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ワールドHD Research Memo(8):2021年度に売上高2,000億円、営業利益100億円を目指す

注目トピックス 日本株
■中期経営計画について

1. 中期経営計画の概要
ワールドホールディングス<2429>は2021年までの中期経営計画を2017年2月に発表している。最終年度となる2021年12月期の経営数値目標としては、売上高で2,000億円(2016年12月期比2.1倍増)、営業利益で100億円(同35%増)、ROE20%以上(2016年12月期実績33.5%)、自己資本比率20%以上(同19.4%)を掲げ、成長投資(M&A資金)として100億円を見込んでいる。

最終年度の売上高内訳を見ると、人材・教育ビジネスで2016年12月期比96.4%増、不動産ビジネスで同124.8%増、情報通信ビジネスで106.7%増と主力3事業ともに5年間で約2倍の事業規模に拡大する計画となっている。営業利益率は5.0%とやや保守的に想定しているが、売上規模が計画どおりとなればスケールメリットにより6〜7%の水準は達成可能と見られる。また、M&Aの対象としては、既存ビジネスの周辺領域はもとより、新規領域にも取り組む。

中期経営計画の基本戦略として、中期経営計画の前半では既存の3つのコアビジネスを中心として事業の裾野を広げ、最適な利益パフォーマンスを追求しながら安定的な既存事業の拡大を目指し、中期経営計画の後半では、新たなビジネス領域に参入し事業に広がりを持たせることによって、バランスのとれた更なる安定成長を目指していく方針となっている。

2. 事業別戦略
(1) 人材・教育ビジネス
人材・教育ビジネスでは、企業における人材の外部活用が拡大するなかで、派遣会社に求められるニーズも単なるオペレーターの動員力(期日までに必要な人材・人数を集める力)だけでなく、よりフレキシブルな対応、質の高い人材の提供、チームによる業務対応力などが求められるようになっており、現場を運営管理するスキル人材(保守保全/現場リーダー)やマネージャー(事業所責任者)も含めたチームとしての動員力、適材・適所・適時なオペレーターの動員力が求められるようになってきている。

同社ではこうしたニーズの変化を捉え、ここ1〜2年で採用力の強化を図るだけでなく、スキル人材やマネージャーの育成にも注力してきた。質の高い人材を育成し、組織化することで高いパフォーマンスを実現するという付加価値(=対応する力)を生み出し、付加価値を付けることによって受注活動において適正な価格交渉を実現する。そして、獲得した収益によって好条件での人材採用を行い、スキルアップのための人材育成投資を行うことで、さらに高いスキルが求められる受注案件の獲得につなげていく。こうした人材プラットフォームを基盤とした持続的な成長サイクルを構築したことが、足下の高成長につながっていると言える。

国内のものづくり人材派遣市場は、企業における人材のアウトソーシング化が続くなかで、2015年の2兆5,850億円から2020年は3兆4,720億円と年率6%の成長が市場調査会社で予測されている。また、求められるニーズも多様化、高度化していきたことから、こうしたニーズに対応できる大手派遣会社への集約化の流れも継続すると見られている。こうしたなかで、成長を続けるための課題としては、スキル人材等の育成をいかに進めていくかがカギを握ることになる。同社では100以上の育成プログラムの研修を修了した事業所責任者やリーダー社員数が2017年6月末で480名となっており、これを当面1,000名単位まで増やしていくことを目指している。人材・教育ビジネス全体のオペレーター在籍数は他社からの受入も含めて2017年6月時点で約1.9万人(前年同期は約1.3万人)まで拡大しているが、今後もスキル人材の育成とオペレーターの動員力・流動化を強化することで、事業規模を拡大していく戦略となっている。今後も同社は大手の一角として成長していく可能性が高いと弊社では考えている。

(2) 不動産ビジネス
不動産ビジネスにおいては、今後5年間でポートフォリオの再構築を進め、収益の安定化を図ると同時にキャッシュ効率を高め、財務体質の改善につなげていく方針となっている。フロービジネスであるデベロップメントは利益率が高い反面、資金回収期間が長く収益変動リスクも高い。一方、リノベーションは資金回収期間が4〜6ヶ月と短く需要も安定しており、収益変動リスクが低いストックビジネスに近い事業として位置付けられる。また、ストックビジネスとしては賃貸管理やユニットハウス等のレンタル事業が挙げられる。不動産事業におけるデベロップメント関連以外の売上構成比率は2016年12月期で35.2%であったが、2021年12月期にはこれを46.3%と約半分まで高めることを計画している。

領域別戦略を見ると、デベロップメントは経済環境を鑑みた仕入れと供給によるROIの最大化と適正規模による収益拡大を目指していく。年間供給戸数の適正規模としては、首都圏で400〜500戸、東北・近畿・九州圏で各100〜200戸(合計で1,000戸程度が適正規模)と見ており、現在、開発用地の仕込みを進めている段階にある。売上高としては2019年12月期が底で、2020年12月期以降は現在進めている事業用地の取得等により上向きに転じるとみている。

リノベーションは全国展開により、今後5年間で最も伸ばしていく領域となる。販売戸数は2016年12月期実績の410戸から2021年12月期には1,500戸と3倍増を目指していく。営業拠点は現在、福岡、東京、横浜、名古屋、大阪、広島、北海道、岡山にあるが、今後、仙台、奈良、熊本にも開設していく予定で、当面は九州、東北、北海道等の地方エリアでトップシェアを目指す方針だ。

戸建住宅(豊栄建設)は、北海道内でのエリア拡大を進めていくほか、東北エリアに今後3年以内に拠点を開設する計画となっている。更には、4,000戸以上の販売実績に対するリフォームや買取再販事業にも取り組んでいく戦略だ。当中期経営計画期間内の売上計画は80億円、年間供給戸数は300〜350戸でと横ばい水準で織り込んでいるが、目標としては営業エリアを拡大していくことで適正規模1,500戸の範囲内で拡大していく。

ユニットハウスでは、既存のユニットハウスに加えて貸し倉庫なども商品ラインに加えていく。現在、駐車場と倉庫を組み合わせた商品を開発中で、2018年中のサービス開始を目指している。

(3) 情報通信ビジネス
情報通信ビジネスのうち、携帯ショップ事業については不採算店舗の統廃合が一巡したことで、今後は既存・新規エリアへM&Aも活用しながら優良店舗網の拡大をしていく計画となっており、ドミナント戦略による地域トップシェアを目指していく。まずは福岡県内から始め、徐々にエリアを拡大していく計画となっている。一方、法人向け事業については、顧客となる中小企業に対してコスト削減に寄与するストック性の高い商材の提案力を強化し、収益の拡大を目指していく。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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