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カンロ Research Memo(9):信頼と競争力を向上させるCSR

注目トピックス 日本株
■CSR(企業の社会的責任)と株主還元

CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)とは、企業が自らの利益を追求するだけでなく、消費者や従業員、取引先、株主、経営者、社会などあらゆるステークホルダー(利害関係者)の利益を実現するために適切な意思決定をする、経営者・企業自身の責任のことである。CSRによって企業の信頼や競争力が向上することから、株価の上昇にも影響を与えると言われている。以下でカンロ<2216>のCSR活動を見る。

1. 環境、社会への対応
食品メーカーとして最も重要な食の安全への取り組みは各部門で成されている。開発部門では、顧客の視点に立った研究・開発に積極的に取り組んでおり、原料の調査からレシピ・製法の検討、製造テストを繰り返し行い、食品の安全性を確認した後に製品を提案している。

工場部門では、食品衛生法など食品関連法規ばかりでなく独自の厳しい基準を遵守するなど、徹底した衛生管理・品質管理に取り組んでいる。製造現場では5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)やVM活動(見える化)によって、より安全で安心な製品づくりのためのバックグラウンド構築も進めている。製造時刻を分単位で管理するトレーサビリティシステムを導入、敏速かつ効果的に生産履歴を追跡する体制を構築し、製品の更なる安全性の向上とより鮮度の高い風味豊かな製品の提供を可能にする。

品質保証部門では、開発部門に対して新製品の製品設計審査の実施と食品関連の法令順守状況の確認をする一方、工場部門に対しては定期的な品質監査や製造環境審査によって食品関連法規を遵守した品質管理のチェックも実施している。顧客からの意見や指摘については社内関係部署で速やかに閲覧できるようになっている。グミを製造する長野・朝日工場では、フードディフェンスを包含する国際的な食品安全規格であるFSSC22000を取得した。

その他、環境、次世代人材の育成支援、女性の活躍推進、社会(世界の子どもや地域)、教育支援への取り組みを強化している。こうした活動はCSRレポートにまとめられ、ホームページに掲載しており、誰でも閲覧することができる。また、「ひと粒のメッセージ」プロジェクトやキャンディスマイルプロジェクトといった、分かりやすい形でもCSRを実践している。

2. コーポレートガバナンス
カンロ<2216>は社会の一員として、法令順守、社会貢献、公明正大な企業行動を実践するための規範となる「企業行動憲章」を制定し、企業倫理の指針としている。また、経営の透明性と健全性の確保、経営の効率性の向上と持続的な企業価値の向上の実現を目指している。このためには、取締役会及び監査役会の機能強化、経営状況の情報開示(ディスクロージャー)、株主への説明義務が重要であると考え、コーポレートガバナンスの充実に取り組んでいる。この実現のため、当社は監査役会設置会社の形態を選択し、独立役員の要件を満たす社外取締役・社外監査役の選任により経営監督機能を強化するとともに、執行役員制度を導入して意思決定や業務執行の迅速化・効率化を図っている。

同社はコンプライアンスを法令・社内規定にとどまらず、一般的な社会規範等を遵守して行動することと定義している。その中で、全社員を対象にしたコンプライアンス教育の徹底、チーフ・コンプライアンス・オフィサーの下でのコンプライアンス委員会の設置、毎年2回の定時委員会での規定や教育に関する審議などを実施している。また、法令違反に関する通報ができる内部通報窓口を社内外に設置、通報時にはコンプライアンス委員会を招集して検討・審議する。

BCP(事業継続計画)を策定し、災害や事故などの予期せぬ出来事が発生した場合、全役員及び従業員とその家族の安全確保を第一とした上で、安全で安心な製品の安定供給の早期復旧及び継続を実現することとしている。

3. 株主還元の考え方
同社は株主還元を重要な政策と認識しており、継続的かつ安定的な配当を行うことを目指している。近年当期利益のアップダウンが大きかったため配当性向のボラティリティは上がったが、配当額は年間12円(中間6円)で一定を保ってきた。期中の株式数の変更はあったが、収益体質が改善してきたことで2016年12月期、2017年12月期とも配当性向(予想)は42〜43%で安定している。

同社は、キャンディの老舗専業メーカーとしてブランドを維持しつつ、中期経営計画に示した戦略によって変化を怖れず新たな挑戦をし、CSR強化にも積極的に取り組んで、売上利益を伸ばし収益力の高い企業を目指す。その結果とし高水準の株主還元を実現し、株主の満足度を高めていく考えである。

なお、同社は2017年7月1日、2016年12月期決算とともに発表していた単元株式数の変更(1000株→100株)と株式の併合(5株→1株)を実行した。単元株式数の変更は株式売買の利便性向上、株式併合は投資単位の適正化が目的と考えられる。

4. 株主優待制度
同社の株主優待は所有株数に応じて3つのコースから選択することができ、同社らしい楽しいものになっている。具体的には、Aコースのカンロバラエティセットは同社の販売している飴・グミ・素材菓子の中から特に薦めたい製品のセット、Bコースのグミ・素材菓子満喫セットはグミと素材菓子を十分堪能できるセット、Cコースのヒトツブカンロ満喫セットはキャンディの新しい魅力を提案する直営店「ヒトツブカンロ」から普段は店舗でしか購入できないよりすぐりの製品のセット??となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



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