丸運 Research Memo(2):創業125年を迎える老舗物流企業
[17/09/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社の概要・沿革
1. 沿革
丸運<9067>の創業は1892年9月で、2017年で125年目を迎える。「利他自利(他人のために利益を図ることによって、初めて自らも利益を得ることができる)」という創業者スピリットのもとで、今日まで、明治、大正、昭和、平成と連綿と経営を続けた運送業の老舗であり、幾たびかの困難を乗り切り発展を遂げてきた。
この創業者スピリットを発展的に継承した「お客さまの物流ソリューションを最高の品質と創造力で革新し社会の発展に貢献します」という新たなミッションを加え、同時に「コンプライアンス行動の最優先」、「環境マインドの醸成とサスティナブルな社会づくり」、「安全品質の追求」などにも取り組む丸運グループ経営理念を2015年12月に掲げた。
総合物流企業として、北海道から九州まで物流センターをはじめ、幅広い範囲で保管、輸送の拠点を持ち顧客のニーズに応えている。また、海外でも、中国に丸運国際貨運代理(上海)有限公司、丸運安科迅物流(常州)有限公司、丸運物流(天津)有限公司と3つの拠点を有するほか、2017年8月に丸運物流ベトナムを現地法人化した。中国やベトナムでビジネスを行う日系企業をロジスティクスの面で支えている。
物流企業は、宅配便を中心としたヤマト運輸(株)を代表とするBtoCをメインの事業とする企業と、企業物流のサポートを中心とするBtoBの企業に大別することができるが、同社は後者に属する。
なかでも、同社はJXTG系列であることから、石油や石油製品に関連する輸送ビジネスの構成比が高い。セグメント別で見ると、石油輸送が25.9%、潤滑油・化成品が10.2%と、この2つのセグメントで3分の1を優に超す。ただ、最も構成比率が高いのは貨物輸送の49.9%で、一般的なトラック貨物輸送などが中核だ。このほか、国際貨物(直近の構成比12.5%)、流通貨物(同1.4%)も加えた5つのセグメントで構成されている。
2. 事業の概要
以下、セグメントをさらに詳細に分けた、個々の事業について紹介する。
貨物輸送が営業収益全体の約半数を占めているが、同社が展開する貨物輸送の分野は幅広い。輸送するだけではなく、倉庫などの保管業務なども手掛ける。
(1) トラック輸送
自社配送網と提携先を駆使、1つの配送業者と契約するのに比べ、安価で安全、確実、迅速なサービス提供している。「共同輸送(全国配送)」のほか、請求書や証明書等ビジネスレター(信書)を安全・確実に届ける「特定信書便輸送」など、グループ会社や協力会社を含め、全国に展開するきめ細かなネットワークで、顧客のニーズに合うようビジネスを展開している。
(2) 一般貨物倉庫
同社は保管機能だけでなく、流通加工や配送機能を有した物流センターを全国各地に設置している。保管機能は危険物倉庫、保税倉庫、定温倉庫、冷蔵・冷凍倉庫など多種多様な用途に対応が可能になっている。天井クレーンなど貨物の特性に合わせた各種設備も備えるなど、物流をトータルサポートしている。各拠点では、送り状、荷札の発行、入出庫管理、在庫管理、請求書発行及び車両管理や物流EDIなどの情報を一元管理できるシステムを導入している。
(3) 重量品搬入・据付
重量物、長尺物の輸送、各種機械・装置の運搬据付工事や解体撤去などまで手掛ける。現地調査、法令の確認、企画・計画の立案、施工管理など、総合的なサービスを提供する。
(4) 鉄道輸送
同社のルーツとも言える事業である。それは、同社が鉄道による木材輸送を担う目的で創業されたからだ。長年の経験と実績により培われたノウハウをもとに、ドア・ツー・ドアで安全確実な輸送サービスを提供している。JR貨物及び全国の鉄道利用運送事業者と連携し、北海道から九州まで張り巡らされたネットワークが生かされている。
(5) 産業廃棄物収集運搬
PCB等の産業廃棄物の処理をサポートする「静脈物流」の事業を展開し、コンプライアンスを重視した適正処分を顧客に提案している。また、PCB廃棄物の濃度分析から搬出・解体・抜油等の各種作業、収集運搬までを含めた一貫サービスを展開している。同社は、中間貯蔵・環境安全事業(株)(JESCO)東京事業所、北九州事業所及び北海道での収集運搬業者として認定を受けている。さらに、廃石綿(アスベスト)の処分業者の紹介と収集運搬を行っている。産業廃棄物(特別管理を含む)収集運搬業許可を全国規模で取得しており、グループで各種情報機器や事務什器類等の産業廃棄物収集運搬を行う。
(6) 保税倉庫
東京税関管内・横浜税関管内に外国貨物の保管場所として保税蔵置場の許可を受けている。同社は、外国貨物の取扱実績があり、首都圏の主要な物流センターに保税蔵置場を設置することで物流をトータルサポートしている。
(7) 移転・引越し(法人向け)
オフィスはもちろんのこと、店舗・工場・学校・病院など特殊なケースも、豊富なノウハウにより最適なプランで安全かつ迅速に作業を行う。会社内の組織改変等による事業所内のレイアウト変更にも数多くの実績がある。
(8) 流通加工
3PL業者として、顧客の流通加工スタイルに合わせた物流を構築している。温度管理の必要な食品のカット加工、フィルム梱包、パック詰め等の加工業務や、印刷物・ノベルティの製作・アッセンブリ等を提案している。
(9) 国際物流
国際物流のエキスパートとして実績が豊富である。独自のノウハウと海外のグループ会社や大手代理店によるネットワークで最適な物流を提案する。国際物流は、CS(カスタマーサービス)業務、通関業務、運送業務、倉庫業務、船積業務、海外業務に分かれ、なかでも海外業務においては、海外での物流事情に精通しその国で最適な運送を行う。
(10) 航空利用輸送
1969年12月に国内利用航空運送事業免許を取得し、この分野では40数年の実績とノウハウがある。大口の貨物から小口まで対応可能で、ここでも全国に広がるネットワークが生かされている。
(11) 石油・高圧ガス輸送
JXTG系の企業として、この分野において高度な技術とノウハウを有し、石油製品の輸送から保管まで一貫して手掛ける。ガソリン、灯油、軽油、重油等の石油製品以外にも高圧ガス(LPG)などを、製品特性に合わせた専用車両で輸送している。また、全国22ヶ所の油槽所及びガスターミナルの運営を請け負い、石油製品物流に深く根差した事業を展開している。
(12) 潤滑油・化成品物流
石油製品と同様、高度なノウハウがなければ対応できない業務で、同社は「安全輸送・輸送品質」を確保しながら、物流効率化を実現してきた。タンクローリー輸送に限らず、ISOタンクコンテナ・20フィートコンテナ等のドレージ、トラック輸送、鉄道輸送、コンテナ船輸送などの幅広い輸送力を保有し、それらを組み合わせた複合輸送も行っている。
(13) 危険物倉庫
危険物は法令により保管や取扱いに関して厳しい規定があり、これも専門知識がなければ対応できない。神奈川県川崎市に位置する「川崎ケミカルセンター」は、危険物高層自動ラック倉庫、平屋倉庫を有し、これを通じ、顧客に高度なサービスを提供している。
(14) 冷蔵・冷凍物流
適切な温度管理のもとで、保管・加工・輸送を行う。デリケートな商品においても、5温度帯(常温・定温・冷蔵・氷温・冷凍)物流による細やかな品質管理で対応している。IoT化にも対応し、RFIDタグなどを活用して今後の無人店舗展開も支援していく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野 文也)
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1. 沿革
丸運<9067>の創業は1892年9月で、2017年で125年目を迎える。「利他自利(他人のために利益を図ることによって、初めて自らも利益を得ることができる)」という創業者スピリットのもとで、今日まで、明治、大正、昭和、平成と連綿と経営を続けた運送業の老舗であり、幾たびかの困難を乗り切り発展を遂げてきた。
この創業者スピリットを発展的に継承した「お客さまの物流ソリューションを最高の品質と創造力で革新し社会の発展に貢献します」という新たなミッションを加え、同時に「コンプライアンス行動の最優先」、「環境マインドの醸成とサスティナブルな社会づくり」、「安全品質の追求」などにも取り組む丸運グループ経営理念を2015年12月に掲げた。
総合物流企業として、北海道から九州まで物流センターをはじめ、幅広い範囲で保管、輸送の拠点を持ち顧客のニーズに応えている。また、海外でも、中国に丸運国際貨運代理(上海)有限公司、丸運安科迅物流(常州)有限公司、丸運物流(天津)有限公司と3つの拠点を有するほか、2017年8月に丸運物流ベトナムを現地法人化した。中国やベトナムでビジネスを行う日系企業をロジスティクスの面で支えている。
物流企業は、宅配便を中心としたヤマト運輸(株)を代表とするBtoCをメインの事業とする企業と、企業物流のサポートを中心とするBtoBの企業に大別することができるが、同社は後者に属する。
なかでも、同社はJXTG系列であることから、石油や石油製品に関連する輸送ビジネスの構成比が高い。セグメント別で見ると、石油輸送が25.9%、潤滑油・化成品が10.2%と、この2つのセグメントで3分の1を優に超す。ただ、最も構成比率が高いのは貨物輸送の49.9%で、一般的なトラック貨物輸送などが中核だ。このほか、国際貨物(直近の構成比12.5%)、流通貨物(同1.4%)も加えた5つのセグメントで構成されている。
2. 事業の概要
以下、セグメントをさらに詳細に分けた、個々の事業について紹介する。
貨物輸送が営業収益全体の約半数を占めているが、同社が展開する貨物輸送の分野は幅広い。輸送するだけではなく、倉庫などの保管業務なども手掛ける。
(1) トラック輸送
自社配送網と提携先を駆使、1つの配送業者と契約するのに比べ、安価で安全、確実、迅速なサービス提供している。「共同輸送(全国配送)」のほか、請求書や証明書等ビジネスレター(信書)を安全・確実に届ける「特定信書便輸送」など、グループ会社や協力会社を含め、全国に展開するきめ細かなネットワークで、顧客のニーズに合うようビジネスを展開している。
(2) 一般貨物倉庫
同社は保管機能だけでなく、流通加工や配送機能を有した物流センターを全国各地に設置している。保管機能は危険物倉庫、保税倉庫、定温倉庫、冷蔵・冷凍倉庫など多種多様な用途に対応が可能になっている。天井クレーンなど貨物の特性に合わせた各種設備も備えるなど、物流をトータルサポートしている。各拠点では、送り状、荷札の発行、入出庫管理、在庫管理、請求書発行及び車両管理や物流EDIなどの情報を一元管理できるシステムを導入している。
(3) 重量品搬入・据付
重量物、長尺物の輸送、各種機械・装置の運搬据付工事や解体撤去などまで手掛ける。現地調査、法令の確認、企画・計画の立案、施工管理など、総合的なサービスを提供する。
(4) 鉄道輸送
同社のルーツとも言える事業である。それは、同社が鉄道による木材輸送を担う目的で創業されたからだ。長年の経験と実績により培われたノウハウをもとに、ドア・ツー・ドアで安全確実な輸送サービスを提供している。JR貨物及び全国の鉄道利用運送事業者と連携し、北海道から九州まで張り巡らされたネットワークが生かされている。
(5) 産業廃棄物収集運搬
PCB等の産業廃棄物の処理をサポートする「静脈物流」の事業を展開し、コンプライアンスを重視した適正処分を顧客に提案している。また、PCB廃棄物の濃度分析から搬出・解体・抜油等の各種作業、収集運搬までを含めた一貫サービスを展開している。同社は、中間貯蔵・環境安全事業(株)(JESCO)東京事業所、北九州事業所及び北海道での収集運搬業者として認定を受けている。さらに、廃石綿(アスベスト)の処分業者の紹介と収集運搬を行っている。産業廃棄物(特別管理を含む)収集運搬業許可を全国規模で取得しており、グループで各種情報機器や事務什器類等の産業廃棄物収集運搬を行う。
(6) 保税倉庫
東京税関管内・横浜税関管内に外国貨物の保管場所として保税蔵置場の許可を受けている。同社は、外国貨物の取扱実績があり、首都圏の主要な物流センターに保税蔵置場を設置することで物流をトータルサポートしている。
(7) 移転・引越し(法人向け)
オフィスはもちろんのこと、店舗・工場・学校・病院など特殊なケースも、豊富なノウハウにより最適なプランで安全かつ迅速に作業を行う。会社内の組織改変等による事業所内のレイアウト変更にも数多くの実績がある。
(8) 流通加工
3PL業者として、顧客の流通加工スタイルに合わせた物流を構築している。温度管理の必要な食品のカット加工、フィルム梱包、パック詰め等の加工業務や、印刷物・ノベルティの製作・アッセンブリ等を提案している。
(9) 国際物流
国際物流のエキスパートとして実績が豊富である。独自のノウハウと海外のグループ会社や大手代理店によるネットワークで最適な物流を提案する。国際物流は、CS(カスタマーサービス)業務、通関業務、運送業務、倉庫業務、船積業務、海外業務に分かれ、なかでも海外業務においては、海外での物流事情に精通しその国で最適な運送を行う。
(10) 航空利用輸送
1969年12月に国内利用航空運送事業免許を取得し、この分野では40数年の実績とノウハウがある。大口の貨物から小口まで対応可能で、ここでも全国に広がるネットワークが生かされている。
(11) 石油・高圧ガス輸送
JXTG系の企業として、この分野において高度な技術とノウハウを有し、石油製品の輸送から保管まで一貫して手掛ける。ガソリン、灯油、軽油、重油等の石油製品以外にも高圧ガス(LPG)などを、製品特性に合わせた専用車両で輸送している。また、全国22ヶ所の油槽所及びガスターミナルの運営を請け負い、石油製品物流に深く根差した事業を展開している。
(12) 潤滑油・化成品物流
石油製品と同様、高度なノウハウがなければ対応できない業務で、同社は「安全輸送・輸送品質」を確保しながら、物流効率化を実現してきた。タンクローリー輸送に限らず、ISOタンクコンテナ・20フィートコンテナ等のドレージ、トラック輸送、鉄道輸送、コンテナ船輸送などの幅広い輸送力を保有し、それらを組み合わせた複合輸送も行っている。
(13) 危険物倉庫
危険物は法令により保管や取扱いに関して厳しい規定があり、これも専門知識がなければ対応できない。神奈川県川崎市に位置する「川崎ケミカルセンター」は、危険物高層自動ラック倉庫、平屋倉庫を有し、これを通じ、顧客に高度なサービスを提供している。
(14) 冷蔵・冷凍物流
適切な温度管理のもとで、保管・加工・輸送を行う。デリケートな商品においても、5温度帯(常温・定温・冷蔵・氷温・冷凍)物流による細やかな品質管理で対応している。IoT化にも対応し、RFIDタグなどを活用して今後の無人店舗展開も支援していく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野 文也)
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