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エルテス Research Memo(1):2018年2月期は増収ながら減益となる見通し。事業拡大に向けた先行投資を実施

注目トピックス 日本株
■要約

エルテス<3967>は、「リスクを解決する社会インフラの創出」をミッションに掲げ、リスク検知に特化したビッグデータ解析ソリューションを展開している。主力の「ソーシャルリスク関連サービス」は、SNSやブログ、検索サイトなどWeb上の様々なメディアに起因するリスクに対するソリューションを提供するものである。インターネットの普及やデジタルデバイスの発展等に伴い、その副作用として、不適切な投稿等に伴う風評やネット炎上などの被害を受ける個人や企業が年々増加するなか、ソーシャルメディアの監視から緊急対応、アフターケアまで、顧客のリスクマネジメントをワンストップで支援する独自のポジショニングにより高成長を実現。2016年11月29日には東証マザーズに上場した。最近では、情報漏えいなど内部脅威リスクを検知する「リスクインテリジェンスサービス」への展開により、新たな成長軸も立ち上がってきた。

データ解析技術とコンサルティング力に強みがあり、有力ブランドを持つ大手企業を中心に累計600社以上の導入実績を誇る。また、2017年8月には戦略子会社を設立し、需要拡大が予想されている「イベントセキュリティサービス(テロ対策など)」の本格展開に向けた体制構築に着手するなど、いよいよ今後の事業拡大に向けた体制や道筋が具体的な形になってきた。

1. 2018年2月期上期決算の概要
2018年2月期第2四半期の(連結)業績は、売上高が前年同期比17.0%増の775百万円、営業利益が8百万円(前年同期比107百万円減)と増収ながら新規事業の立ち上げに伴う先行投資により大幅な減益となった※。ソーシャルリスクや内部脅威リスクへの対策ニーズの拡大を追い風としながら、新規顧客の獲得や既存顧客の深耕(客単価の向上)が増収に寄与した。一方、利益面では、認知度拡大を目的とした大規模なマーケティング費用に加えて、期初予想には織り込んでいなかった新規事業の立ち上げ(戦略子会社の設立を含む)に伴う先行投資により、計画を下回る減益となった。

※戦略子会社2社を設立したことに伴い、第2四半期から連結決算に移行している。したがって、前年同期比は単体決算との比較によるものである。


2. 2018年2月期通期の業績予想
2018年2月期の通期業績予想(連結)について同社は、新規事業への先行投資を勘案して、利益予想の減額修正を行った。修正後の業績予想として、売上高を前期比30.4%増の1,800百万円(修正なし)、営業利益を前期比72.8%減の50百万円と大幅な増収ながら減益を見込んでいる。弊社では、好調な外部環境や積み上げ型のストックビジネスであることに加え、認知度拡大の効果、リスクインテリジェンスサービスの促進などにより、同社の売上高予想の達成は可能であるとみている。また、減額修正後の利益予想についても、追加的な先行費用を反映した合理的な水準であると評価している。

3.成長戦略
同社の成長戦略は、既存のソーシャルリスク領域の拡大に加えて、内部不正、イベント、テロ対策などリスクインテリジェンス及びイベントセキュリティ領域への事業拡充により、成長を加速するものである。すなわち、ネット炎上や情報漏えいなどの企業課題の解決から、テロ脅威への安全対策などの社会問題の解決へと事業ドメインの拡張を図る方向性と言える。2020年2月期には、売上高の3分の1を新規事業で占める成長イメージを描いている。

弊社では、デジタル化の進展に伴う新たなリスク対策ニーズの拡大や東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた社会的リスクの高まりなど外部環境がさらに追い風となるなかで、他社に先行して優位性を構築してきた同社にとって、中長期的にも高い成長率を維持していくことは可能であるとみている。新規事業の進捗を含め、今後の具体的なソリューション実績や案件の広がりをフォローするとともに、他社との連携やM&Aなど外部リソースの活用などにも注目したい。

■Key Points
・2018年2月期第2四半期は新規事業の立ち上げ(連結決算へ移行)により増収ながら減益決算
・ソーシャルリスクや内部脅威リスクへの対策ニーズの拡大を追い風として、売上高は順調に拡大
・戦略子会社の設立により、需要拡大が予想されているイベントセキュリティ領域にも参入
・2018年2月期の通期業績は30%を超える増収ながら先行投資の影響により減益となる見通し
・既存のソーシャルリスク領域の拡大に加えて、内部不正やイベント、テロ対策などリスクインテリジェンス及びイベントセキュリティ領域への事業拡充により成長を加速する戦略

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



<NB>

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