飯野海運 Research Memo(3):ケミカルタンカーの中東積みシェアは業界トップクラス
[17/07/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■飯野海運<9119>の事業概要と特徴・強み
1. 海運業はケミカルタンカーやガスキャリアが主力
海運業のうち、外航海運業は全世界にわたる水域において、原油や石油製品を輸送するオイルタンカー、石油化学製品を輸送するケミカルタンカー、LNG(液化天然ガス)・LPG(液化石油ガス)を輸送する大型ガスキャリア、石炭・木材チップを輸送する専用船及び穀物・鋼材・肥料などを輸送する小型〜大型ドライバルクキャリア(ばら積み貨物船)を運航している。内航・近海海運業は国内および近海を中心とした水域において、LNG・LPG・石油化学系ガスを輸送する小型ガスキャリアなどを運航している。また、国内外における船舶管理業や船用品販売業なども行っている。
ケミカルタンカーやガスキャリアなどによる資源・エネルギー関連輸送を主力に、グローバル・ネットワークを駆使した効率的な輸送で、遠洋から近海にわたる幅広い水域で海上輸送サービスを提供している。また、LPG・石油化学系ガスの国内輸送シェアは業界トップクラスである。さらに国内では数少ない内航LNGキャリアも運航している。
2017年3月期末のグループ運航船舶数(共有相手持分含む)は合計105隻である。内訳は外航海運業が75隻(オイルタンカー3隻、ケミカルタンカー38隻、大型ガスキャリア18隻、ドライバルクキャリア16隻)で、内航・近海海運業が小型ガスキャリアなど30隻である。
主要取引先には、アストモスエネルギー(株)(出光興産<5019>グループと三菱商事<8058>グループのLPG部門が統合したLPG商社)、出光興産<5019>、王子ホールディングス<3861>、JXTGエネルギー(株)、全国農業協同組合連合会、電源開発(J-POWER<9513>)、東ソー<4042>、日本ゼオン<4205>、北海道瓦斯(株)<9534>、SABIC(Saudi Basic Industries Corporation)などがある。
2. 業界最大級船隊のケミカルタンカーに特徴・強み
同社のケミカルタンカーは業界最大級の船隊を擁し、特に中東からアジアに向けた石油化学製品の輸送量はトップクラスのシェアを誇っている。
同社が運航するケミカルタンカーの多くはステンレス製タンクを有していることが特徴・強みである。ステンレス製タンクは通常の鉄製タンクに比べて耐腐食性が強いため、硫酸なども輸送できるメリットがある。また、同社はケミカルタンカーでパーム油などの輸送も行っている。ケミカルタンカーでは1年程度のCOA(数量輸送契約)とスポット貨物を組み合わせ利益の最大化を図っている。ステンレス製タンクやタンク洗浄など石油化学製品輸送に要求される高度な船舶管理ノウハウ、さらに効率的な輸送ノウハウを有していることが競争優位性につながっている。
3. オイルタンカーやガスキャリアは中・長期契約が中心
収益面では、特に外航海運業が為替、ドライバルクキャリアなどの海運市況、及び燃料油価格の影響を受け、主力のケミカルタンカーのスポット貨物も市況変動の影響が避けられない。ただし、オイルタンカー、ガスキャリアは中・長期契約が中心であり、不動産業とあわせて安定収益源となっている。また、円安も利益増加の要因となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
<HN>
1. 海運業はケミカルタンカーやガスキャリアが主力
海運業のうち、外航海運業は全世界にわたる水域において、原油や石油製品を輸送するオイルタンカー、石油化学製品を輸送するケミカルタンカー、LNG(液化天然ガス)・LPG(液化石油ガス)を輸送する大型ガスキャリア、石炭・木材チップを輸送する専用船及び穀物・鋼材・肥料などを輸送する小型〜大型ドライバルクキャリア(ばら積み貨物船)を運航している。内航・近海海運業は国内および近海を中心とした水域において、LNG・LPG・石油化学系ガスを輸送する小型ガスキャリアなどを運航している。また、国内外における船舶管理業や船用品販売業なども行っている。
ケミカルタンカーやガスキャリアなどによる資源・エネルギー関連輸送を主力に、グローバル・ネットワークを駆使した効率的な輸送で、遠洋から近海にわたる幅広い水域で海上輸送サービスを提供している。また、LPG・石油化学系ガスの国内輸送シェアは業界トップクラスである。さらに国内では数少ない内航LNGキャリアも運航している。
2017年3月期末のグループ運航船舶数(共有相手持分含む)は合計105隻である。内訳は外航海運業が75隻(オイルタンカー3隻、ケミカルタンカー38隻、大型ガスキャリア18隻、ドライバルクキャリア16隻)で、内航・近海海運業が小型ガスキャリアなど30隻である。
主要取引先には、アストモスエネルギー(株)(出光興産<5019>グループと三菱商事<8058>グループのLPG部門が統合したLPG商社)、出光興産<5019>、王子ホールディングス<3861>、JXTGエネルギー(株)、全国農業協同組合連合会、電源開発(J-POWER<9513>)、東ソー<4042>、日本ゼオン<4205>、北海道瓦斯(株)<9534>、SABIC(Saudi Basic Industries Corporation)などがある。
2. 業界最大級船隊のケミカルタンカーに特徴・強み
同社のケミカルタンカーは業界最大級の船隊を擁し、特に中東からアジアに向けた石油化学製品の輸送量はトップクラスのシェアを誇っている。
同社が運航するケミカルタンカーの多くはステンレス製タンクを有していることが特徴・強みである。ステンレス製タンクは通常の鉄製タンクに比べて耐腐食性が強いため、硫酸なども輸送できるメリットがある。また、同社はケミカルタンカーでパーム油などの輸送も行っている。ケミカルタンカーでは1年程度のCOA(数量輸送契約)とスポット貨物を組み合わせ利益の最大化を図っている。ステンレス製タンクやタンク洗浄など石油化学製品輸送に要求される高度な船舶管理ノウハウ、さらに効率的な輸送ノウハウを有していることが競争優位性につながっている。
3. オイルタンカーやガスキャリアは中・長期契約が中心
収益面では、特に外航海運業が為替、ドライバルクキャリアなどの海運市況、及び燃料油価格の影響を受け、主力のケミカルタンカーのスポット貨物も市況変動の影響が避けられない。ただし、オイルタンカー、ガスキャリアは中・長期契約が中心であり、不動産業とあわせて安定収益源となっている。また、円安も利益増加の要因となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)
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