フリービット Research Memo(3):ブロードバンド事業、アドテクノロジー事業、モバイル事業の3事業が中心
[17/07/07]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
1. ブロードバンド事業
フリービット<3843>の2017年4月期通期の売上高は前期比1.1%増の10,131百万円、セグメント利益は同1.9%増の1,717百万円と増収増益の基調を維持した。セグメント利益の増加要因は、ギガプライズのマンションインターネットの売上増による利益増や、DTIの光コラボ施策が奏功し個人向けインターネット・サービスが順調に拡大したことが大きかった。マンションインターネットに関しては、超大手ハウスメーカー複数社との協業開始により導入が加速しており、導入実績は累計で19.1万戸(前期末比4.9万戸増加)となった。営業利益は、利益率のより高いマンションインターネットの拡大により堅調に増加している。営業利益率が16.9%(2017年4月期)と高く、全社的にはキャッシュを生み出す“金のなる木”の位置付けにある。
2. モバイル事業
2017年4月期通期の売上高は前期比72.0%増の8,628百万円と大幅に増加した。大幅増収の要因としては、1)「freebit MVNO Pack」の提供先のU-NEXT<9418>を始めとするMVNO事業者によるユーザー獲得が順調に推移し、MVNO向け帯域卸売事業が順調に拡大したこと、2)訪日外国人観光客向けプリペイドSIM販売/レンタルルータが好調(2015年2月からのプリペイドSIM累計販売枚数は80万枚を突破)となったこと、3)DTIの個人向けモバイル高速データ通信サービス「DTI SIM」が新プランや各種キャンペーンの実施により堅調なユーザー数の推移だったこと、などが挙げられる。持分法適用関連会社のトーンモバイル向けのスマートフォン端末「TONE m15」に関しては、2017年4月期第2四半期までに予定の数量を出荷し、第3四半期及び第4四半期は大きな動きはなかったため売上げは落ち着いた。新規モバイルサービス(モバビジ)の立ち上げや個人向けモバイルサービス(DTI SIM)の顧客拡大などのための先行投資が必要な時期にあるため、通期のセグメント損失は327百万円(前期は33百万円の損失)だった。モバイル事業は、MVNO事業者向けサービスで規模を拡大しつつ、粗利率のより高いB2Cサービス(DTI SIMやトーンモバイル)及びソリューションサービス(モバビジ、freebit cloud security SIMなど)を成長させて収益構造の改善を目指す。
3. アドテクノロジー事業
2017年4月期通期の売上高は前期比24.5%増の14,557百万円と大幅な増収となった。セグメント利益はフルスピードグループの債権未回収の影響が顕在化し、同0.9%減の900百万円と微減となった。取引先の破綻が原因で一時的に減益となったが、当事業の高い成長力及び収益力に変わりはない。注力している独自の広告運用統合プラットフォーム「AdMatrix」の営業展開においては、代理店数の増加・連携強化により代理店経由の新規件数が増加。10周年を迎えたアフィリエイト・サービス・プロバイダー(ASP)※1であるアフィリエイトプラットフォーム「afb」※2は、その独自の機能が評価されメディア利用満足度No.1の地位で事業拡大を維持している。また、中期事業方針である開発基盤強化の目的に沿って、2017年1月にフィリピン・セブ島にオフショア開発拠点を設立した。今後日本におけるIT人材不足は深刻さを増すことが想定され、先行してオフショア拠点を強化する。現在は既存事業のアドテクノロジー開発・保守及び新規事業のR&Dを行っており、中長期的にはインターネットマーケティング事業の改善及び新規事業開発にも取り組む考えだ。
※1 成功報酬型広告を配信するサービス・プロバイダー。
※2 約55万を超えるパートナーサイトをネットワーク化。PCのノウハウを生かし、タブレット・スマートフォン・モバイルでもサービスを展開している。旧名称は「アフィリエイトB」。
4. クラウド事業
2017年4月期通期の売上高は前期比2.6%減の1,945百万円とわずかに減収、一方でセグメント利益は同64.8%増の140百万円と大幅な増益となった。ハウジングやホスティングなどレガシーサービスの整理による売上減が続くものの、ハイブリッドクラウド※商材の販売拡大によりカバーし、大幅増益となった。
※クラウドとは、ソフトウェア等をネットワーク越しに利用者に提供する仕組みや、そのデータが蓄積・運用されているデータセンターやサーバー群の総称。このうちパブリッククラウドとは、インターネットから誰でも利用できるようなサービスやシステムを言う。一方、プライベートクラウドとは、大企業などが自社ネットワーク上で利用するためのサービスやシステムを言う。そして、ハイブリッドクラウドとは、その両方を組み合わせたもので、それぞれの長所を組み合わせることでセキュリティ管理やコスト管理を向上させることができる。
5. ヘルステック事業
2017年4月期通期の売上高は254百万円、セグメント損失は324百万円となった。同社は2016年9月に薬局総合ポータルサイト「EPARKくすりの窓口」の運営を始めとする薬局業界に特化した様々なサービスを展開するEPARKヘルスケアの株式を取得し(議決権所有率47.5%)、連結子会社化した。2017年2月にはフリービットEPARKヘルスケアに社名変更し、「ヘルステック事業」という事業セグメントとしてスタートさせた。
事業構想としては、エンドユーザー(患者)と調剤薬局をつなぐメディア・プラットフォームを同社の技術力で進化させ、エンドユーザーへ情報提供や利便性の高い予約・配送サービス等を行うというものだ。収入モデルは、メディアとしての広告収入、患者送客に伴う手数料、予約システム利用料など多様である。エンドユーザー(患者)向けのサービスとして手掛ける無料アプリ「EPARKお薬手帳」は、薬局の受取予約・服用アラーム・お薬情報の登録などの利便性の高い機能が話題を呼び、マスメディアでの露出も手伝い、累計11万ダウンロードを突破し、同種のアプリではNo1の実績である。薬局での予約件数も右肩上がりであり、認知度がまだ低いだけに今後の更なる成長が期待される。早くも2018年4月期中の単月黒字化が視野に入ったもようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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1. ブロードバンド事業
フリービット<3843>の2017年4月期通期の売上高は前期比1.1%増の10,131百万円、セグメント利益は同1.9%増の1,717百万円と増収増益の基調を維持した。セグメント利益の増加要因は、ギガプライズのマンションインターネットの売上増による利益増や、DTIの光コラボ施策が奏功し個人向けインターネット・サービスが順調に拡大したことが大きかった。マンションインターネットに関しては、超大手ハウスメーカー複数社との協業開始により導入が加速しており、導入実績は累計で19.1万戸(前期末比4.9万戸増加)となった。営業利益は、利益率のより高いマンションインターネットの拡大により堅調に増加している。営業利益率が16.9%(2017年4月期)と高く、全社的にはキャッシュを生み出す“金のなる木”の位置付けにある。
2. モバイル事業
2017年4月期通期の売上高は前期比72.0%増の8,628百万円と大幅に増加した。大幅増収の要因としては、1)「freebit MVNO Pack」の提供先のU-NEXT<9418>を始めとするMVNO事業者によるユーザー獲得が順調に推移し、MVNO向け帯域卸売事業が順調に拡大したこと、2)訪日外国人観光客向けプリペイドSIM販売/レンタルルータが好調(2015年2月からのプリペイドSIM累計販売枚数は80万枚を突破)となったこと、3)DTIの個人向けモバイル高速データ通信サービス「DTI SIM」が新プランや各種キャンペーンの実施により堅調なユーザー数の推移だったこと、などが挙げられる。持分法適用関連会社のトーンモバイル向けのスマートフォン端末「TONE m15」に関しては、2017年4月期第2四半期までに予定の数量を出荷し、第3四半期及び第4四半期は大きな動きはなかったため売上げは落ち着いた。新規モバイルサービス(モバビジ)の立ち上げや個人向けモバイルサービス(DTI SIM)の顧客拡大などのための先行投資が必要な時期にあるため、通期のセグメント損失は327百万円(前期は33百万円の損失)だった。モバイル事業は、MVNO事業者向けサービスで規模を拡大しつつ、粗利率のより高いB2Cサービス(DTI SIMやトーンモバイル)及びソリューションサービス(モバビジ、freebit cloud security SIMなど)を成長させて収益構造の改善を目指す。
3. アドテクノロジー事業
2017年4月期通期の売上高は前期比24.5%増の14,557百万円と大幅な増収となった。セグメント利益はフルスピードグループの債権未回収の影響が顕在化し、同0.9%減の900百万円と微減となった。取引先の破綻が原因で一時的に減益となったが、当事業の高い成長力及び収益力に変わりはない。注力している独自の広告運用統合プラットフォーム「AdMatrix」の営業展開においては、代理店数の増加・連携強化により代理店経由の新規件数が増加。10周年を迎えたアフィリエイト・サービス・プロバイダー(ASP)※1であるアフィリエイトプラットフォーム「afb」※2は、その独自の機能が評価されメディア利用満足度No.1の地位で事業拡大を維持している。また、中期事業方針である開発基盤強化の目的に沿って、2017年1月にフィリピン・セブ島にオフショア開発拠点を設立した。今後日本におけるIT人材不足は深刻さを増すことが想定され、先行してオフショア拠点を強化する。現在は既存事業のアドテクノロジー開発・保守及び新規事業のR&Dを行っており、中長期的にはインターネットマーケティング事業の改善及び新規事業開発にも取り組む考えだ。
※1 成功報酬型広告を配信するサービス・プロバイダー。
※2 約55万を超えるパートナーサイトをネットワーク化。PCのノウハウを生かし、タブレット・スマートフォン・モバイルでもサービスを展開している。旧名称は「アフィリエイトB」。
4. クラウド事業
2017年4月期通期の売上高は前期比2.6%減の1,945百万円とわずかに減収、一方でセグメント利益は同64.8%増の140百万円と大幅な増益となった。ハウジングやホスティングなどレガシーサービスの整理による売上減が続くものの、ハイブリッドクラウド※商材の販売拡大によりカバーし、大幅増益となった。
※クラウドとは、ソフトウェア等をネットワーク越しに利用者に提供する仕組みや、そのデータが蓄積・運用されているデータセンターやサーバー群の総称。このうちパブリッククラウドとは、インターネットから誰でも利用できるようなサービスやシステムを言う。一方、プライベートクラウドとは、大企業などが自社ネットワーク上で利用するためのサービスやシステムを言う。そして、ハイブリッドクラウドとは、その両方を組み合わせたもので、それぞれの長所を組み合わせることでセキュリティ管理やコスト管理を向上させることができる。
5. ヘルステック事業
2017年4月期通期の売上高は254百万円、セグメント損失は324百万円となった。同社は2016年9月に薬局総合ポータルサイト「EPARKくすりの窓口」の運営を始めとする薬局業界に特化した様々なサービスを展開するEPARKヘルスケアの株式を取得し(議決権所有率47.5%)、連結子会社化した。2017年2月にはフリービットEPARKヘルスケアに社名変更し、「ヘルステック事業」という事業セグメントとしてスタートさせた。
事業構想としては、エンドユーザー(患者)と調剤薬局をつなぐメディア・プラットフォームを同社の技術力で進化させ、エンドユーザーへ情報提供や利便性の高い予約・配送サービス等を行うというものだ。収入モデルは、メディアとしての広告収入、患者送客に伴う手数料、予約システム利用料など多様である。エンドユーザー(患者)向けのサービスとして手掛ける無料アプリ「EPARKお薬手帳」は、薬局の受取予約・服用アラーム・お薬情報の登録などの利便性の高い機能が話題を呼び、マスメディアでの露出も手伝い、累計11万ダウンロードを突破し、同種のアプリではNo1の実績である。薬局での予約件数も右肩上がりであり、認知度がまだ低いだけに今後の更なる成長が期待される。早くも2018年4月期中の単月黒字化が視野に入ったもようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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