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カイオム Research Memo(1):ADCTがLIV-1205の開発に向けてオプション権を行使

注目トピックス 日本株
■要約

カイオム・バイオサイエンス<4583>は、国立研究開発法人理化学研究所(以下、理研)発の創薬基盤技術型バイオベンチャー。独自の創薬基盤技術であるADLib®システムを核とした抗体医薬品の創薬事業及び創薬支援事業等を行っている。

1. ADCTがLIV-1205の開発に向けてオプション権を行使
2017年6月26日付で、同社はがん治療用抗体(LIV-1205、LIV-2008b)のオプションライセンス契約を締結していたスイスのADC Therapeutics(以下、ADCT)から、LIV-1205に関するオプション権を行使する旨の通知を受けたことを発表した。現在、ライセンス契約締結のための協議を行っている段階で、2017年内の契約締結を目指している。今後はADCTがADC※開発用途での臨床試験を進めていくことになる。契約一時金及び開発進捗によって得られるマイルストーン、販売高に応じたロイヤルティや販売マイルストーンを得られる契約となっており、また開発が進むほどマイルストーンの金額が大きくなる契約であるため契約一時金に関しては少額となるもようだ。

※ADC(抗体薬物複合体)は、悪性腫瘍等の抗原に特異的に結合する抗体と抗がん剤等の薬物を結合させることにより、薬剤を病変部位に選択的に到達させて効果的にがん細胞を死滅させることを目指した医薬品。


2. 2017年12月期第2四半期累計業績は研究開発費の減少に伴い損失額が縮小
2017年12月期第2四半期累計業績は売上高で前年同期比22.0%減の102百万円、営業損失で388百万円(前年同期は582百万円の損失)となった。売上高は創薬事業、創薬支援事業ともに若干減収となったが、人件費を中心とした研究開発費が前年同期比148百万円減少したことで営業損失は縮小した。通期業績予想は創薬事業におけるライセンス契約の動向が不確実なため開示していないが、研究開発費の減少等により営業損失額は前期比で縮小する見通しだ。なお、2017年12月期第2四半期末の現預金は約45億円となっており、今後3〜4年程度の事業活動資金は確保できていると考えられる。

3. 現在、創薬開発に注力
今後のビジョンや事業計画については、現在行われている経営諮問委員会の助言を活用して策定していくことにしている。同社は創薬開発により注力する考えで、アカデミア等との提携によるシーズの開拓、LIV-1205の初期臨床段階までを自社で手掛けるなど、自社パイプランを拡充し収益を獲得していく考えだ。まずはLIV-1205の通常抗体での臨床開発体制の準備を進めていくことになる。LIV-1205に関しては現在、米国のNCI(国立がん研究所)で小児がんを対象とした非臨床試験が行われており、2017年内に一部結果が判明する見通し。同結果を確認した上で臨床開発の対象疾患を絞り、開発を進めていくことになる。また、同時並行で通常抗体としての導出活動も継続して行っており、開発パイプラインを前進させることを最優先に取り組んでいく方針だ。

■Key Points
・LIV-1205のライセンス契約締結、及び自社臨床開発に向けた準備を進めていく
・ADLib®システム等を使った創薬支援事業と創薬事業を展開
・創薬開発に注力

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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