イグニス Research Memo(2):VRやIoTなど新規事業にも挑戦
[17/09/13]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
イグニス<3689>は、スマートフォン向けネイティブアプリの企画・運営・販売を手掛けている。「コミュニティ」「ネイティブゲーム」「メディア」の3 つのジャンルを事業の柱とし、ゲーム及び非ゲームの領域で独自のポジショニングを確立している。また、新規事業としてVR やIoT などにも挑戦している。
「次のあたりまえを創る。何度でも」をミッションに掲げ、過去においては、日常的に利用する高品質なツール系アプリなど数多くの小規模アプリを量産してきたことが、ノウハウの蓄積を含め、同社の成長をけん引してきた。2015 年9 月期からは、それまでの小規模アプリ中心から、コミュニティ領域などライフタイムの長い中・大規模アプリへ開発リソースをシフトすることによる収益構造の改革に取り組み、その成果が具体的に現われ始めてきた。
ネイティブアプリは、App Store及びGoogle Play等のプラットフォームを通じてスマートフォンユーザーに提供されている。また、収益モデルには、広告収入と課金収入の大きく2つのタイプがある。
事業セグメントは、主にスマートフォンアプリ事業であり、現時点においてはジャンルごとに「コミュニティ」「ネイティブゲーム」「その他(メディア等)」の3つに分類している。なお、前期までは、「無料ネイティブアプリ」「ネイティブソーシャルゲーム」の2つに分類していたが、収益構造の改革に伴って収益モデルが変化してきた(課金収入モデルの重要性が高まってきた)ことや、新たな事業分野での成長軸が立ち上がってきたことから新しい枠組みへと変更した。
事業別の売上構成比では、「ぼくとドラゴン」による「ネイティブゲーム」が79.0% を占め、「コミュニティ」は13.6%、「その他(メディア等)」は7.4%にすぎない(2017年9月期第3四半期累計実績)。ただ、足元では「コミュニティ」等の伸長により、徐々に「ネイティブゲーム」への依存度が解消されつつある。
1. 既存事業の概要
(1)コミュニティ
婚活サービス「with」(月額課金収入モデル)を中心に展開している。「with」は2016 年3 月にWEB 版、iOS版をリリース※1して以来、類似サービスの中では後発参入であるものの、登録会員数で業界3番手グループ※2にまで伸びてきた。国内iOSのSNSの売上ランキングでも10位台に定着している。人気メンタリストDaiGo(ダイゴ)氏※3監修の下、最適なマッチングを実現する独自の心理学及び統計学的アプローチが差別化要因となっていることに加えて、積極的な広告宣伝によるユーザー獲得が奏功している。
※1 Android 版は2016 年5 月にリリース。
※2 Facebook 認証型のオンラインの婚活サービス上位には、「Pairs」「Omiai」「ゼクシィ恋結び」などが存在する。
※3 メンタリスト、作家、新潟リハビリテーション大学特任教授。著書は累計150 万部突破、企業の顧問や経営戦略パートナー、講演など、様々な分野で活動。
(2)ネイティブゲーム
2015年2月にリリースした「ぼくとドラゴン」(アイテム課金収入モデル)を展開している。多彩なイベントや人気コンテンツとのコラボ、機能追加など、継続的な安定運営を通じて好調を持続しており、同社の業績の伸びを支えてきた。2017年6月末には累計340万DLを突破、デイリー売上ランキングでも2017 年2月21日に過去最高順位(4位)を達成しており、ロングセラーゲームとして息の長い収益貢献を続けている。また、比較的規模(中規模アプリ)が小さく、収益貢献期間の短いカジュアルゲームも含まれる。「ぼくとドラゴン」に続く新タイトル「GK(コードネーム)」については、リリースに向けて着々と開発を進めており、大詰めを迎えているようだ。
(3)その他(メディア等)
2015年10月に買収したビジネス情報メディア「U-NOTE」(広告収入モデル)を中心に展開している。若手ビジネスパーソンにターゲットを絞ったことにより、リクルーティングサイトへの送客を軸として順調に立ち上がってきた。2017 年1 月にはキャリアに関わる様々な情報をカバーした転職メディア「U-NOTE. CAREER※をスタート。ビジネス情報メディア「U-NOTE」と転職メディア「U-NOTE.CAREER」のユーザーが相互に有効利用できるメディア体制を構築した。「U-NOTE.CAREER」については、本格稼働に向けて、開発や必要な手続きを進めており、収益貢献はもう少し先になる様子。一方、メディア以外では、スマートフォンの使い勝手や日常生活の利便性を高めるツール系アプリなど、過去の業績を支えてきた小規模アプリが含まれているが、中・大規模アプリへ開発リソースをシフトしたことにより足元では縮小している。
※「CAREER ABOUT」の名称を「U-NOTE.CAREER」へ変更。
2. 新規事業の概要
(1)VR
2016年11月にVR 領域※1への進出を目的とした子会社パルス(株)を設立すると、秋元康(あきもとやすし) 氏※2、松尾豊(まつおゆたか)氏※3、DaiGo 氏などが資本参加し、各分野における第一人者との協業により革新的な価値創造を目指している。同社のVR事業は、日本において実需があり、かつ収益貢献度が高い分野にフォーカスして開発を進めている模様で、2016年12月には、順天堂大学教授(堀江氏、川戸氏)とのVR技術応用(認知症の防止・進行遅延効果の研究をVR コンテンツ開発に活用)に関する共同研究を開始。2017 年5 月にも子会社のパルス(株)がVRソーシャルルームアプリ「Cluster.」※4を運営するクラスター(株)との業務提携を結んだ。このクラスター(株)との業務提携により事業展開の幅が大きく広がり、新たな体験が期待できる。他にも複数のプロジェクトが進行中となっているが、収益事業化に向けては今後の市場規模拡大やVR デバイスの普及度合い・技術革新なども勘案しつつ、長い時間をかける方針のようだ。
※1 Virtual Reality の略。
※2 作詞家、放送作家、映画監督、漫画原作者。A K B48 グループなどのプロデューサーとして、ほぼすべての楽曲の作詞を行っており、番組の企画構成やドラマの脚本なども手掛ける。
※3 東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻の特任准教授。専門分野は、人工知能、Web 工学、ディープラーニング。
※4 誰もがVR 空間上でルームを作って動画視聴やイベント参加、ライブ体験を共有して楽しめるアプリ。ルームの中で、動画視聴やウェブブラウジングなど1 人から数人でも長く楽しめるVR 体験を提供し、さらに、数十人から数千人規模のイベントを開催することも可能となっている。
(2)ライフハック
2015年11月に持分法適用関連会社としたIoTベンチャー(株)ロビットとの連携を軸として、スマートフォンアプリを通じて培ってきた体験設計のノウハウとIoT関連テクノロジーを活用した新たな製品及びサービスを展開している。足元では2016年7月にロビットのブランドで販売を開始したスマートフォン連動型カーテン自動開閉機「めざましカーテンmornin’」※が好調に推移している。本件による収益モデルは、ロビットに計上されるデバイス売上高のみであり、同社にはその利益の持分割合(営業外損益)が反映されることになる。
※「mornin’」は取り付け簡単で、スマホと連動させてタイマー設定するだけで、設定した時刻にカーテンが開閉するアイデアIoT家電(目覚まし装置)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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イグニス<3689>は、スマートフォン向けネイティブアプリの企画・運営・販売を手掛けている。「コミュニティ」「ネイティブゲーム」「メディア」の3 つのジャンルを事業の柱とし、ゲーム及び非ゲームの領域で独自のポジショニングを確立している。また、新規事業としてVR やIoT などにも挑戦している。
「次のあたりまえを創る。何度でも」をミッションに掲げ、過去においては、日常的に利用する高品質なツール系アプリなど数多くの小規模アプリを量産してきたことが、ノウハウの蓄積を含め、同社の成長をけん引してきた。2015 年9 月期からは、それまでの小規模アプリ中心から、コミュニティ領域などライフタイムの長い中・大規模アプリへ開発リソースをシフトすることによる収益構造の改革に取り組み、その成果が具体的に現われ始めてきた。
ネイティブアプリは、App Store及びGoogle Play等のプラットフォームを通じてスマートフォンユーザーに提供されている。また、収益モデルには、広告収入と課金収入の大きく2つのタイプがある。
事業セグメントは、主にスマートフォンアプリ事業であり、現時点においてはジャンルごとに「コミュニティ」「ネイティブゲーム」「その他(メディア等)」の3つに分類している。なお、前期までは、「無料ネイティブアプリ」「ネイティブソーシャルゲーム」の2つに分類していたが、収益構造の改革に伴って収益モデルが変化してきた(課金収入モデルの重要性が高まってきた)ことや、新たな事業分野での成長軸が立ち上がってきたことから新しい枠組みへと変更した。
事業別の売上構成比では、「ぼくとドラゴン」による「ネイティブゲーム」が79.0% を占め、「コミュニティ」は13.6%、「その他(メディア等)」は7.4%にすぎない(2017年9月期第3四半期累計実績)。ただ、足元では「コミュニティ」等の伸長により、徐々に「ネイティブゲーム」への依存度が解消されつつある。
1. 既存事業の概要
(1)コミュニティ
婚活サービス「with」(月額課金収入モデル)を中心に展開している。「with」は2016 年3 月にWEB 版、iOS版をリリース※1して以来、類似サービスの中では後発参入であるものの、登録会員数で業界3番手グループ※2にまで伸びてきた。国内iOSのSNSの売上ランキングでも10位台に定着している。人気メンタリストDaiGo(ダイゴ)氏※3監修の下、最適なマッチングを実現する独自の心理学及び統計学的アプローチが差別化要因となっていることに加えて、積極的な広告宣伝によるユーザー獲得が奏功している。
※1 Android 版は2016 年5 月にリリース。
※2 Facebook 認証型のオンラインの婚活サービス上位には、「Pairs」「Omiai」「ゼクシィ恋結び」などが存在する。
※3 メンタリスト、作家、新潟リハビリテーション大学特任教授。著書は累計150 万部突破、企業の顧問や経営戦略パートナー、講演など、様々な分野で活動。
(2)ネイティブゲーム
2015年2月にリリースした「ぼくとドラゴン」(アイテム課金収入モデル)を展開している。多彩なイベントや人気コンテンツとのコラボ、機能追加など、継続的な安定運営を通じて好調を持続しており、同社の業績の伸びを支えてきた。2017年6月末には累計340万DLを突破、デイリー売上ランキングでも2017 年2月21日に過去最高順位(4位)を達成しており、ロングセラーゲームとして息の長い収益貢献を続けている。また、比較的規模(中規模アプリ)が小さく、収益貢献期間の短いカジュアルゲームも含まれる。「ぼくとドラゴン」に続く新タイトル「GK(コードネーム)」については、リリースに向けて着々と開発を進めており、大詰めを迎えているようだ。
(3)その他(メディア等)
2015年10月に買収したビジネス情報メディア「U-NOTE」(広告収入モデル)を中心に展開している。若手ビジネスパーソンにターゲットを絞ったことにより、リクルーティングサイトへの送客を軸として順調に立ち上がってきた。2017 年1 月にはキャリアに関わる様々な情報をカバーした転職メディア「U-NOTE. CAREER※をスタート。ビジネス情報メディア「U-NOTE」と転職メディア「U-NOTE.CAREER」のユーザーが相互に有効利用できるメディア体制を構築した。「U-NOTE.CAREER」については、本格稼働に向けて、開発や必要な手続きを進めており、収益貢献はもう少し先になる様子。一方、メディア以外では、スマートフォンの使い勝手や日常生活の利便性を高めるツール系アプリなど、過去の業績を支えてきた小規模アプリが含まれているが、中・大規模アプリへ開発リソースをシフトしたことにより足元では縮小している。
※「CAREER ABOUT」の名称を「U-NOTE.CAREER」へ変更。
2. 新規事業の概要
(1)VR
2016年11月にVR 領域※1への進出を目的とした子会社パルス(株)を設立すると、秋元康(あきもとやすし) 氏※2、松尾豊(まつおゆたか)氏※3、DaiGo 氏などが資本参加し、各分野における第一人者との協業により革新的な価値創造を目指している。同社のVR事業は、日本において実需があり、かつ収益貢献度が高い分野にフォーカスして開発を進めている模様で、2016年12月には、順天堂大学教授(堀江氏、川戸氏)とのVR技術応用(認知症の防止・進行遅延効果の研究をVR コンテンツ開発に活用)に関する共同研究を開始。2017 年5 月にも子会社のパルス(株)がVRソーシャルルームアプリ「Cluster.」※4を運営するクラスター(株)との業務提携を結んだ。このクラスター(株)との業務提携により事業展開の幅が大きく広がり、新たな体験が期待できる。他にも複数のプロジェクトが進行中となっているが、収益事業化に向けては今後の市場規模拡大やVR デバイスの普及度合い・技術革新なども勘案しつつ、長い時間をかける方針のようだ。
※1 Virtual Reality の略。
※2 作詞家、放送作家、映画監督、漫画原作者。A K B48 グループなどのプロデューサーとして、ほぼすべての楽曲の作詞を行っており、番組の企画構成やドラマの脚本なども手掛ける。
※3 東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻の特任准教授。専門分野は、人工知能、Web 工学、ディープラーニング。
※4 誰もがVR 空間上でルームを作って動画視聴やイベント参加、ライブ体験を共有して楽しめるアプリ。ルームの中で、動画視聴やウェブブラウジングなど1 人から数人でも長く楽しめるVR 体験を提供し、さらに、数十人から数千人規模のイベントを開催することも可能となっている。
(2)ライフハック
2015年11月に持分法適用関連会社としたIoTベンチャー(株)ロビットとの連携を軸として、スマートフォンアプリを通じて培ってきた体験設計のノウハウとIoT関連テクノロジーを活用した新たな製品及びサービスを展開している。足元では2016年7月にロビットのブランドで販売を開始したスマートフォン連動型カーテン自動開閉機「めざましカーテンmornin’」※が好調に推移している。本件による収益モデルは、ロビットに計上されるデバイス売上高のみであり、同社にはその利益の持分割合(営業外損益)が反映されることになる。
※「mornin’」は取り付け簡単で、スマホと連動させてタイマー設定するだけで、設定した時刻にカーテンが開閉するアイデアIoT家電(目覚まし装置)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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