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シノケンG Research Memo(11):インドネシアで不動産開発事業、国内でブロックチェーン活用事業を新たに展開

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

3. 中期3ヶ年計画と新規事業の取り組みについて
シノケングループ<8909>では2016年11月に3ヶ年の中期経営計画を発表しており、最終年度となる2019年12月期の連結業績目標として、売上高1,250億円、営業利益130億円、経常利益125億円、親会社株主に帰属する当期純利益91億円を掲げた。また、財務面では2019年12月期に自己資本比率を40%以上に引き上げるほか、ネットキャッシュ(現預金-有利子負債)をプラスに転換し実質無借金経営を目指していく。2017年12月期第2四半期末における自己資本比率は29.3%、ネットキャッシュは約270億円のマイナスとなっている。

中期経営計画の経営戦略として、既存事業の強化による収益拡大と同時に、2020年以降の成長を見据え海外事業も含めた新規事業の育成を掲げている。

(1) 既存ビジネスの強化
既存事業ではフロービジネスであるアパート販売を拡大していくことで、販売に連動する賃貸管理や家賃等の債務保証、LPガス・電力の小売販売といったストックビジネスの積み上げを図り、収益成長と同時に収益基盤の安定化を進めていく。

また、介護事業に関しては、サ高住やグループホーム、訪問介護サービスなど多様なサービスをワンストップで提供できる強みを生かし、今後はグループ会社間の連携を図りながらシナジーを高めていく戦略だ。国内では高齢者(65歳以上)人口が2016年の3,454万人から2040年に3,800万人を超える水準まで増加し、また人口比率では2050年に38.8%まで達すると予測されるなど、今後は超高齢社会となる。介護市場では在宅での要介護者数が増える見通しで、訪問介護サービスの重要性は一段と高まるほか、高齢者向け賃貸住宅の需要も拡大していくことが予想される。

同社はこうした需要増に対応するため、賃貸住宅でも単身者の高齢者が安心して生活できるよう、各種安心サポートサービス(見守りサービス、訪問診療・介護、食配サービス等)付きの「寿らいふプラン」を開発し、提供を開始している。同プランはアパートの一部屋からでも高齢者向け住宅にリニューアルできるパッケージプランとなっており、オーナーにとっては既存の賃貸アパートの空室を有効活用できるメリットがある。現在、サービス付き高齢者住宅と高齢者向け賃貸住宅で合わせて1,000戸を超える実績となっており、今後更なる拡大が見込まれる。なお、サービス付き高齢者住宅については新設の予定がなく、高齢者向け賃貸住宅を伸ばしていく戦略となっている。

(2) 新規事業の育成
同社は2020年以降の持続的な成長を図るため、新たな収益柱となる事業の育成に今後3年間で取り組んでいく方針となっている。具体的に動き始めている事業として、インドネシアでの不動産開発事業、国内における「リノベ×民泊」事業が挙げられる。また、M&Aにもついてもシナジーが見込める案件については積極的に取り組んでいく方針となっている。

a) インドネシアの不動産開発事業
インドネシアの人口は約2.55億人と世界第4位で、うちジャカルタは約1,017万人の都市となっている。周辺の郊外都市も含めた都市圏人口では約3千万人となり、これは東京に次ぐ世界第2位の規模で20年後には東京を抜いて世界1位の巨大都市に成長するとも言われている。このため、賃貸住宅等の不動産市場も今後高成長が期待できることになる。

同社は2016年に現地子会社を設立し、ジャカルタ市内にて投資用アパート販売事業を展開すべく事業化の準備を進めてきた。第1号案件として投資用アパート「桜テラス」の建設に着手しており、2018年夏ごろに完工する予定となっている。物件はジャカルタ中心部で651m2の敷地に鉄筋コンクリート、地下1階から地上4階までのワンルーム65戸の規模で、既に販売先も決定していると言う。そのほかにも4〜5件の土地を取得しており、販売先が決まり次第、着工に取り掛かる予定となっている。1棟当たり数億円の販売規模となるが、投資利回りとしては国内のアパート以上の水準が見込めるとしており、2020年度までに事業規模として100億円程度に拡大していくことを目指している。また、インドネシアで事業基盤が固まれば、周辺国の主要都市への進出も視野に入れている。

b) 「リノベ×民泊」事業
民泊新法が2018年春から施行される見通しとなったことから、同社でも民泊ビジネスを本格的に展開し、事業を拡大していく計画となっている。民泊対応型マンションやアパートの販売だけでなく、既存テナントの空室をリノベーションにより民泊物件として再生する「リノベ×民泊」事業についても取り組みを開始している。まずは自社保有ビル等で空室となっている物件のうち、民泊用として需要が見込める物件に関してリノベーションを実施し、民泊物件として提供を開始する。同社では、今後1年間で30室程度を目標としている。

民泊ビジネスに関しては成長市場であるため参入企業が増え競争の激化が予想されるが、同社は現在、共同開発中のブロックチェーンを活用した新たな仕組み、サービスを導入することで利便性の向上を図り、同事業を拡大していく考えだ。自社物件でビジネスモデルを確立した後に、全国主要都市において他社が保有するビルの空室物件に関しても「リノベ×民泊」サービスを提供していくことを計画している。オフィスや店舗としての借り手が見つからなくても、民泊用であれば需要が見込める物件の潜在需要は大きいと見られ、これらを取り込んでいく戦略だ。

また、ブロックチェーンを活用したサービスについては、同社が販売するアパートやマンションなどでもオーナーの了解が得られれば、導入していく予定にしている。同サービスを導入することによって、入居率の向上が期待されるため、早晩、普及していくものと予想される。同社はシステムサービスの利用料を得ることで、新たな収益増につながることになる。

(3) M&Aの取り組み
M&Aの取り組みとしては、エネルギー事業拡大施策の1つとして、2017年5月に再生可能エネルギーであるバイオマス発電の企画開発等を行う新電力開発(株)の株式を50%取得し、関連会社とした(出資額は数千万円程度)。新電力開発は2017年に設立されたベンチャーだが、既にFIT(固定買取価格制度)認定を受けた第1号案件※を抱えており、2018年に鳥取県境港市に発電出力で28MWの発電施設を建設し、2019年からの稼働を計画している。同社は東南アジアにあるグループのネットワークを活用してバイオマス発電の材料調達をサポートしていく。

※ 1kWh当たり24円で20年間販売できる契約となっている。


また、2017年8月には「MYU」ブランドで不動産賃貸仲介業を展開するアーウェイ・ミュウコーポ?レーション(株)(以下、ミュウ)に出資し、グループ会社化したことを発表した(出資比率は非開示)。「MYU」は福岡市内を中心に11店舗を展開しており、従来から同社の物件に関しても賃貸仲介を行うなど取引関係のあった会社だが、今回、グループ会社化することで更なる関係強化に取り組み、シナジーを創出していく考えだ。具体的な、シナジーとしては以下の4点が挙げられる。

a) マーケティング
「MYU」をアンテナショップとして、様々な顧客ニーズや周辺家賃の相場状況などをタイムリーに収集・分析し、同社が提供するアパート・マンションの企画・開発に反映することで、商品価値の向上につなげていく。

b) 賃貸仲介
「MYU」の店舗において同社物件に対する賃貸仲介の取り組みを今まで以上に強化することで、同社物件の更なる入居率の向上につなげていく。

c) 仕入・売買強化
同社とミュウが有する土地・中古物件情報を共有することで、同社のアパート用地仕入力の増強が見込まれるほか、同社物件のオーナーやミュウの取引先から寄せられる中古物件の売却依頼や購入依頼に対して、タイムリーに対応できることが可能となる。

d) ストックビジネスの拡大
ミュウが仲介する他社物件の入居者に対して、同社が提供するLPガスや電力、家賃保証、少額短期保険など様々なサービスを提供することで、ストック型ビジネスの更なる積み上げが可能となる。

今後、こうしたシナジーを最大化していくため、同社では「MYU」の店舗数を拡大していく戦略で、1年以内に九州や東京で5店舗程度出店するほか、2020年までに名古屋や大阪、仙台等にも進出し、総店舗数で30店舗以上の体制を目指していく考えだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



<NB>

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