ヨシムラフード Research Memo(1):中小食品企業を子会社化し長期的視点で支援するユニークなビジネスを展開
[17/11/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
ヨシムラ・フード・ホールディングス<2884>は、食品の製造や販売を行う中小企業を支援・活性化することを目的に、2008年3月に設立された。以来、優れた商品や技術、販路、製造ノウハウを持ちながら、後継者難や事業再生、人材・資金・営業力不足といった様々な課題を抱える全国の中小食品企業を子会社化することで支援、さらに、持株会社として子会社の経営戦略の立案や実行、経営管理を行うとともに、営業、製造、仕入物流、商品開発、品質管理、経営管理といった子会社各社の機能に横串を刺した「中小企業支援プラットフォーム」という仕組みによって活性化してきた。
同社の強みは、ビジネスモデルの要であるM&Aと「中小企業支援プラットフォーム」にある。同社は子会社の短期売却を目的にしておらず、長期的な視点で持続的な成長を目指しているため、オーナーや従業員、取引先にとって受け入れやすい。また、「中小企業支援プラットフォーム」は、各子会社の業務を会社の壁を超えて横断的に統括し有機的に結び付けることで、各社が持つ強みを伸ばし弱みを補い合うことができる。食品分野に特化したこのマッチアップは、同社のビジネスモデルを非常にユニークなものにしている。
同社の子会社は製造事業と販売事業の2セグメントに分けられる。製造事業では各社が独自商品に強みを持ち、卸売業者などを通じて日本全国のスーパーマーケットやコンビニエンスストア、ドラッグストアなどへ販売している。販売事業では販売・企画機能に強みがあり、消費者ニーズを捉えた企画開発商品を、主に業務用チャネル向けに販売している。
2018年2月期第2四半期は、売上高が前年同期比43.9%増の9,935百万円、営業利益が同44.9%増の352百万円と好調だった。セグメント別では、製造事業は、前期にグループ入りした純和食品(株)、榮川酒造(株)、(株)エスケーフーズ3社の収益寄与に加え、楽陽食品(株)の主力商品であるチルドシウマイの販売好調、生産性向上を目的とする楽陽食品と(株)雄北水産への増強投資により、売上高が7,701百万円(前年同期比59.6%増)、営業利益が460百万円(同40.9%増)と大きく伸びた。販売事業は、企画提案力の強化に注力したことで主要得意先への販売が好調に推移、売上高が2,234百万円(同7.4%増)、営業利益が96百万円(同4.3%増)となった。特に楽陽食品の好調は想定以上で、売上・利益ともに期初の会社予想に対して超過達成となった。
2018年2月期の通期業績予想は、売上高が前期比21.2%増の19,687百万円、営業利益が同31.5%増の648百万円を見込んでいる。引き続きM&Aによるグループ拡大と「中小企業支援プラットフォーム」を利用した的確な支援により、子会社の活性化と成長を目指す。なお、2018年2月期業績予想も第2四半期決算発表と同時に上方修正されたが、第2四半期の超過達成分を上乗せしたのみで、販売モメンタムなどを考慮するとやや保守的な感が強い。
シェア争いに伴う熾烈な価格競争により、中小食品企業の経営環境は非常に厳しい。そのうえ、経営者の高齢化や開発力不足など課題が山積している。このため、今後、中小食品企業の事業承継ニーズはますます高まることが予測されている。同社も、M&Aの推進や「中小企業支援プラットフォーム」の強化にさらに取り組んでいく考えである。2017年3月に東京証券取引所市場第1部に市場変更し、上場準備期間中のM&Aの制限が解除された。2016年の東証マザーズ上場の際は上場後に3件の子会社化が発表されたが、今回は10月まででまだ1件である。今後、M&Aが加速することで、更なる事業拡大につながることが期待される。
■Key Points
・後継者難など課題の多い中小食品企業を子会社化し、長期視点で支援するユニークなビジネスを展開
・M&Aと支援プラットフォームに強み。中小食品企業の支援ビジネスは外部環境良好で競合が少ない
・2018年2月期通期業績も上方修正の公算。後継者難拡大などから中期的にM&A加速が期待される
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<NB>
ヨシムラ・フード・ホールディングス<2884>は、食品の製造や販売を行う中小企業を支援・活性化することを目的に、2008年3月に設立された。以来、優れた商品や技術、販路、製造ノウハウを持ちながら、後継者難や事業再生、人材・資金・営業力不足といった様々な課題を抱える全国の中小食品企業を子会社化することで支援、さらに、持株会社として子会社の経営戦略の立案や実行、経営管理を行うとともに、営業、製造、仕入物流、商品開発、品質管理、経営管理といった子会社各社の機能に横串を刺した「中小企業支援プラットフォーム」という仕組みによって活性化してきた。
同社の強みは、ビジネスモデルの要であるM&Aと「中小企業支援プラットフォーム」にある。同社は子会社の短期売却を目的にしておらず、長期的な視点で持続的な成長を目指しているため、オーナーや従業員、取引先にとって受け入れやすい。また、「中小企業支援プラットフォーム」は、各子会社の業務を会社の壁を超えて横断的に統括し有機的に結び付けることで、各社が持つ強みを伸ばし弱みを補い合うことができる。食品分野に特化したこのマッチアップは、同社のビジネスモデルを非常にユニークなものにしている。
同社の子会社は製造事業と販売事業の2セグメントに分けられる。製造事業では各社が独自商品に強みを持ち、卸売業者などを通じて日本全国のスーパーマーケットやコンビニエンスストア、ドラッグストアなどへ販売している。販売事業では販売・企画機能に強みがあり、消費者ニーズを捉えた企画開発商品を、主に業務用チャネル向けに販売している。
2018年2月期第2四半期は、売上高が前年同期比43.9%増の9,935百万円、営業利益が同44.9%増の352百万円と好調だった。セグメント別では、製造事業は、前期にグループ入りした純和食品(株)、榮川酒造(株)、(株)エスケーフーズ3社の収益寄与に加え、楽陽食品(株)の主力商品であるチルドシウマイの販売好調、生産性向上を目的とする楽陽食品と(株)雄北水産への増強投資により、売上高が7,701百万円(前年同期比59.6%増)、営業利益が460百万円(同40.9%増)と大きく伸びた。販売事業は、企画提案力の強化に注力したことで主要得意先への販売が好調に推移、売上高が2,234百万円(同7.4%増)、営業利益が96百万円(同4.3%増)となった。特に楽陽食品の好調は想定以上で、売上・利益ともに期初の会社予想に対して超過達成となった。
2018年2月期の通期業績予想は、売上高が前期比21.2%増の19,687百万円、営業利益が同31.5%増の648百万円を見込んでいる。引き続きM&Aによるグループ拡大と「中小企業支援プラットフォーム」を利用した的確な支援により、子会社の活性化と成長を目指す。なお、2018年2月期業績予想も第2四半期決算発表と同時に上方修正されたが、第2四半期の超過達成分を上乗せしたのみで、販売モメンタムなどを考慮するとやや保守的な感が強い。
シェア争いに伴う熾烈な価格競争により、中小食品企業の経営環境は非常に厳しい。そのうえ、経営者の高齢化や開発力不足など課題が山積している。このため、今後、中小食品企業の事業承継ニーズはますます高まることが予測されている。同社も、M&Aの推進や「中小企業支援プラットフォーム」の強化にさらに取り組んでいく考えである。2017年3月に東京証券取引所市場第1部に市場変更し、上場準備期間中のM&Aの制限が解除された。2016年の東証マザーズ上場の際は上場後に3件の子会社化が発表されたが、今回は10月まででまだ1件である。今後、M&Aが加速することで、更なる事業拡大につながることが期待される。
■Key Points
・後継者難など課題の多い中小食品企業を子会社化し、長期視点で支援するユニークなビジネスを展開
・M&Aと支援プラットフォームに強み。中小食品企業の支援ビジネスは外部環境良好で競合が少ない
・2018年2月期通期業績も上方修正の公算。後継者難拡大などから中期的にM&A加速が期待される
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<NB>