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サイバネット Research Memo(6):パートナーとの連携強化等も図り20/12期の連結売上高300億円を目指す

注目トピックス 日本株
■中長期の成長戦略

1. 2018年12月期以降の見通し
サイバネットシステム<4312>は2015年5月に、2015年から 2020年まで3年×2の中期経営計画を公表している。基本戦略は、1)同社独自の価値の提供、2)自動車関連分野への注力、3)パートナーとの連携強化、の3点である。CAE、IT、可視化、ビッグデータなどを用いた高付加価値、高品質のサービスを提供することで、中長期の経営目標として、前期(2015年−2017年)は連結営業利益率8%超を、後期(2018年−2020年)は連結売上高30,000百万円超、連結営業利益3,000百万円(営業利益率10%超)の達成を目指すというものである。まずは前期の目標達成を確実に行い、後期の目標達成に向けて注力していく。

(1) 同社独自の価値の提供
従来の3D CAEにおけるMDS(マルチドメインソリューション:電気・熱など異なる分野をまたがって解析する手法)に加え、1D CAE及びテストと計測を連携させた拡大MDSを推進している。個々の開発者や設計者が単品のCAEで解決してきた構造、応力、熱、流体等の解析をすべて同時にシミュレーションして最適化することや、同社のCYBERNET CLOUDを利用したCAEクラウドと連携させ、ビッグデータ化しほかでも活用することなど、研究開発環境への付加価値の創造を目指す。また、研究テーマが広がることで、研究者の数自体も増加傾向にあり、顧客の購入ライセンスの増加が見込まれる。加えて、実際に製造される製品や部品をバーチャル環境でテストするCAEとしてデジタルツイン(Digital Twin)というCAE技術への注目も高まっている。同社ならではの取り組みに加え、このような追い風を生かすことで、2014年12月期時点で127億円のMDS関連の売上高を2020年には259億円まで増加させる計画である。

(2) 自動車関連分野への注力
ADAS※やIoTなど、ますます高度化・高精度化する自動車関連分野に対して、同社独自技術を用いたコンサルテーションを通じて、顧客にとっての最適なソリューションをグローバルに提供できることを目指す。さらには関連技術を持った企業のM&Aも視野に入れている。これらの取り組みにより、2014年12月期時点で15億円の自動車関連の売上高を、2020年には50億円まで増加させる計画である。

※ADAS(Advanced Driving Assistance System:運転手の支援や運転技術の補完、運転代理までも行う先進運転支援システムのこと


(3) パートナーとの連携強化
グローバル展開を加速するために、各地域でパートナー及びグループ間の連携を強化するとともに、開発子会社製品のOEM提供を積極的に推進する。加えてM&Aの動き等も今後は加速していくと考えられる。

2. リスク及び対処
同社のリスクは、代理店ビジネスが中心であり、ソフトウェア商品が売上高の7割を占めていることである。開発ベンダーとの販売代理店契約は、原則として非独占かつ年単位で更新されることになっている。開発元の変化、つまり、M&Aや経営者の交代による販売戦略の変更により、開発元自身が販売を開始する場合や、他社と販売代理店契約を締結する場合などには、業績に大きな影響を与える可能性がある。同社としては、MDSの推進で顧客にとって必要不可欠な存在となること、グローバル化の推進によりソフトウェアベンダー側にメリット提供することなどで、他の代理店とは一線を画し、ほかに替えの効かない存在となることでリスク回避を図る計画である。

なお、そのほかには人材獲得・人材育成に関するリスクが考えられる。同社はCAEという非常に専門性の高い分野を中心とした事業を展開しており、製造業のもの作りの現場では欠かせない存在としてサービス向上と拡大に努めている。その担い手である人材確保は、今後の成長においては重要であるため、人事制度の見直し等も踏まえ、採用面の強化を図る計画である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 内山 崇行)



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