Jトラスト Research Memo(6):2019年3月期からはアジア金融事業を原動力に、一層の飛躍を目指す
[17/08/24]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■Jトラスト<8508>の中長期の成長戦略
1. 現中期経営計画の達成見通し
同社グループでは、今後の世界経済やわが国経済の変化を先取りして、事業の転換を図っていくことが不可欠であるとの認識のもと、「既成概念にとらわれないファイナンシャルサービスを提供する企業体を目指す」をグループビジョンとして、2016年3月期を初年度とする3ヶ年の中期経営計画をスタートした。
そして、特に大きな経済成長が期待できるアジア地域において事業を拡大するとともに、そのネットワーク化によるシナジー効果が最大限に発揮できる事業展開を図るなど、更なる経営基盤強化と持続的な成長の実現に向けた取り組みを進めてきた。
2018年3月期は現中期経営計画の最終年度になるが、今期の業績予想は営業収益で中期経営計画比63%、営業利益で同46%の水準にとどまる見通しである。但し、2017年3月期第1四半期の決算説明会において、中期経営計画は事実上撤廃されており、今期1年間の通期目標が発表されている。2018年3月期には、韓国金融事業と東南アジア金融事業でも増収・増益を予想している。特に東南アジア金融事業では、貸倒引当金の負担も一巡し、ようやく同社グループ全体の業績に貢献する体勢が整ったと言える。
2. 2019年3月期からの成長戦略
同社では、現段階では2019年3月期以降の新中期経営計画について明らかにしていないが、引き続き国内金融事業では信用保証事業、債権回収事業により、安定的な利益を稼ぐことを目指す。また、韓国金融事業でも貯蓄銀行業に対する規制強化の影響を抑えつつ、債権回収事業とも合わせて増益を確保する。
一方、2018年3月期から黒字転換見込みの東南アジア金融事業では、新たなマネジメント体制のもと、利益を大きく伸ばすことで、同社グループ全体の増収・増益基調をけん引することを目指している。東南アジア最大の人口を有するインドネシアでは、1日当たりの平均所得が4.5米ドル(約500円)に過ぎない貧困層が2億300万人で、人口全体の81.5%が経済ピラミッドの底辺にいる。この層はマイクロファイナンス(銀行などを利用しづらい貧しい人が対象の少額融資や預金、保険といった金融サービス)を必要としており、東南アジア金融事業にとってマイクロファイナンス市場は潜在需要が極めて大きいと考えられる。
アジア経済圏では、外需の低迷、中国の成長減速、原油を中心とした商品価格の伸び悩みなどの影響により、各国の経済成長率は従来よりも低水準にとどまり、国内の企業収益や個人所得に悪影響を与えているとの指摘がある。しかし、IMFの統計によれば、インドネシア経済はアジア金融危機時の1998年を除き安定した成長を続けており、2017年の実質GDP成長率見込みも5.10%で、2015年の4.88%、2016年の5.02%を上回る成長を続けると予想されている。
同社グループでは、アジア各国からの情報がいち早く集まるシンガポールに投資事業の拠点を置き、藤澤社長が自ら常駐することで、グループの成長に資するための新たな投資機会を絶えず模索している。経営陣たちの高い情報収集力と迅速な意思決定力が、同社の今後の成長の決め手になりそうだ。
このように、同社グループは成長可能性が大きい東南アジア金融事業を原動力に、来期以降も持続的かつ大きな成長を目指している。ただ、金融事業とのシナジーが期待できない非金融事業(アミューズメント事業、不動産事業)については、グループから切り離すことも検討課題であり、同社グループは成長性の高い金融事業分野にフォーカスすべきであると当社では考える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<NB>
1. 現中期経営計画の達成見通し
同社グループでは、今後の世界経済やわが国経済の変化を先取りして、事業の転換を図っていくことが不可欠であるとの認識のもと、「既成概念にとらわれないファイナンシャルサービスを提供する企業体を目指す」をグループビジョンとして、2016年3月期を初年度とする3ヶ年の中期経営計画をスタートした。
そして、特に大きな経済成長が期待できるアジア地域において事業を拡大するとともに、そのネットワーク化によるシナジー効果が最大限に発揮できる事業展開を図るなど、更なる経営基盤強化と持続的な成長の実現に向けた取り組みを進めてきた。
2018年3月期は現中期経営計画の最終年度になるが、今期の業績予想は営業収益で中期経営計画比63%、営業利益で同46%の水準にとどまる見通しである。但し、2017年3月期第1四半期の決算説明会において、中期経営計画は事実上撤廃されており、今期1年間の通期目標が発表されている。2018年3月期には、韓国金融事業と東南アジア金融事業でも増収・増益を予想している。特に東南アジア金融事業では、貸倒引当金の負担も一巡し、ようやく同社グループ全体の業績に貢献する体勢が整ったと言える。
2. 2019年3月期からの成長戦略
同社では、現段階では2019年3月期以降の新中期経営計画について明らかにしていないが、引き続き国内金融事業では信用保証事業、債権回収事業により、安定的な利益を稼ぐことを目指す。また、韓国金融事業でも貯蓄銀行業に対する規制強化の影響を抑えつつ、債権回収事業とも合わせて増益を確保する。
一方、2018年3月期から黒字転換見込みの東南アジア金融事業では、新たなマネジメント体制のもと、利益を大きく伸ばすことで、同社グループ全体の増収・増益基調をけん引することを目指している。東南アジア最大の人口を有するインドネシアでは、1日当たりの平均所得が4.5米ドル(約500円)に過ぎない貧困層が2億300万人で、人口全体の81.5%が経済ピラミッドの底辺にいる。この層はマイクロファイナンス(銀行などを利用しづらい貧しい人が対象の少額融資や預金、保険といった金融サービス)を必要としており、東南アジア金融事業にとってマイクロファイナンス市場は潜在需要が極めて大きいと考えられる。
アジア経済圏では、外需の低迷、中国の成長減速、原油を中心とした商品価格の伸び悩みなどの影響により、各国の経済成長率は従来よりも低水準にとどまり、国内の企業収益や個人所得に悪影響を与えているとの指摘がある。しかし、IMFの統計によれば、インドネシア経済はアジア金融危機時の1998年を除き安定した成長を続けており、2017年の実質GDP成長率見込みも5.10%で、2015年の4.88%、2016年の5.02%を上回る成長を続けると予想されている。
同社グループでは、アジア各国からの情報がいち早く集まるシンガポールに投資事業の拠点を置き、藤澤社長が自ら常駐することで、グループの成長に資するための新たな投資機会を絶えず模索している。経営陣たちの高い情報収集力と迅速な意思決定力が、同社の今後の成長の決め手になりそうだ。
このように、同社グループは成長可能性が大きい東南アジア金融事業を原動力に、来期以降も持続的かつ大きな成長を目指している。ただ、金融事業とのシナジーが期待できない非金融事業(アミューズメント事業、不動産事業)については、グループから切り離すことも検討課題であり、同社グループは成長性の高い金融事業分野にフォーカスすべきであると当社では考える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<NB>