シンワアート Research Memo(1):ホールディングス化によるグループ再編に向けた準備を開始
[17/10/06]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
1. 会社概要
シンワアートオークション<2437>は、国内最大級の美術品オークション会社である。日本の近代美術を中心として、近代陶芸やワイン、ブランド雑貨、時計、宝飾品なども手掛けている。2,000万円以上の高額落札作品における市場シェアでは業界トップクラスを誇る。富裕層ネットワークを生かしたエネルギー関連事業や医療機関向け支援事業なども展開しており、最近では、太陽光発電施設の販売(エネルギー関連事業)が大きく伸びている。
2. 2017年5月期の業績
2017年5月期の業績は、売上高が前期比37.2%増の5,348百万円、営業利益が同2.3%増の364百万円と大幅な増収となり、過去最高の売上高を更新した。太陽光発電施設の販売が想定以上に拡大したことが大幅な増収に寄与した。ただ、利益面では、オークション関連事業の低迷により伸び悩む結果となった。
3. 中期経営計画の進捗
同社は、2018年5月期を最終年度とする中期経営計画(5ヶ年)を推進してきた。「オークション事業の拡大」と「新規事業の育成による安定収益源の確保」、「アジア戦略」の3つを戦略の柱に掲げ、日本の美術品オークション市場の再生に貢献するとともに、「アートから始まる富裕層向けセレクトサービスカンパニー」へと事業ドメインを拡充することにより、安定収益源の確保と財務基盤の強化に取り組んでいる。これまでの実績を振り返ると、オークション市場の回復の遅れは想定外であったものの、新規事業については、太陽光発電施設の販売が大きく拡大し、新たな収益源として業績の伸びをけん引してきた。また、独自の「医療ツーリズム」や「アンチエイジング」のほか、足元で立ち上がってきた「海外不動産紹介」、「PKS」、「FinTech」など、今後の収益ドライバーと成り得る新しい事業にも取り組み、持続的な成長に向けた体制が整ってきたと言える。さらには、中国の海航資本集団との連携やミャンマーとの文化交流など、将来を見据えたアジア戦略でも一定の成果を残すことができた。
4. ホールディングス化によるグループ再編の準備
同社は、これまでの活動の集大成として、ホールディングス化によるグループ再編に向けた準備を進めている(2017年12月予定)。グループの成長戦略の立案機能と実現機能を分化し、グループ経営の意思決定の迅速化を図るとともに、グループ各社が事業環境の変化に柔軟に対応できる体制を構築するところに狙いがある。
5. 2018年5月期の業績見通し
2018年5月期の業績予想について同社は、売上高を前期比11.5%増の5,960百万円、営業利益を同18.6%増の432百万円と引き続き増収増益を見込んでいる。優遇税制措置の終了に伴い、太陽光発電施設の販売ペースが緩やかになることで増収率は低下するものの、利回り目的の根強い需要の取り込みのほか、節税ニーズに対応するために新たに開始した海外不動産紹介事業の寄与などにより2ケタの増収を確保する見通しである。
また、ホールディングス化(グループ再編)による効果を含め、富裕層ビジネスの拡大に向けた展開スピードやグループシナジーの発現、新たな収益ドライバーの育成のほか、美術品市場の活性化に向けたプライベート取引(アートディーリング)の進展やアジア戦略についても、中長期的な目線から今後の動向に注目していきたい。
■Key Points
・2017年5月期は太陽光発電施設の販売拡大により大幅な増収(過去最高売上高を更新)
・中期経営計画についても、新規事業の育成やアジア戦略などで大きな成果
・これまでの活動の集大成としてホールディングス化によるグループ再編に向けた準備を開始
・2018年5月期も新たに開始した海外不動産紹介事業などにより2ケタの増収を見込む
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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1. 会社概要
シンワアートオークション<2437>は、国内最大級の美術品オークション会社である。日本の近代美術を中心として、近代陶芸やワイン、ブランド雑貨、時計、宝飾品なども手掛けている。2,000万円以上の高額落札作品における市場シェアでは業界トップクラスを誇る。富裕層ネットワークを生かしたエネルギー関連事業や医療機関向け支援事業なども展開しており、最近では、太陽光発電施設の販売(エネルギー関連事業)が大きく伸びている。
2. 2017年5月期の業績
2017年5月期の業績は、売上高が前期比37.2%増の5,348百万円、営業利益が同2.3%増の364百万円と大幅な増収となり、過去最高の売上高を更新した。太陽光発電施設の販売が想定以上に拡大したことが大幅な増収に寄与した。ただ、利益面では、オークション関連事業の低迷により伸び悩む結果となった。
3. 中期経営計画の進捗
同社は、2018年5月期を最終年度とする中期経営計画(5ヶ年)を推進してきた。「オークション事業の拡大」と「新規事業の育成による安定収益源の確保」、「アジア戦略」の3つを戦略の柱に掲げ、日本の美術品オークション市場の再生に貢献するとともに、「アートから始まる富裕層向けセレクトサービスカンパニー」へと事業ドメインを拡充することにより、安定収益源の確保と財務基盤の強化に取り組んでいる。これまでの実績を振り返ると、オークション市場の回復の遅れは想定外であったものの、新規事業については、太陽光発電施設の販売が大きく拡大し、新たな収益源として業績の伸びをけん引してきた。また、独自の「医療ツーリズム」や「アンチエイジング」のほか、足元で立ち上がってきた「海外不動産紹介」、「PKS」、「FinTech」など、今後の収益ドライバーと成り得る新しい事業にも取り組み、持続的な成長に向けた体制が整ってきたと言える。さらには、中国の海航資本集団との連携やミャンマーとの文化交流など、将来を見据えたアジア戦略でも一定の成果を残すことができた。
4. ホールディングス化によるグループ再編の準備
同社は、これまでの活動の集大成として、ホールディングス化によるグループ再編に向けた準備を進めている(2017年12月予定)。グループの成長戦略の立案機能と実現機能を分化し、グループ経営の意思決定の迅速化を図るとともに、グループ各社が事業環境の変化に柔軟に対応できる体制を構築するところに狙いがある。
5. 2018年5月期の業績見通し
2018年5月期の業績予想について同社は、売上高を前期比11.5%増の5,960百万円、営業利益を同18.6%増の432百万円と引き続き増収増益を見込んでいる。優遇税制措置の終了に伴い、太陽光発電施設の販売ペースが緩やかになることで増収率は低下するものの、利回り目的の根強い需要の取り込みのほか、節税ニーズに対応するために新たに開始した海外不動産紹介事業の寄与などにより2ケタの増収を確保する見通しである。
また、ホールディングス化(グループ再編)による効果を含め、富裕層ビジネスの拡大に向けた展開スピードやグループシナジーの発現、新たな収益ドライバーの育成のほか、美術品市場の活性化に向けたプライベート取引(アートディーリング)の進展やアジア戦略についても、中長期的な目線から今後の動向に注目していきたい。
■Key Points
・2017年5月期は太陽光発電施設の販売拡大により大幅な増収(過去最高売上高を更新)
・中期経営計画についても、新規事業の育成やアジア戦略などで大きな成果
・これまでの活動の集大成としてホールディングス化によるグループ再編に向けた準備を開始
・2018年5月期も新たに開始した海外不動産紹介事業などにより2ケタの増収を見込む
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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