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リアルワールド Research Memo(1):ハイブリッド型クラウドソーシングサービスが順調に拡大

注目トピックス 日本株
■要約

リアルワールド<3691>は、「ネットからリアルへ。」というミッションを掲げ、自社運営サイト「Gendama」「REALWORLD」「CROWD」を通じて豊かな暮らしを実現する事業を展開する。具体的には、ネットショッピングやサービスの利用でポイントを貯めることができるクラウドメディアサービス、時間や場所に関係なく、自分のペースで働くことができるクラウドソーシングサービス※、貯めたポイントを現金や電子マネーに交換することができるポイント交換サービス等を運営している。2017 年3 月末の総会員数は国内最大級の1,018 万人、流通総額は128 億円の規模に上る。同社の事業コンセプトが利用者に支持されてきたことに加え、クラウドメディアとクラウドソーシングの相互作用の仕組みやマイクロタスク型クラウドソーシングなど独自の事業モデルを確立することにより順調に業績を拡大してきた。

※群衆(crowd)と業務委託(sourcing)を組み合わせた造語。インターネットを通じて不特定多数の人に業務を委託する仕組みのこと。


1. ハイブリッド型クラウドソーシングサービスが顧客企業のニーズに適合し増収
2017年9月期第2四半期累計期間(以下、上期)の業績は、売上高が前年同期比1.5%増の2,284百万円、営業利益が同88.7%減の15百万円と増収ながら営業減益となった。もっとも、2016年9月期に発覚した不適切な会計処理(収益の期間認識の違い等)にかかる一過性の要因(経営基盤整備のためのシステム投資や監査法人交代に伴う費用など)が利益を圧迫したものの、想定の範囲内である。在宅ワークを含むクラウドソーシングの伸びが増収に寄与した。特に、在宅ワーカーの獲得が好調であったことに加え、クラウドソーシングとのハイブリッド型の提案が顧客企業のニーズにうまく適合したことが奏功した。一方、クラウドメディアは、外部要因として広告出稿量の減少や広告単価の低下が見られるとともに、不正ユーザー対策を強化したことに伴い一時的なアクティブ率の低下を招いたことにより伸び悩んだ。

2. 2017年9月期はハイブリッド型クラウドソーシングサービスの拡大により収益改善の見通し
2017年9月期の業績予想について同社は、期初予想を据え置き、売上高を前期比13.0%増の5,200百万円、営業利益を同26.3%減の150百万円と増収及び営業減益と見込んでいる。営業減益予想となっているのは、上期と同様、体制面の強化にかかる費用等を合理的に見積もったことが理由である。弊社では、足元でクラウドメディアが苦戦しているところは気になるものの、上期実績が計画どおりの進捗であったことや、順調に立ち上がってきたハイブリッド型クラウドソーシングサービスを含め、クラウドソーシングが想定以上に伸びてきたことから同社の業績予想の達成は可能であると判断している。特に、単価の高いハイブリッド型クラウドソーシングサービスの伸びと収益性の改善(仕組み化の推進等)がカギを握るものと注目している。

3. 付加価値の高いリアルワールドエコシステムの実現に取り組む
同社の成長戦略は、クラウドメディアとクラウドソーシングの一層の融合と更なる進化を図ることにより、より価値の高いリアルワールドエコシステム(「暮らすこと」「働くこと」を中心とした人が生きていくためのライフサイクル) の実現を目指すものである。特に、日本の労働力減少に対する政策である「一億総活躍社会(同一労働同一賃金)」の実現に向け、これまでのクラウドソーシングに限らず、結婚・妊娠・出産・子育てなど、様々なライフイベントに対して多様な働き方を柔軟に提供する「ワークエコシステム」の確立に注力する方針である。弊社では、今後の業績の伸びは、在宅ワークを含めたクラウドソーシングがけん引するものとみている。注目すべき点は、1,000万人を超える会員基盤や新しい技術の導入などにより、今後の市場拡大が期待されるAI(及びビッグデータ)関連の需要をいかに取り込んでいくのか、そして本格的に立ち上がってきた在宅ワーク(ハイブリッドを含め)の展開スピードをいかに速めていくのかにある。特に、在宅ワークは、単価が高いうえ、ストック型の収益モデルへの転換が期待できることから、業績の伸びや安定性の両面で貢献する可能性が高いとみている。また、様々な可能性が考えられるFinTech分野についても、他社との提携などにより、どのような独自サービスを展開していくのか、その動向にも注意が必要である。

■Key Points
・2017年9月期上期は一過性の特殊要因により営業減益となるが想定内
・本格的に立ち上がってきた在宅ワークが順調に拡大
・2017年9月期は通期でも増収及び営業減益を見込む(期初予想を据え置き)
・FinTech分野やAI(人工知能)分野など、新たな分野への展開にも注目

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)


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