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ホットリンク Research Memo(6):高品質なマーケティング支援サービスを国内外で提供していく

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

2. 今後の成長戦略
(1) 多様なソリューションサービスを国内外で展開ホットリンク<3680>はEffyisの子会社化によって世界で最も多くのソーシャル・ビッグデータを収集し、分析・加工することで多様なソリューションサービスを提供できる企業となった。今後はその強みを生かしていくことで業績も本格的な成長ステージに入っていくものと予想される。

同社のサービスは、そのプロセスによって3つの階層に分けることができる。1つ目は各ソーシャルメディアから収集したビッグデータのアクセス権を、IBMやSaleseforce.comなどのグローバルIT企業等にそのまま卸販売するEffyisの事業となる。2つ目は、収集したソーシャル・ビッグデータを同社で細分化し、構造化データに加工して、顧客自身が行うマーケティング分析等で利用する「クチコミ@係長」等のSaaSサービスとなる。
そして、3つ目として、一次製錬したデータにさらにAI技術を活用することで、顧客ごとのニーズに合った最適なソリューションサービスを提供するソーシャルメディアの最適化支援・マーケティング支援となる。サービスの付加価値としては、ソーシャルメディアの最適化支援・マーケティング支援が最も上位に位置することになる。

また、すべてのサービスに共通して言えることは、いかに多くのソーシャル・ビッグデータを収集できるかが、そのサービスの質や競争力を決める際の重要な要素になるということだ。この観点から、世界有数のソーシャル・ビッグデータ流通企業であるEffyisを子会社化した意義は大きいと言える。SNSのクチコミ情報を商品購買の際の重要な情報源としている中国では、特にソーシャル・ビッグデータをマーケティング戦略の中で活用することの重要性は大きく、中国の大手SNSのデータを収集・分析できる同社にとって最大の強みとなる。ソーシャルメディアを活用したマーケティング施策を重視している業界は、アパレルや食品・飲料、化粧品、日用品等が多いが、それ以外にも住宅や教育、アミューズメント業界などもここ最近は取り組みを強化し始めており、同社の対象顧客も今後広がっていくものと予想される。

顧客・地域戦略について見ると、現在、SaaSサービスやクロスバウンドサービスについては日系企業を顧客ターゲットとしているが、将来的には海外企業も開拓していくことを考えている。実際、世界的なソーシャルメディアであるinstagramを活用する「BuzzSpreader」については、海外企業からの問い合わせも入っている。また、マーケティング支援サービスについては、中国市場をターゲットとした日系企業向けのサービスとなっているが、こちらも将来的には中国だけでなく、韓国や台湾、東南アジアなど周辺国に対象地域を拡大していくほか、海外企業に対しても同様のサービスを提供していくことを視野に入れている。海外企業へサービスを提供する場合は、対象市場に日本も加わることになる。なお、ほかの国に事業展開していくに当たっては、現地のソーシャル・ビッグデータ流通企業や分析企業等との資本業務提携やM&Aも活用しながら進めていく戦略となっている。当面は、中国市場向けの引き合いが旺盛なことから、中国市場向けのマーケティング支援サービス事業を優先し、その後に周辺国へ展開していくものと考えられる。

(2) 新規サービスの状況について
「BuzzSpreader」については、現在、アパレル、食品メーカー向けを中心に契約件数が増え始めている。同サービスの特徴の一つである最適なハッシュタグの自動生成、リコメンド機能については機械学習技術が使われており、データの蓄積ともにその精度も向上することになる。このため、顧客企業のROI(投資対効果)も使っていくに従って向上し、契約件数も伸びていくことが予想される。

同社は「BuzzSpreader」の将来像として、instagramだけでなくtwitterなど主要SNSすべてに対して、コンテンツの分析や広告最適化・アカウント運用といったソーシャルマーケティングに必要な支援ツールを一気通貫で統合的に提供していくことを考えており、そのための開発も進めている。こうしたサービスが提供できるようになれば、ここ数年伸び悩んでいたSaaSサービスの売上も再び成長に転じることが予想される。

「トレンドPR」については今後も成長性の高い事業として注目される。本格サービスを開始して以降、10数社の顧客に対してプロモーション施策を実施したが、いずれも高い効果が得られており継続契約が決まっているものもある。中国市場における効率的なマーケティング施策として、同社のサービスに対する認知度も広がってきている。特に、地方で開催するセミナーはいつも盛況で、参加した中小企業からの引き合いも増加している。ROIを可視化できることや過去の成功事例が具体的にあるため、担当者がマーケティング施策に対する予算を経営陣に提案しやすいことが引き合いの強さにつながっていると考えられる。現状は、営業リソースがボトルネックとなり、すべての引き合いに応えきれないほどになっているという。このため、当面は営業人材の採用を積極的に進めていく方針となっている。

経済産業省の調査報告書によれば、日本から中国への越境EC流通額は2016年の1.03兆円から、2020年には1.9兆円と年率16%の成長が予測されている。こうした成長市場において効果的に自社商品を拡大していくためのマーケティング施策として、ソーシャル・ビッグデータ分析に基づく最適なプロモーション施策を提供する同社のサービスは、2018年12月期以降本格的に成長していくものと予想され、数年後には収益柱の1つに育つものと弊社では予想している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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