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ビジョン Research Memo(5):2QはグローバルWiFi事業の好調持続で2ケタ増収増益に

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2017年12月期第2四半期累計の業績概要
ビジョン<9416>の2017年12月期第2四半期累計期間(1月−6月)の連結業績は、売上高で前年同期比20.1%増の8,350百万円、営業利益で同52.3%増の850百万円、経常利益で同60.1%増の850百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同67.2%増の571百万円と2ケタ増収増益となり、いずれも半期ベースで過去最高を更新、期初会社計画に対しても上回って推移した。

グローバルWiFi事業の売上高が前年同期比36.1%増、セグメント利益が同84.5%増と大幅に伸長したことが主因だ。閑散期ながらも季節変動の少ない法人需要の取り込みに注力したことで、利用件数の高成長が続いたことに加えて、2017年3月よりクラウド対応WiFiルーターの導入を開始したことが利益率の改善要因につながった。売上原価率は前年同期比で0.6ポイント、販管費率は同1.6ポイント低減し、この結果、売上高営業利益率は同2.2ポイント上昇の10.2%となっている。

2. 事業セグメント別動向
(1) グローバルWiFi事業
第2四半期累計の売上高は前年同期比36.1%増の4,732百万円、セグメント利益は同84.5%増の737百万円と大幅増収増益となった。同期間における海外渡航者数が前年同期比6.5%増の842万人※1と堅調に推移したほか、訪日外国人旅行者数も同17.4%増の1,375万人※2と引き続き好調に推移するなど、市場環境が良好だったことに加え、季節変動の少ない法人需要の取り込みも順調に進んだことなどが売上高の大幅増要因となっている。なお、当第2四半期累計のレンタル件数は73.6万件で、うち海外利用(日本→海外)は57.5万件、日本国内利用(海外→日本)は12.7万件、海外事業(海外→海外)は3.2万件となっている。前年同期との比較はないが、いずれも増加しており、1回当たりの顧客平均単価もほぼ前年同期並みであったことから、利用件数も増収率とほぼ同程度の伸びだったと見られる。

※1 入国管理局統計をもとに算出。
※2 日本政府観光局(JNTO)統計。


セグメント利益率で見ると前年同期の11.5%から当第2四半期累計は15.6%と4.1ポイントの大幅上昇となった。利益率の改善要因としては、各国通信キャリアからのデータ通信サービスの仕入条件についてボリュームディスカウント等による改善を進めたことに加えて、2017年3月よりクラウド上でSIMを管理する次世代型通信技術を活用したクラウドWiFiサービスの開始に伴い、クラウド対応Wi-Fiルーターを導入した効果が大きい。

クラウドWiFiサービスでは、クラウド上でSIMを管理するようになるため、物理的なSIMカードの差し替えが不要になるといった特徴がある。従来は、ユーザーから返却されたWiFiルーターは一度、出荷センターでSIMの容量チェックや差し替えを行う必要があったが、クラウドサービスではこうした作業が不要となり、出荷センターにおけるオペレーションコストの低減につながっている。また、従来は空港カウンター等に返却されたルーターはチェックのため一度、出荷センターまで戻す必要があったが、クラウドWiFi対応ルーターでは、空港カウンターでそのまま保管することも可能なため回転率の上昇にも寄与する。

クラウドWiFi対応ルーターは既存品よりもややサイズが大きいものの、電池の持ち時間が最大14時間と約2倍長くなっており、ユーザーの利便性向上にもつながっている。出荷オペレーションコストの低減や販売効率の向上によって、利益率が高まることになる。6月末時点で全ルーターのうち、約20%がクラウドWiFi対応ルーターとなっているが、同社では償却期間(2年間)が終わった端末から一部非対応エリアを除き、順次、切り替えて提供されていく計画となっている。クラウドサービスに対応している国と地域は現在、100ヶ国程度だが主要地域はほとんどカバーしているため、少なくとも2年後には大半がクラウドWiFiルーターに切り替わり、同事業の利益率も一段と上昇しているものと予想される。

なお、同社は法人需要の取り込み施策として、クラウドWiFiに対応したサービス「グローバルWiFi for Biz」※を2017年7月より開始している。SIMをクラウド上で管理できる特徴を生かして、都度のレンタル手続や受取り返却を不要にし、ユーザーが社内に常備しておくことが可能となるサービスで、海外出張が頻繁にある法人ユーザーにとっては利便性の高いサービスとなる。

※レンタル料金月額970円のほか、実際に利用した日数分のレンタル料金がかかる(670〜1,270円/日)。


その他、当第2四半期累計の取り組み施策としては、5月よりウェアラブル翻訳デバイス「ili」の一般向けレンタルサービスを開始したほか、高速通信規格4G-LTEの提供及び大容量プランのサービス提供エリアの拡充を進めた。また、訪日外国人をターゲットとした取り組み施策としては、新宿歌舞伎町ゴジラロード沿いにインバウンド観光ビル「歌舞伎城」を6月にオープンした。「歌舞伎城」では外貨両替所やポケットチェンジ(外貨を電子マネーに交換できるサービス)端末を設置しているほか、各種観光案内やグルメガイドサービス、観光地名産品の販売、同社の「NINJA WiFi®」や「ili」のレンタルサービスなどを行っている。

(2) 情報通信サービス事業
第2四半期累計の売上高は前年同期比3.6%増3,592百万円、セグメント利益は同6.9%増の599百万円と増収増益となった。主要ターゲットであるスタートアップ、ベンチャー企業の獲得及びCRMによる継続取引の積み上げが進んだことが増収増益要因となった。同社の強みである「Webマーケティング」×「営業」×「カスタマー・ロイヤリティ・チーム(コールセンター)」の三位一体となった営業戦略により着実に事業規模を拡大しており、セグメント利益率も前年同期の16.2%から16.7%に上昇している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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