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ASJ Research Memo(5):サービスラインナップの拡充により攻めの経営を進める

注目トピックス 日本株
■ASJ<2351>の今後の展望

前述したように、財務面を強化したことで、より攻めの経営を進める態勢となり、成長の土台が整った格好となっている。これまで、2004年のイー・フュージョン、2007年のASJコマース、2016年のアイテックスとM&Aを積極的に行ってきたが、今後も必要とあれば、聖域を設けずにM&Aを実施する考え。M&Aを経営戦略として前面に押し出す場合、どの企業でも、M&Aを実行するための資金調達がポイントになるが、業績動向の項目で示したように、急速にキャッシュが積み上がる格好となり、従来行ってきたクラスの案件であれば、資金面を心配せずに買収に踏み切ることができる。今後、この面での動きから目が離せない。

事業については、短期的には既存のビジネスを固めていく。クラウドサービスについては、ラインナップの強化が課題となるが、各種サービスのバージョンアップを図り、顧客の満足度を向上させることでユーザーを広げる。

決済代行サービスについては、商工会議所向けが今後も拡大しそうだ。全国に515ある会議所のうち、同社が受注しているのは236会議所。ネットを利用している会議所の過半数から発注を受けている一方、同社が提供するシステムは評価が高く、これまで解約が1件もない。さらに、地域振興券のシステムを受注するなど、簿記以外の分野にも広がりが出ている。日商簿記検定を手始めに日本商工会議所とも提携したことも注目点となるだろう。今後とも、各商工会議所のネット回りのビジネスを広範に手掛けることになりそうだ。

他方、ゲームについては、今後は現状維持を基本とする方向。ゲームビジネスについては、多額の費用をかけて新しいタイトルを開発しても、その後、ヒットしない場合は損失が大きくなるなど、リスクを伴うのがその理由である。今後はクラウドサービス、決済代行サービスを中心に事業を進めていく方針だ。

他方、同社はこれまで技術開発型の企業として評価されてきたが、その中で弱い部分がマーケティングだった。ゲームという最終消費者にアピールするビジネスを展開しながらも、企業としての認知度が抜群に高い訳ではない。時流に乗るようなマーケティングをいかに行っていくかも今後の課題になりそうだ。

同社の強みは、データセンターを自前で保持、さらに、ISO27001を取得するなどセキュリティ態勢は万全となっていることが挙げられる、それらを活用して各種サービスを提供しているが、今後もこのスタイルによって、短期的には既存のビジネスを固めていく。IT業界において、人手不足が恒常化し、人材確保が容易でない点については、現場力を高め個人に依存しない態勢作りに努める。ちなみに、同社の離職率は業界の中でも低い。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野 文也)


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