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ダイキアクシス Research Memo(3):水と環境を中心とした開発型企業

注目トピックス 日本株
■事業概要

環境機器関連事業と住宅機器関連事業を二本柱とし、その他の事業を成長事業としている。卸売が大半を占める住宅機器関連事業に対し、ダイキアクシス<4245>の独自性が発揮できる環境機器関連事業に注力することで、売上高営業利益率は上昇傾向にある。2016年12月期の事業別売上高営業利益率では、環境機器関連事業が7.5%と住宅機器関連事業の3.1%の倍以上の水準となった。また、新規事業のその他の事業は収益性が長らく水面下にあったが、昨年度に黒字転換を果たした。

1. 環境機器関連事業
環境機器関連事業は合成樹脂製浄化槽の製造・販売からコンクリート製の大型排水処理施設の設計・施工・維持管理を手掛ける。個人住宅のし尿・生活排水から産業排水、地域集落排水の処理をカバーし、多岐にわたる用途に対応している。排水処理関連機器だけでなく、地下水の飲料化の上水事業、使用した上水を再利用する中水事業にも関わっている。子会社と協業して、メンテナンスサービス体制を構築している。2016年12月期の同事業の連結売上高は15,913百万円で、内訳は浄化槽・排水処理システムが96.6%、上水事業が3.4%であった。

(1) 家庭用浄化槽−パイオニア的存在
同社は1964年から浄化槽の開発を始めており、1976年に業界で初めてFRP(繊維強化プラスチック)製浄化槽のJIS認定工場になるなどパイオニア的な存在である。2006年6月にはISO90001の認定を取得し、品質管理体制も強化。2014年1月に同社の「XE型浄化槽」は浄化槽業界で初のエコマークを取得した。同製品は大手ハウスメーカーが採用し、輸出もされ、収益性の改善に寄与した。重点施策とするディスポーザ(生ごみ破砕機)対応浄化槽及びディスポーザ排水処理システムの設置戸数で、業界No.1を目指している。同社製品は公益社団法人日本下水道協会が定めた基準の適合評価を得ており、ディスポーザと排水処理システムをセットで認可を取っていることが強みとなる。

(2) 排水処理システム−メンテナンスを含む一貫体制が強み
家庭用合併処理浄化槽が環境機器関連事業の売上構成比で12.5%であるのに対し、マンション、地域集落、食品加工工場、病院、電機、メッキ加工工場の排水処理を行う排水処理システムは58.0%を占める。

同社の強みは、排水処理施設に関する設計、製造、施工、販売、メンテナンスの一貫体制を取っていることにある。メンテナンス業務により顧客との継続的なコンタクトが可能になり、改修・増設工事の受注にも結び付く。また、現場で収集したユーザーニーズを研究開発にフィードバックしている。メンテナンスは、専属部門が24時間監視やスポット対応など顧客ニーズに合わせたサービスを提供できるよう体制を整えている。自社グループが設計・施工したものはもとより、他社の手掛けた設備・施設でも対応する。2016年12月期のメンテナンス収入は、前期比6.4%増の4,016百万円、環境機器関連事業売上高の25.2%を占めた。

(3) 物流-業務提携により効率化を図る
環境機器関連事業の営業網は、北は北海道から南は鹿児島までの全国主要都市をカバーしている。生産は愛媛県の松山工場や津島工場、信州工場(長野県)、福島工場(福島県)の4ヶ所で行われ、納品先に近い工場から出荷される。加えて、2008年に業務提携した大栄産業(株)のネットワークを活用し、運用の効率化を図っている。大栄産業は生産拠点を愛知県(2ヶ所)、北海道、大分県、鹿児島県の5ヶ所に持つ。両社は相手先ブランドで製造し、製品を相互供給することで、お互いの販売先に近い生産拠点から出荷する仕組みを構築し、物流コストを削減している。生産体制としては、見込生産、受注生産及び受注組立の生産形態となっている。

(4) 上水事業
環境機器関連事業に属し、新規事業に位置付けられている上水事業は主に病院、大型商業施設、福祉施設、スポーツジムなどに安全で安価な飲料水を安定的に提供するエスコサービスになる。供給する上水は地下水を飲料化したもので、従来の上水料金よりも10〜30%のコスト削減になる。利用方法は水道とまったく変わらず、使用量に応じて課金される。エスコの上水設備は同社が所有する。顧客先の設備の稼働状況は、ITセンサーを駆使することで同社の本社から24時間、365日モニタリングする遠隔自動監視システムを導入している。

2017年6月末のエスコサービスの累計契約は77件に達している。業態別ユーザーの内訳はライフライン確保を重視する病院が21件、次いで福祉施設が13件、大型商業施設が12件、スポーツジムが11件、食品加工工場が11件などとなる。全国でチェーン展開している大型商業施設やスポーツジムなどでの横展開を図る。地下水の飲料化は工場排水の処理システムを手掛けている同社にとって技術的な困難さはないが、リスクを嫌う食品加工業への浸透が遅れていた。しかしながら同分野でも新規開拓に成功したことから、同社エスコサービスの水質安全性に対する信用度が高まった。

国内では、累計100件、業界トップを目指しており、海外での事業化も検討する。エスコ事業は荏原製作所<6361>や栗田工業<6370>などの大手水処理機器メーカーが参入するには市場規模が小さい。一方、中小企業では資本力を含め企業体力に欠ける。現在のところ競争激化のおそれはないだろう。

2. 住宅機器関連事業
住宅機器関連事業の売上高構成比(2016年12月期)は、建設関連業者等が67.7%、ホームセンターリテール商材が15.3%、住機部門工事が17.0%であった。

(1) 建設関連業者等−機器卸売業は自社商圏内で高い実績
前身のダイキが1958年の創業時に「タイルと衛生陶器の店」としてスタートしており、住宅機器の卸売業では数十年来の実績を持つ。システムキッチン、トイレ、ユニットバスなどの水回り住設機器を元請のゼネコン、地場建築業者、ハウスメーカーに販売している。商圏は本社がある四国及び瀬戸内に面する中国・近畿地方に限定され、同地域内では高い販売実績を上げている。

(2) ホームセンターリテール商材−DCMグループとの関係強化
同社はホームセンターとして日本最大の店舗網を持つDCMグループとの関係強化を図っている。2016年12月期の同グループ向け売上高は6,020百万円、前期比30.9%増となり、売上依存度は18.4%へ上昇した。事業別内訳は住宅機器関連事業が82.5%、環境機器関連事業が17.2%だった。住宅機器関連事業はキッチン、バス、トイレ等の住宅商材の販売、リフォーム業者向けプロ用商材の販売、店舗建築工事を含む。環境機器関連事業は店舗浄化槽設備工事・メンテナンス、店舗管理業務になる。店舗建築工事はDCMグループからの直接請負になる。同社はもともとDCMグループと資本関係があり、独立後も良好な関係を維持している。

環境機器関連事業としては、DCMグループ店舗の店舗浄化槽設備工事とメンテナンス、店舗管理業務(清掃・消防・電気等点検業務)を請け負っている。店舗管理業務はDCMダイキ(株)やDCMカーマ(株)から始まり、DCMホーマック(株)とDCMサンワ(株)へ拡大された。DCMグループの出店店舗数は2016年2月末が609店舗、前期比50店舗増となった。さらに、(株)くろがねやと持分法適用会社のケーヨー<8168>が加わり、2017年2月現在の対象店舗数は840店舗に増加した。商品供給だけでなく、店舗管理業務なども順次開拓することになるだろう。

店舗管理業務はストック型ビジネスになる。同社が提供するワンストップ・サービスはコスト面だけでなく、窓口一本化の利便性、全国均質の品質、安心のコーポレート・ガバナンスなどのメリットがあり、全国チェーン展開している小売企業にとって魅力的だ。それらの企業は、地域ごとに複数の業者へ個別発注している場合、品質のばらつきや複数業者との取引の煩雑さが問題となる。また、最近は外注先の不祥事に神経質にならざるを得ない。同社は東証1部上場企業として反社会勢力との取引排除などを含むコーポレート・ガバナンス体制を取っており、顧客企業が安心して業務委託できる。目下、大手流通チェーンとの取引関係の強化を図っている。

3. その他の事業
その他の事業の2016年12月期における売上高は731百万円と前期比11.6%増加した。売上高構成比はボトルウォーターの宅配を行うクリクラ事業が76.8%、バイオディーゼル燃料関連事業が17.4%、小形風力発電機関連事業が5.8%であった。販管費の圧縮や物流の効率化を図り、営業利益が22百万円と黒字転換した。

2012年4月にシルフィードを子会社化し、小形風力発電機関連事業に参入した。2014年10月から福島県でプロトタイプのフィールドテストを行い、2016年2月より量産機の販売を開始した。第1号機は、福島県の農業用ビニールハウスの独立電源として採用された。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)



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