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3Dマトリック Research Memo(1):18/4期以降、欧州・オーストラリアを中心に止血材の販売が本格拡大へ

注目トピックス 日本株
■要約

スリー・ディー・マトリックス<7777>は2004年に設立されたバイオマテリアル(医療用材料)のベンチャー企業である。米マサチューセッツ工科大学において開発された「自己組織化ペプチド技術」を使って外科医療分野の吸収性局所止血材(以下、止血材)、再生医療分野の歯槽骨再建材、医薬品分野では核酸医薬向けDDS(ドラッグデリバリーシステム)等の開発を国内外で進めている。

1. 2017年4月期は中国における止血材のライセンス契約締結で損失額が縮小
2017年4月期の業績は事業収益が前期比334.2%増の615百万円、営業損失が1,240百万円(前期は1,821百万円の損失)となった。止血材の販売は期初計画を下回ったものの、前期比11.0%増の107百万円となり欧州、オーストラリアで販売実績が積み上がってきている。また、2017年4月には中国企業と中国市場における止血材の開発・製造・販売ライセンス契約を締結し、契約一時金508百万円を計上した。なお、欧州での後出血予防材に関しては、現在、追加データ取得のための臨床試験を行っており、2017年秋頃までに終了し、2018年4月期中の承認取得を目指している。

2. 2018年4月期は欧州、オーストラリアでの止血材販売に注力
2018年4月期の業績は、事業収益が304〜2,354百万円、営業利益が-1,675〜630百万円とレンジ予想の開示となっている。欧州で止血材の独占販売ライセンス契約の交渉を行っており、同契約の有無で業績が大きく変動するためだ。止血材の売上高については前期比2.8倍増の304百万円、うち欧州で同2.3倍増の219百万円を見込んでいる。ターゲット医療施設数が前期末に約200件まで増えており、今期はこれら医療施設への販売に注力していくことで計画を達成していく。また、国内では止血材の治験が2017年7月以降に開始される見込みで、2018年4月期末から2019年4月期の早い段階で製造販売承認申請を行い、2020年4月期中の上市を目指している。また、欧州では止血効果が高く低コスト化を実現できる次世代止血材の臨床試験開始に向けた準備を進めていく方針。一方、米国では歯槽骨再建材の経過観察期間が夏頃に終了し、今後の方針を決めていくほか、止血材については成功確率の高い治験を実施するための戦略を策定する。

3. 新中期3ヶ年計画を発表、2020年4月期に営業利益で2,034〜5,117百万円を目指す
今回新たに発表した中期3ヶ年計画では、最終年度となる2020年4月期に事業収益で5,342〜7,992百万円、営業利益で2,034〜5,117百万円を目標として掲げた。止血材の売上高は5,342百万円を見込み、うち欧州で4,302百万円を見込んでいる。事業収益のレンジは欧米での癒着防止材の販売ライセンス契約一時金2,000百万円及び主に国内での外科分野での提携に伴う契約一時金650百万円となる。同社の業績はここ数年、止血材の欧州での販売や独占販売ライセンス契約締結の先送りなどで会社計画を下回り、投資家の期待を裏切ってきたが、医療施設への導入は欧州、オーストラリアで着実に広がっており、2018年4月期については計画を上回るペースでの売上拡大に期待したい。また、中期経営計画に織り込んでいない後出血予防材については、医療現場からのニーズが非常に高い製品で、潜在需要も欧州だけで100億円以上になると見られるだけに今後の動向が注目される。現在、英国で追加の臨床データを収集している段階で、早ければ2018年4月期中のCEマーキング取得が予想される。

■Key Points
・次世代止血材や癒着防止材などの開発パイプラインを新たに追加
・2018年4月期の止血材販売計画は保守的で上振れの可能性も
・欧州中心に止血材の成長見込み、2020年4月期には営業利益で2,034〜5,117百万円を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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