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リアルワールド Research Memo(4):会員基盤の拡大と売上単価の向上を実現する仕組み

注目トピックス 日本株
■企業特長

1. 成長モデル
リアルワールド<3691>は、基本的には会員数の増加と売上単価の向上が業績の伸びをけん引する。特に、同社の場合には、クラウドメディアで接触会員数の増加を図り、クラウドソーシングによって売上単価の向上を図るという相互作用の仕組みが確立されている。ただ、クラウドソーシングに限って言えば、受託業務量と会員数がバランスよく伸びていくことが事業拡大の条件となっていることにも注意が必要である。すなわち、受託業務量に比べて会員数が多すぎると会員の離反を招く恐れがあり、逆の場合は納期に間に合わないリスクを伴う。同社は、他社との提携により同社会員以外についてもクラウドソーシングの働き手として確保することで、急激な受託業務量の拡大のほか、大型及び短納期案件への対応を図っている。

2. コスト構造
同社の売上高は広告主からの広告収入(クラウドメディア)及び業務委託先からの業務受託収入(クラウドソーシング)である一方、原価は会員に還元するポイントが大部分を占めている。したがって、原価率はポイント還元率によって大きく左右されるものと考えられる。ポイント還元率は、その時々の需給関係や営業政策的な判断などにより同社が決定するが、過去の実績を見るとおおむね50%を超える水準で推移している。一方、販管費は、人件費のほか、システム構築に関わる費用が大きい。特に、クラウドソーシングでは、業務提携などによりシステム構築費用が先行投資的に発生する可能性があることに注意が必要である。ただ、同社では、これまで蓄積したノウハウを集約した「CROWDビジネスパック」の販売により顧客企業の裾野拡大や業務効率化にも取り組んでおり、収益性の改善や安定化につなげている。

3. 事業モデルの特長(強み)
(1) クラウドメディアとクラウドソーシングの相互作用の仕組み
同社は、前述のとおり、クラウドメディアで接触会員数の増加を図り、クラウドソーシングによって売上単価の向上を図るという相互作用の仕組みが確立されており、国内最大級の会員基盤を潜在需要の大きなクラウドソーシング及びマーケティング支援などに活用できるところが最大の強みとなっている。特に同社の会員基盤は、タイプの違う2つのクラウドメディアやクラウドソーシングが獲得チャネルとなっていることから、「暮らすこと」「働くこと」に関する情報への意識や購買意欲が高いことに加えて、幅広いターゲット層で構成されているところに魅力がある。さらには、同社の会員基盤や蓄積されたノウハウは、他社との業務提携を進める上で大きなアドバンテージになるとともに、様々な方向性での事業機会の広がりにも可能性を秘めている。

(2) 独自の「マイクロタスク型」クラウドソーシングを展開
「マイクロタスク型」クラウドソーシングは、顧客企業に対して、1)機密保持が可能(作業の細分化を実施)、2)高品質(複数名で一致した回答を納品)、3)安価で提供(オフィスや光熱費等の固定費が不要)、4)ハイスピード/大量件数(1,000 万人超の会員母数により実現)の4つの価値を提供するところに特長がある。特に、これまでのBPOと比べると、1)機密保持、3)単価の面で優位性を発揮できている。

一方、会員に対しては、同社が業務フローの構築やシステム化を行うことにより、体系的な専門知識のない会員でも作業を遂行できるところに特長がある。これにより、稼ぐ機会の少ない主婦やシニア、地方在住者にも、時間や場所に関係なく稼ぐことを可能にしている。

また、業務フローの構築やシステム化における経験則は同社のノウハウとして蓄積されており、更なる事業展開の原動力となっている。2015年8月に販売を開始した「CROWDビジネスパック」は、まさにノウハウをパッケージ化したものである。

(3) 在宅ワークとのハイブリッド型による差別化
子会社のリアルキャリアによる在宅ワークとクラウドソーシングによるハイブリッド型についても、同社独自のサービスとして高い評価を受けている。これまでのクラウドソーシングに加えて、より専門性や機密性の高い領域を在宅ワークで受けることが可能となったことから、それぞれを単独で受けるよりもさらに顧客満足度の高いサービスを提供できる体制が整ってきた。プロジェクトごとにクラウドディレクターを配置し、クラウドソーシングと在宅ワークのタスクの振り分けを行うところにポイントがあり、顧客企業にとっては、大量の作業を効率的にこなす領域と専門性や機密性などを重視する領域とを同時に委託することにより、業務効率が一層高まることになる。また、同社にとっても、これまで以上に顧客企業の業務に深く関わることができるため、顧客単価の向上はもちろん、ストック型の収益モデルへの転換(顧客の利用頻度や継続率が高まる)が可能となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)


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