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ワールドHD Research Memo(4):すべての事業セグメントで増益を達成

注目トピックス 日本株
■ワールドホールディングス<2429>の業績動向

2. 事業セグメント別動向
(1) ファクトリー事業
ファクトリー事業の売上高は前年同期比34.3%増の18,614百万円、セグメント利益は同47.7%増の1,401百万円となった。製造・物流現場における労働者不足が続くなかで、ここ1〜2年で取り組んできた採用組織の強化と採用プロセスの見直し、全国ネットワークによる社員の流動化などを進め、大型案件の受注にスムーズに対応できたことが、好業績につながった。好条件での受注を獲得できたことに加えて、新規案件のスムーズな立ち上げを実現できたことにより、セグメント利益率も前年同期の6.8%から7.5%に上昇した。

業種別の売上動向を見ると、物流向けが前年同期比54.0%増と大きく伸長し、売上構成比も25.1%から29.6%まで上昇した。主要顧客である大手EC企業向けで、大型センターでの生産性向上を含めた運営実績が高く評価され、顧客内シェアの上昇も含めて受注規模が大きく拡大したことが要因だ。また、スマートフォン関連部材の生産拡大を背景に、電気・電子向けが同24.8%増、半導体向けが同41.2%増とそれぞれ好調に推移したほか、自動車向けが同36.9%増、機械向けが同61.7%増といずれも大幅増収となった。

採用面では、人材採用サイト「JOB PAPER」の登録者数が4.5万人弱(2016年末3.9万人)まで拡大し、2017年4〜6月の平均在籍数(海外及び行政受託、他社受入社員含む)で前年同期比49.0%増の12,761名となった。内訳は、社員が19%増の7,885人、他社受入社員が163%増の3,528人、海外及び行政受託社員が同130%増の1,348人となっている。他社受入社員については物流向けを中心に大型案件を獲得するなかで、各拠点で同業他社からの受入れが進んだことが大幅増につながっている。また、海外及び行政受託社員の増加の大半は、当期より連結子会社化した中国の製造請負会社の増加分(約700名)となっている。

(2) テクノ事業
テクノ事業の売上高は前年同期比22.1%増の5,996百万円、セグメント利益は同19.3%増の642百万円となった。同事業では設計開発エンジニアの新卒採用を前年同期の70名から107名と大幅に増員し、早期に戦力化したことが増収増益に貢献した。2016年5月に機械設計エンジニアの育成を目的として名古屋に開設したデザインセンターの成果が配属数の増加となって表れており、当期も新たに横浜にデザインセンターを立ち上げ、新卒者や未経験者の採用・育成に取り組んでいる。

業種別売上高について見ると、主力の半導体向けが前年同期比9.6%増と堅調に推移したほか、情報通信サービス向けが同18.8%増、自動車向けが同22.0%増、機械向けが同26.0%増といずれも2ケタ増収となった。また、その他が同43.3%増と大幅伸長となっているが、これは2016年7月末に子会社化した日研テクノ(株)の売上高が上乗せ要因となっている。日研テクノはカメラのリペア事業を行っている会社で、買収時は赤字だったが子会社化以降、リペア対象品目をデジタルコンパクトカメラから一眼レフカメラに集中しことで収益が回復、通期では黒字化が見込めるまでになってきた。

なお、2017年4〜6月の平均在籍数(現業社員)は前年同期比16.5%増の2,037名となり、特に設計開発エンジニア人員が772名から987名と大きく増加している。

(3) R&D事業
R&D事業の売上高は前年同期比16.8%増の3,084百万円、セグメント利益は同6.1%増の271百万円となった。分野別売上高を見ると、医薬・バイオが前年同期比27.8%増、化学が同12.8%増、臨床が同10.1%増といずれも2ケタ増収となった。

研究社員のスキル・経験・評価の見える化を進め、契約チャージの適正化を図ったことが収益の拡大要因となった。同事業における新卒研究社員は82名と前年同期並みだったが、優秀な社員を確保するため採用基準の厳格化、及び配属前研修の充実を図ったことで、従来よりも好条件かつ早期の配属が実現したことも、収益増要因となっている。臨床試験受託事業のDOTワールドに関しても、新卒者や未経験者の採用・育成を強化し、モニター社員の増員に注力した結果、増収増益となっている。セグメント利益率が前年同期の9.7%から8.8%とやや低下したが、これは採用・教育費の増加が要因となっている。2017年4〜6月の平均在籍数(現業社員)は前年同期比13.6%増の995名と順調に拡大している。

(4) セールス&マーケティング事業
セールス&マーケティング事業の売上高は前年同期比18.3%増の3,033百万円、セグメント利益は同6.3%減の138百万円と人材・教育ビジネス部門では唯一減益となった。同事業は短期派遣社員が多いことや、事業規模拡大のため取扱い職種、業種を拡大しており、人材採用及び管理を行う組織体制の強化を図ったことが減益要因となった。ただ、会社計画に対してはいずれも上回っている。管理部門を強化したことで、人材の配属力が向上し、稼働スタッフ1人当たりの稼働効率が向上したことが要因だ。

売上高の内訳を見ると、小売店舗等への販売員派遣が前年同期比21.4%増、コールセンター等のオペレーター及び軽作業派遣が同13.2%増といずれも2ケタ増収となった。販売員派遣ではアパレル専門店から量販店へ、また、家電量販店などへと領域が拡大していること、また、オペレーター及び軽作業派遣については、地方での採用センター開設による採用数の拡大やファクトリー事業部との連携強化による軽作業案件の増加が増収要因となっている。なお、2017年4〜6月の平均在籍数(現業社員)は前年同期比13.7%増の2,502名となっている。

(5) 不動産事業
不動産事業の売上高は前年同期比54.3%増の20,594百万円、セグメント利益は同38.1%増の1,290百万円となった。会社計画比では第1四半期に引渡し予定だった物件を下期以降へ先送りしたため、売上高、利益ともに若干下回ったが、同要因を除けばおおむね順調に推移した。

売上高の内訳を見ると、デベロップメント(自社開発物件)関連は新築分譲マンションのほか複数の事業用地物件の引渡しにより前年同期比30.5%増の10,794百万円に、リノベーション関連については前期からの順調な仕入により同30.5%増の4,391百万円に、ユニットハウス関連については新製品として投入したトイレハウスの引き合いが好調なほか、当期より新規出店した九州エリアでの受注が増加したことにより、同29.9%増の855百万円といずれも大幅な増収となった。また、2017年1月に子会社化した豊栄建設を中心とする戸建住宅関連の売上げも3,185百万円と計画どおりに推移した。

(6) 情報通信事業
情報通信事業は売上高が前年同期比3.9%増の4,217百万円と3年ぶりの増収に転じたほか、セグメント利益も同13.9%増の150百万円と増益となった。主力事業である携帯電話ショップの移転・統廃合が一巡したことや、販売スタッフの教育・研修による販売力強化により同事業の売上高が前年同期比4.5%増と増収に転じたことが主因だ。直営店については2015年に65店舗あったが、当第2四半期末には33店舗(代理店は70店舗)まで統廃合を進め、優良店舗網の構築を行った。今後は九州エリア内でのトップシェアを目指し、M&Aも活用しながら再拡大していく計画となっている。

一方、法人向けサービスについては中小企業向けにオフィスのコストソリューション提案を強化しており、主力商品であるLED照明販売等の環境事業を中心に順調に推移した。

(7) その他
その他事業の売上高は前年同期比476.1%増の1,312百万円、セグメント利益は同12倍増の70百万円となった。当第2四半期より新たに連結対象となった(株)ファームの農業公園事業が加わったことが主因となっている。農業公園事業は繁忙期である4〜5月が好天に恵まれたことで入場者数は堅調に推移したが、顧客当たり平均単価が計画を下回ったことで、売上高、利益ともに計画を下回った。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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