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メディシス Research Memo(4):すべての事業セグメントで前年同期比増益・損失減少となる

注目トピックス 日本株
■メディカルシステムネットワーク<4350>の業績動向

2. 事業セグメント別動向
(1) 医薬品等ネットワーク事業
医薬品等ネットワーク事業の売上高は前年同期比6.9%増の1,728百万円、営業利益は同11.4%増の934百万円となった。2017年9月末のネットワーク加盟件数が前年同期末比415件増の2,012件となり、受発注手数料が前年同期比11.6%増の1,072百万円と2ケタ増収となったことが増収増益要因となった。

医薬品発注取扱高は前年同期比18.4%増の77,708百万円となっており、平均手数料率(受発注手数料÷医薬品発注取扱高)は前年同期の1.46%から1.38%と0.08ポイント低下した。手数料率は顧客規模によって異なっているが、近年10〜20店舗を運営する比較的規模の大きい顧客が増えてきたことが手数料率の低下要因になっていると見られる。今後もこうした顧客の増加に伴って、手数料率は緩やかながら低下傾向が続くものと予想される。

当第2四半期累計において注目される点としては、新規加盟件数の増加ペースが加速化している点が挙げられる。半期ベースの増減数では初めて200店舗を超える増加となったが、これは2016年4月の診療報酬改定により、調剤薬局の経営環境が悪化したことが背景にあると考えられる。2016年の診療報酬改定では薬局を地域包括ケアシステムの一機能として位置付け、かかりつけ薬局としての機能強化を促進することが求められるようになった。このため、中小零細規模の薬局は経営的に厳しくなってきており、コスト低減メリットが期待できる同社ネットワークに加盟する事業者が増え始めている。

もちろん、同社が新規顧客開拓の施策に取り組んだ効果も出ている。具体的には、社外パートナー企業との連携強化や、サービスの認知度向上に向けた取り組み等を進めた。なかでも、今回初めて開催した調剤薬局向けのセミナー(東京、大阪)については大きな反響を得たことで、今後も定例化していくことを決定している。セミナー内容は、薬局経営の効率化や診療報酬改定への対応施策等だが、中小規模の事業者にとっては薬事行政の方向性や経営ノウハウ等についての関心度は極めて高い。また、セミナーに参加して互いの情報共有を図りたいとするニーズも強いことが明らかとなった。このため、同社では今後もセミナーを定期開催し、新規顧客開拓のためのフック役とする考えだ。

その他にも、医薬品卸会社や薬剤師会との連携強化なども効果が出始めている。医薬品卸会社とは一見、利益相反の関係に見えるが、ここ最近では卸会社も物流コスト削減のため、販売交渉先を集約化するほうが効率的との判断から、地域によっては同社との連携が進むようになってきた。当第2四半期累計期間ではこうした医薬品卸や薬剤師会からの紹介案件も増えている。また、既存加盟店からの紹介案件が増加し始めていることも特徴だ。同社サービスの満足度の高さの裏返しとも言えるが、当第2四半期累計期間における新規加盟件数の約3割は既存加盟店からの紹介によるものとなっている。口コミで広がり始めれば、新規顧客開拓にかかるコストも低減し、普及スピードも加速する。同事業が高成長を続けていくうえで、好循環に入ってきたと言えるだろう。

(2) 調剤薬局事業
調剤薬局事業の売上高は前年同期比7.5%増の42,863百万円、営業利益は同72.7%増の1,220百万円となった。店舗数は新規出店で6店舗、M&A及び事業譲受で5店舗を取得する一方で、4店舗の閉鎖及び事業譲渡を行い、合計で前期末比7店舗増の384店舗となった。M&Aについては売却価格が高止まりしていることもあり、進捗が遅れているものの、診療報酬改定への対応を進めたことで既存店舗の収益改善が進んだことが増収増益要因となった。

売上高の内訳を見ると、薬剤料が前年同期比5.1%増の30,271百万円、技術料が同8.4%増の9,454百万円、OTC(大衆薬品)売上他が同33.7%増の3,137百万円となっている。OTC売上他の伸びが高くなっているが、これはインバウンド需要やネット通販が伸びたことによるものだが、利益面でのインパクトは小さい。

既存店の調剤報酬の内訳を見ると、処方箋枚数が前年同期比0.5%増、処方箋単価が同2.0%増(うち薬剤料は1.6%増、技術料は3.2%増)となり、合計で2.6%の増収となった。処方箋単価については前年同期が診療報酬改定の影響で3.8%減と大きく落ち込み収益悪化要因となったが、その後、後発医薬品調剤体制加算や基準調剤加算の取得店舗数増加に取り組んだことが増収要因となった。なお、2015年秋に発売されたC型肝炎治療薬については、売上が一巡したこともあって当第2四半期累計では約8億円の減収要因となっている。

(3) 賃貸・設備関連事業
賃貸・設備関連事業の売上高は前年同期比9.8%増の1,086百万円、営業損失は73百万円(前年同期は85百万円の損失)となった。売上高は不動産賃貸収入が堅調に推移したことで増収となった。利益面では人員体制の強化により人件費が増加したものの、増収効果で損失額が縮小している。

「サ高住」については、現在4つの物件のうち「ウィステリアN17」「ウィステリア清田」が既に黒字化している。「ウィステリア小樽稲穂」については入居率が93%と損益分岐点を既にクリアしているが、減価償却負担がまだ重く期間損益では損失となっている。ただ、2019年3月期からは黒字に転じる見通しとなっている。また、2016年5月にオープンした「ウィステリア千里中央」については、入居件数が前期末比7戸増の27戸となったが入居率は33%と依然低く、2018年3月末の目標50戸に対して進捗状況はやや遅れている。同社では広い間取りの引き合いが強いことから、2戸分を1戸分に改修するなどしてこうした需要に対応し入居率を高めていく方針だ。なお、2017年11月2日時点では入居契約件数で30戸となっている。

(4) 給食事業
給食事業の売上高は前年同期比0.7%減の2,298百万円、営業利益は34百万円(前年同期は102百万円の損失)となった。不採算案件の見直しを進めたことで売上高は微減収となったものの、契約単価の見直しや食材費の適正化を進めたことで、利益面では黒字化した。

(5) その他事業
その他事業については、売上高が前年同期比31.5%減の53百万円、営業損失は58百万円(前年同期は86百万円の損失)となった。治験施設支援事業を売却したことで減収となったものの、利益面では損失額が縮小した。ひまわり看護ステーションについては、既存店で収支均衡ラインまで改善したものの、新たに開設する店舗の立ち上げ負担により損失を計上している。訪問看護サービスでは同社グループの調剤薬局との連携もスタートしている。需要は旺盛なものの看護師の採用に苦労しており、今後の経営課題となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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