平山 Research Memo(4):コンサルタントと連携した現場改善力と人材育成力が強み
[17/10/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
2. 同社の強み
平山ホールディングス<7781>の強みは、主力事業である製造請負において、現場改善コンサルタントと連携することで、生産性向上を実現していくことができる点にある。コンサルティングによる現場改善力は、日研トータルソーシング(株)(旧 日研総業(株))や日総工産(株)、UTグループ<2146>、アウトソーシング<2427>、nmsホールディングス<2162>など製造請負・派遣事業を展開する同業他社に対する大きな差別化要因となっており、さらに、現場改善コンサルティング・教育サービスをパッケージ化し、日系企業の海外工場へ提供できることも大きな特長となっている。
また同社では、プロフェッショナルな人材としての自立促進、顧客企業の生産性向上等、質の高いサービスを提供する独自の人材育成体制を構築しており、結果として高い定着率を実現していることも強みと言える。同社は社内で育成した人材を社会へ還元する教育会社としての「人材輩出企業」を目指しており、契約社員、派遣社員として入社したスタッフにも、本当に自分がやりたいことを見出して自立できるよう、「ソロフライトプラン(キャリアアップ支援制度)」※1と「ココロケアサポート(メンタル支援制度)」※2という2つの従業員支援プログラム(Employee Assistance Program)制度を整えている。
※1 契約社員・派遣社員として入社した社員を、最終的に自社または他社の正社員として輩出することを目的とした制度。個々にキャリアカウンセリングを行い、目標に沿った研修カリキュラムを設定し、働きながら正社員になるための教育が受けられる。
※2 従業員のキャリア支援にはメンタル面のサポートも必要と考え、より充実したメンタルヘルスケアを実現するために、国家資格を取得しているカウンセラー(社内または社外機関からの選択が可能)が、中立の立場で各事業所や希望の面談場所に出向き、カウンセリング(訪問型相談支援)を行う。
3. リスク要因
中長期的に成長を遂げるという観点からは、人材の確保及び定着率を向上させられるかどうかが最大のリスクであると考えられる。加えて、取引先企業の生産変動の影響を受けること、特定顧客への依存度が高いこと、なども事業リスクと考えられる。
(1) 人材の確保と定着率の向上
主力事業の製造請負においては、顧客企業及び自社運営の請負事業所が必要とする人材を採用・育成し、必要な時に必要な人材を供給する必要がある。このため、同社ではWebを活用した採用を強化しているほか、採用担当者を教育することで、良質な人材の採用や、応募から採用、入社に至る過程での取りこぼしを減少させ、取引先及び同社グループが必要とする人材の確保に努めている。しかし、これら施策が同社の想定どおりに機能せず、人材確保が計画どおりに進まない場合には、売上機会の損失や原価率の上昇、販売管理費の増加により業績にマイナス影響を及ぼす可能性がある。
さらに、長期的な視点から、新卒正社員を主軸とした無期雇用社員数の増加を請負化推進の基本戦略としているが、景気後退の局面では無期雇用維持のためのコストが一時的に収益圧迫要因となるリスクがある。
(2) 取引先企業の生産変動の影響
製造請負は、取引先企業の意向に従って増産あるいは減産といった生産変動に対応することでメーカー側のコスト構造をより変動費化する役割を担っている。同社の主力取引先は医療機器・医薬品等を扱う精密機器分野のメーカーで、全世界に製品を出荷している。このため、出荷先の景気動向が生産数量に影響を及ぼすほか、グローバルな視点での生産拠点最適化により国内生産拠点の統廃合が進めば、生産数量が減少し同社の受注量も減少するリスクがある。
(3) 高い特定顧客への依存度
同社の主要顧客であるテルモ向けの売上高及び売上構成比は2014年6月期をピークに緩やかに減少しているものの、2017年6月期においても連結売上高の32.7%を占める高い比率を占めている。テルモ向けでは各工場で請負業務を行っており、複数の競合企業があるなかで、現場改善による生産性向上実績などが評価され取引シェアはトップクラスを維持していると見られる。現在、同社とテルモの取引関係は良好だが、何らかの要因により取引関係に問題が生じた場合、あるいはテルモの生産拠点戦略や事業方針に変更等があった場合には、同社業績に影響を及ぼす可能性がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 同社の強み
平山ホールディングス<7781>の強みは、主力事業である製造請負において、現場改善コンサルタントと連携することで、生産性向上を実現していくことができる点にある。コンサルティングによる現場改善力は、日研トータルソーシング(株)(旧 日研総業(株))や日総工産(株)、UTグループ<2146>、アウトソーシング<2427>、nmsホールディングス<2162>など製造請負・派遣事業を展開する同業他社に対する大きな差別化要因となっており、さらに、現場改善コンサルティング・教育サービスをパッケージ化し、日系企業の海外工場へ提供できることも大きな特長となっている。
また同社では、プロフェッショナルな人材としての自立促進、顧客企業の生産性向上等、質の高いサービスを提供する独自の人材育成体制を構築しており、結果として高い定着率を実現していることも強みと言える。同社は社内で育成した人材を社会へ還元する教育会社としての「人材輩出企業」を目指しており、契約社員、派遣社員として入社したスタッフにも、本当に自分がやりたいことを見出して自立できるよう、「ソロフライトプラン(キャリアアップ支援制度)」※1と「ココロケアサポート(メンタル支援制度)」※2という2つの従業員支援プログラム(Employee Assistance Program)制度を整えている。
※1 契約社員・派遣社員として入社した社員を、最終的に自社または他社の正社員として輩出することを目的とした制度。個々にキャリアカウンセリングを行い、目標に沿った研修カリキュラムを設定し、働きながら正社員になるための教育が受けられる。
※2 従業員のキャリア支援にはメンタル面のサポートも必要と考え、より充実したメンタルヘルスケアを実現するために、国家資格を取得しているカウンセラー(社内または社外機関からの選択が可能)が、中立の立場で各事業所や希望の面談場所に出向き、カウンセリング(訪問型相談支援)を行う。
3. リスク要因
中長期的に成長を遂げるという観点からは、人材の確保及び定着率を向上させられるかどうかが最大のリスクであると考えられる。加えて、取引先企業の生産変動の影響を受けること、特定顧客への依存度が高いこと、なども事業リスクと考えられる。
(1) 人材の確保と定着率の向上
主力事業の製造請負においては、顧客企業及び自社運営の請負事業所が必要とする人材を採用・育成し、必要な時に必要な人材を供給する必要がある。このため、同社ではWebを活用した採用を強化しているほか、採用担当者を教育することで、良質な人材の採用や、応募から採用、入社に至る過程での取りこぼしを減少させ、取引先及び同社グループが必要とする人材の確保に努めている。しかし、これら施策が同社の想定どおりに機能せず、人材確保が計画どおりに進まない場合には、売上機会の損失や原価率の上昇、販売管理費の増加により業績にマイナス影響を及ぼす可能性がある。
さらに、長期的な視点から、新卒正社員を主軸とした無期雇用社員数の増加を請負化推進の基本戦略としているが、景気後退の局面では無期雇用維持のためのコストが一時的に収益圧迫要因となるリスクがある。
(2) 取引先企業の生産変動の影響
製造請負は、取引先企業の意向に従って増産あるいは減産といった生産変動に対応することでメーカー側のコスト構造をより変動費化する役割を担っている。同社の主力取引先は医療機器・医薬品等を扱う精密機器分野のメーカーで、全世界に製品を出荷している。このため、出荷先の景気動向が生産数量に影響を及ぼすほか、グローバルな視点での生産拠点最適化により国内生産拠点の統廃合が進めば、生産数量が減少し同社の受注量も減少するリスクがある。
(3) 高い特定顧客への依存度
同社の主要顧客であるテルモ向けの売上高及び売上構成比は2014年6月期をピークに緩やかに減少しているものの、2017年6月期においても連結売上高の32.7%を占める高い比率を占めている。テルモ向けでは各工場で請負業務を行っており、複数の競合企業があるなかで、現場改善による生産性向上実績などが評価され取引シェアはトップクラスを維持していると見られる。現在、同社とテルモの取引関係は良好だが、何らかの要因により取引関係に問題が生じた場合、あるいはテルモの生産拠点戦略や事業方針に変更等があった場合には、同社業績に影響を及ぼす可能性がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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