カイオム Research Memo(4):新株予約権の行使により当面の事業活動資金は確保
[17/09/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
2. 財務状況
2017年12月期第2四半期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比99百万円増加の4,888百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では現預金が40百万円減少し、固定資産では(株)Trans Chromosomics(以下、TC)への出資(出資比率6.3%、2017年2月)により投資有価証券が150百万円増加した。
TCは鳥取大学発のバイオベンチャーで、独自の染色体工学技術に基づき汎用性の高い人工染色体ベクターを用いた創薬プラットフォーム技術を有している。同技術を用いて完全ヒト抗体を産生するマウス・ラットの開発及び抗体医薬開発、遺伝性希少疾患のモデルマウス・ラットの開発、ヒト型免疫系を有するモデルマウス・ラットの開発を行っており、複数の大手製薬企業と共同研究を実施している。カイオム・バイオサイエンス<4583>でも共同研究プロジェクトを立ち上げており、今後TCからヒト型抗体を産生するマウスの提供を受け、新規抗体作製等のパイプライン拡充につなげていく考えだ。
負債は前期末比46百万円減少の177百万円となった。有利子負債が29百万円、未払金が15百万円減少したことによる。また、純資産は前期末比145百万円増加の4,710百万円となった。四半期純損失389百万円を計上した一方で、新株予約権の権利行使等により資本金及び資本剰余金がそれぞれ268百万円増加したことが要因となっている。
同社は2016年9月に第3者割当(メリルリンチ日本証券)による新株予約権を発行し、2017年6月末時点で行使率は75.8%、資金調達額は約17億円に達している。残り134.7万株相当の新株予約権を下限行使価額(312円)ですべて権利行使したと仮定すれば420百万円の資金を調達できることになる。調達資金の使途としては、LIV-1205に関する臨床試験準備から初期臨床段階までの開発費用で1,300百万円(2017年1月−2019年12月)、新規パイプラインの創製及び導入で300百万円(2016年12月−2018年12月)、残りを高度な技術やシーズを有する企業への出資やM&A(2016年10月−2018年12月)に充当する予定となっている。
2017年12月期以降もパイプラインの導出に伴う契約金収入等がなければ、研究開発費等の計上により期間業績は年間で1,000百万円前後の損失が続く可能性が高い。とはいえ、当第2四半期末の現預金の水準は4,000百万円を超えており、今後3〜4年程度の事業活動資金は蓄えられているものと判断される。ただ、今後も開発パイプラインやADLib®システムの技術導出などに進捗が見られなければ、再度、資金調達を実施する可能性がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 財務状況
2017年12月期第2四半期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比99百万円増加の4,888百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では現預金が40百万円減少し、固定資産では(株)Trans Chromosomics(以下、TC)への出資(出資比率6.3%、2017年2月)により投資有価証券が150百万円増加した。
TCは鳥取大学発のバイオベンチャーで、独自の染色体工学技術に基づき汎用性の高い人工染色体ベクターを用いた創薬プラットフォーム技術を有している。同技術を用いて完全ヒト抗体を産生するマウス・ラットの開発及び抗体医薬開発、遺伝性希少疾患のモデルマウス・ラットの開発、ヒト型免疫系を有するモデルマウス・ラットの開発を行っており、複数の大手製薬企業と共同研究を実施している。カイオム・バイオサイエンス<4583>でも共同研究プロジェクトを立ち上げており、今後TCからヒト型抗体を産生するマウスの提供を受け、新規抗体作製等のパイプライン拡充につなげていく考えだ。
負債は前期末比46百万円減少の177百万円となった。有利子負債が29百万円、未払金が15百万円減少したことによる。また、純資産は前期末比145百万円増加の4,710百万円となった。四半期純損失389百万円を計上した一方で、新株予約権の権利行使等により資本金及び資本剰余金がそれぞれ268百万円増加したことが要因となっている。
同社は2016年9月に第3者割当(メリルリンチ日本証券)による新株予約権を発行し、2017年6月末時点で行使率は75.8%、資金調達額は約17億円に達している。残り134.7万株相当の新株予約権を下限行使価額(312円)ですべて権利行使したと仮定すれば420百万円の資金を調達できることになる。調達資金の使途としては、LIV-1205に関する臨床試験準備から初期臨床段階までの開発費用で1,300百万円(2017年1月−2019年12月)、新規パイプラインの創製及び導入で300百万円(2016年12月−2018年12月)、残りを高度な技術やシーズを有する企業への出資やM&A(2016年10月−2018年12月)に充当する予定となっている。
2017年12月期以降もパイプラインの導出に伴う契約金収入等がなければ、研究開発費等の計上により期間業績は年間で1,000百万円前後の損失が続く可能性が高い。とはいえ、当第2四半期末の現預金の水準は4,000百万円を超えており、今後3〜4年程度の事業活動資金は蓄えられているものと判断される。ただ、今後も開発パイプラインやADLib®システムの技術導出などに進捗が見られなければ、再度、資金調達を実施する可能性がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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