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カンロ Research Memo(2):100年を超える老舗ながら新しく付加価値の高い製品を常に開発してきた

注目トピックス 日本株
■沿革

カンロ<2216>は1912年に創業、100年を超える老舗である。1950年に株式会社化、1955年にはカンロ飴が大ヒット、1960年にヒットにちなんで社名を「カンロ株式会社」に改称した。1962年に東京証券取引所第2部に株式上場して生産力を増強、1980年代はのど飴、1990年代はグミやノンシュガー飴、近年も「ピュレグミ」や「金のミルク」など、時代ごとに新しく付加価値の高い製品を世に送り出してきている。

■会社概要

1. 事業概要
「カンロは、『安全・安心な品質』を製品づくりの基本として、お客様に『美味しさ・楽しさ・健康』をお届けすることを企業使命としています」??同社ホームページ会社情報の冒頭にあるキャッチコピーだ。カンロ<2216>のメーカーとしての責務と顧客を想う製品作りの考え方は、まさにこの一文に凝縮されている。

同社はキャンディメーカーである。全日本菓子協会によると、2016年の菓子市場は小売金額で3兆3,609億円、生産金額で2兆4,773億円あり、かなり大きな市場である。菓子とは飴菓子、チョコレート、チューインガム、せんべい、ビスケット、米菓、和生菓子、洋生菓子、スナック菓子、油菓子、その他とジャンルは多岐にわたる。アサヒグループ食品(株)や森永製菓<2201>など複数のジャンルにまたがって生産する大手メーカーもあるが、規模の小さい専業メーカーも数多く存在する。菓子市場はインバウンド需要や業界のキャンペーン強化もあって微増を続けているが、ジャンル別の動向では、飴菓子やチョコレート、洋生菓子などが伸び、チューインガムやビスケット、スナック菓子が売上高を減らしている。

その中で同社の属する飴菓子市場は小売金額で2,610億円、生産金額で1,880億円あり、ともに2〜5%と比較的高い伸びになっている。小袋化や健康志向など機能性をもたせたハードキャンディと、成長期のグミがともに好調だったことが要因と考えられる。そのような市場で同社の販売金額は17,128百万円あり、シェアが9.1%で業界第2位を誇る。ちなみに同社の分類では、「ノンシュガー果実のど飴」や「金のミルクキャンディ」など飴、「ピュレグミ」などグミ、「まるごとおいしい干し梅」など素材菓子に分けられ、売上高構成比はそれぞれ65%、25%、10%となっている(同社では飴とグミを合わせてキャンディと称している)。

今度は(株)インテージのSRI(対象チャネル:スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストア)の2016年調査となるが、キャンディ市場は1,876億円で、パッケージ別の売上高は袋が808億円(前年比1.2%減)、ポケットが965億円(同2.6%増)、子供菓子などが102億円(同2.8%減)となっている。同社のパッケージ別売上高は、袋が122億円(同1.5%減)、ポケットが49億円(同7.1%増)、子供菓子は取り扱っていない。

袋を構成比の大きい順に分類すると、のど飴、洋風グルメ、和風群、ヘルシーなどとなる。同社はのど飴で2位、洋風グルメで1位、和風群で2位と主力カテゴリーでトップクラスを誇っており、得意分野と言える。しかし、飴の需要はやや厳しい状況にあることから、シェアを伸ばす戦略が必要である。一方、ポケットを構成比の大きい順に分けると、グミ群、容器群、ソフト群、のど飴などとなり、同社はグミ群3位、のど飴で6位と、伸びているポケットで出遅れていると言える。ちなみに、ポケットが伸びている理由は、その携帯性や使用シーンの広がりにあると考えられる。

2017年上期のキャンディ市場は前年同期比1.9%の微減となった。内訳は飴が同5.0%減、グミが同2.0%増、錠菓・清涼菓子が同3.7%増となったもようである。なかでもグミが伸びているが、1990年代に普及したため子供のころに食べたことのないシニア層で需要拡大余地が大きいこと、飴のようにのどに詰まらせたり虫歯になったりしないので若い母親が咀嚼のサポートとして子供に与えていることなどが理由のようである。このため、グミという切り口でもポケットという切り口でも、同社にとって大きな伸びしろとなっていると言えるだろう。また、最近人気の小型容器入り錠菓について、同社ではまったく手付かずになっている。

2016年も2015年ほどではないが、急増する訪日外国人が大量に菓子を買っていたようである。また、菓子の輸出額(2016年276億円、前期比8.6%増)はアジアを中心に高い伸びを続けている。なかでもキャンディ(2016年64億円、同6.3%増)は高い伸びを示しており、これはすなわち、アジアでの日本のキャンディのニーズが強いということの現れだろう。拡大余地はここにもあり、今後は同社もアジア進出をより強く意識していくことになるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



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