エニグモ Research Memo(6):2018年1月期の通期予想を減額修正。新たな施策により巻き返しを目指す
[17/10/17]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績見通し
1. 2018年1月期の通期業績予想
2018年1月期の業績予想についてエニグモ<3665>は、上期実績や足元の状況等を勘案して減額修正を行った。修正後の売上高は前期比6.5%増の4,418百万円(修正幅 -558百万円)、営業利益は同19.5%減の1,423百万円(修正幅 -542百万円)、経常利益は同19.1%減の1,426百万円(修正幅 -539百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は同52.8%減の539百万円(修正幅 -803百万円)と増収減益を見込んでいる。
もともと期初予想の時点から、会員数の伸びを保守的に想定するとともに、先行投資による費用増も織り込んでいたが、今回の減額修正により、さらに全体的な水準を引き下げる格好となった。
特に、売上高は上期までの会員数の伸びが想定を下回り、総取扱高が通期業績予想における前提を約8%程度下振れていることを勘案した水準となっている。一方、損益面でも、上期に引き続き、先行投資による販管費の拡大に加えて、下期でのマスキャンペーン(TVCM)を予定(弊社推定2億円程度の規模)していることから大幅な営業減益となる見通しである。さらに、最終利益の減益幅は大きいのは、メディア事業の低迷を受けて、その運営子会社であるロケットベンチャーの株式に対する減損損失(のれん額約4.3億円の減損処理)や、エニグモコリアの解散に係る損失について、特別損失を見込んでいることが理由である。
業績予想の達成のためには、下期の売上高2,359百万円(前年同期比5.4%増)、営業利益740百万円(同21.8%減)が必要となる。弊社では、そもそも下期偏重型(年末商戦による業績寄与等)の傾向があることや、下期に予定しているマスキャンペーンの効果等を勘案すると、売上高予想はやや保守的な水準と捉えている。また、営業利益予想についても、先行費用の高止まりやマスキャンペーンにかかる費用等を織り込んだ合理性のある前提となっていることから、業績予想の達成は十分に可能であるとみている。したがって、マスキャンペーンによってどのくらいの上乗せができるかが注目点となるだろう。また、今回初めて試みるショートスパンのマーケティング施策がどのくらいの効果を生み出すのか、その成果や手応えが、今後の成長性(及び成長スピード)を判断するうえで、重要なレファレンス(判断材料)になるものと捉えている。
2. 下期の施策方針
同社は、2016年1月期のマスキャンペーン効果が一巡してきた一方で、各指標を高める内部施策がうまく機能していることから、再度マスキャンペーンを起点とした一連のマーケティング施策を実施する計画である。ただし、今回予定しているのは、前回の経験則から効率的な要素をコンパクトにまとめたところにポイントがあり、初めての試みと言える。すなわち、マスキャンペーンの規模を前回の20〜30%に抑えるとともに、TVCM(認知度向上、会員数の拡大) → 刈り取り広告を展開(アクティブ率の向上)→ 取扱件数向上施策(1人当たりの平均購入件数の向上)をショートスパンで実施し、広告投資の早期回収を図るものである。また、四半期から半期の間隔で継続的に実施することにより、業績へのインパクトを平準化するとともに、持続的な成長に結び付ける戦略である。
弊社でも、前回の大規模マスキャンペーンで認知度が大きく向上していることから、今回予定しているようなセール告知を中心とする小規模なマスキャンペーンでも十分に効果を発揮するものとみている。さらには、その後の内部施策、すなわち、認知度向上・会員数拡大施策※1、アクティブ率向上施策※2、ARPU維持施策(取扱件数向上施策)※3がそれぞれブラッシュアップしていることや、インフラ・決済基盤の強化を進めていることから、マスキャンペーン効果を具体的な成果に結び付ける下地は前回よりも充実していると言え、今回の試みは今後の成長性を判断するうえで重要な意味を持つものとして注目している。
※1 TV広告・刈取り広告、SEO再強化、オウンドメディアのアプリリリース。
※2 アプリ機能向上、レコメンド機能の強化、メンズ出品の強化、返品対象カテゴリーの追加、配送機能。
※3 パーソナルショッパー向け機能向上、購入者向け機能向上、ポイント施策、クーポン施策、まとめ買い施策。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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1. 2018年1月期の通期業績予想
2018年1月期の業績予想についてエニグモ<3665>は、上期実績や足元の状況等を勘案して減額修正を行った。修正後の売上高は前期比6.5%増の4,418百万円(修正幅 -558百万円)、営業利益は同19.5%減の1,423百万円(修正幅 -542百万円)、経常利益は同19.1%減の1,426百万円(修正幅 -539百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は同52.8%減の539百万円(修正幅 -803百万円)と増収減益を見込んでいる。
もともと期初予想の時点から、会員数の伸びを保守的に想定するとともに、先行投資による費用増も織り込んでいたが、今回の減額修正により、さらに全体的な水準を引き下げる格好となった。
特に、売上高は上期までの会員数の伸びが想定を下回り、総取扱高が通期業績予想における前提を約8%程度下振れていることを勘案した水準となっている。一方、損益面でも、上期に引き続き、先行投資による販管費の拡大に加えて、下期でのマスキャンペーン(TVCM)を予定(弊社推定2億円程度の規模)していることから大幅な営業減益となる見通しである。さらに、最終利益の減益幅は大きいのは、メディア事業の低迷を受けて、その運営子会社であるロケットベンチャーの株式に対する減損損失(のれん額約4.3億円の減損処理)や、エニグモコリアの解散に係る損失について、特別損失を見込んでいることが理由である。
業績予想の達成のためには、下期の売上高2,359百万円(前年同期比5.4%増)、営業利益740百万円(同21.8%減)が必要となる。弊社では、そもそも下期偏重型(年末商戦による業績寄与等)の傾向があることや、下期に予定しているマスキャンペーンの効果等を勘案すると、売上高予想はやや保守的な水準と捉えている。また、営業利益予想についても、先行費用の高止まりやマスキャンペーンにかかる費用等を織り込んだ合理性のある前提となっていることから、業績予想の達成は十分に可能であるとみている。したがって、マスキャンペーンによってどのくらいの上乗せができるかが注目点となるだろう。また、今回初めて試みるショートスパンのマーケティング施策がどのくらいの効果を生み出すのか、その成果や手応えが、今後の成長性(及び成長スピード)を判断するうえで、重要なレファレンス(判断材料)になるものと捉えている。
2. 下期の施策方針
同社は、2016年1月期のマスキャンペーン効果が一巡してきた一方で、各指標を高める内部施策がうまく機能していることから、再度マスキャンペーンを起点とした一連のマーケティング施策を実施する計画である。ただし、今回予定しているのは、前回の経験則から効率的な要素をコンパクトにまとめたところにポイントがあり、初めての試みと言える。すなわち、マスキャンペーンの規模を前回の20〜30%に抑えるとともに、TVCM(認知度向上、会員数の拡大) → 刈り取り広告を展開(アクティブ率の向上)→ 取扱件数向上施策(1人当たりの平均購入件数の向上)をショートスパンで実施し、広告投資の早期回収を図るものである。また、四半期から半期の間隔で継続的に実施することにより、業績へのインパクトを平準化するとともに、持続的な成長に結び付ける戦略である。
弊社でも、前回の大規模マスキャンペーンで認知度が大きく向上していることから、今回予定しているようなセール告知を中心とする小規模なマスキャンペーンでも十分に効果を発揮するものとみている。さらには、その後の内部施策、すなわち、認知度向上・会員数拡大施策※1、アクティブ率向上施策※2、ARPU維持施策(取扱件数向上施策)※3がそれぞれブラッシュアップしていることや、インフラ・決済基盤の強化を進めていることから、マスキャンペーン効果を具体的な成果に結び付ける下地は前回よりも充実していると言え、今回の試みは今後の成長性を判断するうえで重要な意味を持つものとして注目している。
※1 TV広告・刈取り広告、SEO再強化、オウンドメディアのアプリリリース。
※2 アプリ機能向上、レコメンド機能の強化、メンズ出品の強化、返品対象カテゴリーの追加、配送機能。
※3 パーソナルショッパー向け機能向上、購入者向け機能向上、ポイント施策、クーポン施策、まとめ買い施策。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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