cocosquare)」をよりオープンにした格好での自社メディアサービスと言える。カテゴリーは今後、アクセスユーザー数が増えてくれば自然と増加していくものと考えられる。当面は、アクセスユーザー数を積み上げていくフェーズとなるため、収益への貢献は期待できないものの、ユーザー数が増加しメディア価値が高まれば、広告収入やマーケティング支援サービスとして活用する企業が増え、同社の収益にも貢献してくることになる。同サイトでは将来的にBtoBやCtoC利用での新規サービスの開発も検討しているようで、今後の展開が注目される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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