ヨシムラフード Research Memo(3):中小食品企業のM&Aと子会社の成長がビジネスの両輪
[17/11/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
2. 極めてユニークな同社のビジネスモデル
ヨシムラ・フード・ホールディングス<2884>のビジネスモデルは、様々な課題を抱える全国の中小食品企業を子会社化してグループを形成・拡大する一方、持株会社としてグループ全体の戦略の立案・実行及び経営管理を行うとともに、子会社のリソースをグループ全体で活用する仕組みによって、長期的視点で子会社各社の課題を解決し成長を図るというものである。中小食品企業のM&Aと子会社の成長が両輪になったビジネスモデルは、他に類を見ない極めてユニークなものと言える。
買収の具体的プロセスは、案件の紹介・初期検討→初期情報の開示・検討→条件提示→合意→基本合意書の締結→デューデリジェンス→最終交渉→子会社化という流れになる。案件はM&A仲介会社や地方銀行などから紹介されることが多い。案件紹介から子会社化まで通常6ヶ月程度かかる。中小の食品小企業であるため買い手が極端に少なく割安に放置されていることが多く、買収価格は経営改善後ベースでEV/EBITDA倍率2〜3倍になることもある。なお、M&Aに当たって、事業内容や改善策、強み、優秀な人材の有無などを独特な方法で査定することで、割高な価格では買わないという姿勢を堅持することができるのである。
M&Aで重要なのがデューデリジェンスである。もちろん財務や法務のデューデリジェンスが重要なのは言うまでもないが、同社を特徴付けているのが「事業のデューデリジェンス」である。同社に所属する事業統括担当が、同社と同社子会社にとってシナジーがあるかないかなどシャープな「目利き」として厳しく査定するのである。また、M&A後で重要なのが子会社従業員などとの信頼関係の構築である。この際、同社の「長期的に支援・活性化を図る」という考え方自体が信頼構築の礎となるが、支援・活性化の中心となるのも当の事業統括担当であり、彼らが各子会社に直接向き合うことで信頼が得られ課題の解決が進めやすくなる(その結果が評価されれば子会社従業員のモチベーションは上がり、信頼関係がさらに深まる)。同じ担当者がM&A前もM&A後も事業に関与するということはまれであり、この点でも同社のユニークさが表れていると言える。
同社は、持株会社としてグループ全社の経営戦略の立案・実行及び経営管理を行うとともに、子会社に対しては営業、製造、仕入物流、商品開発、品質管理、経営管理といった横串機能を提供して統括・支援している(事業統括担当の本質的な役割である)。これにより各子会社相互の強みを生かし弱みを補完し合うことができる。つまり、ヒト・モノ・カネといった経営資源を融通し合うわけだが、こうした仕組みを「中小企業支援プラットフォーム」と呼んでいる。「中小企業支援プラットフォーム」は、同社が食品の製造・販売に特化して長期的に支援に取り組んできたノウハウの蓄積により構築された仕組みで、長期的支援という考え方は共感を得られやすい。かつて産業促進機構やベンチャーキャピタルなどから同社が出資を受けてこられたのも、子会社の従業員や元オーナー、取引先などからの信頼が厚いのも、「中小企業支援プラットフォーム」の背景への共感によるものと考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<NB>
2. 極めてユニークな同社のビジネスモデル
ヨシムラ・フード・ホールディングス<2884>のビジネスモデルは、様々な課題を抱える全国の中小食品企業を子会社化してグループを形成・拡大する一方、持株会社としてグループ全体の戦略の立案・実行及び経営管理を行うとともに、子会社のリソースをグループ全体で活用する仕組みによって、長期的視点で子会社各社の課題を解決し成長を図るというものである。中小食品企業のM&Aと子会社の成長が両輪になったビジネスモデルは、他に類を見ない極めてユニークなものと言える。
買収の具体的プロセスは、案件の紹介・初期検討→初期情報の開示・検討→条件提示→合意→基本合意書の締結→デューデリジェンス→最終交渉→子会社化という流れになる。案件はM&A仲介会社や地方銀行などから紹介されることが多い。案件紹介から子会社化まで通常6ヶ月程度かかる。中小の食品小企業であるため買い手が極端に少なく割安に放置されていることが多く、買収価格は経営改善後ベースでEV/EBITDA倍率2〜3倍になることもある。なお、M&Aに当たって、事業内容や改善策、強み、優秀な人材の有無などを独特な方法で査定することで、割高な価格では買わないという姿勢を堅持することができるのである。
M&Aで重要なのがデューデリジェンスである。もちろん財務や法務のデューデリジェンスが重要なのは言うまでもないが、同社を特徴付けているのが「事業のデューデリジェンス」である。同社に所属する事業統括担当が、同社と同社子会社にとってシナジーがあるかないかなどシャープな「目利き」として厳しく査定するのである。また、M&A後で重要なのが子会社従業員などとの信頼関係の構築である。この際、同社の「長期的に支援・活性化を図る」という考え方自体が信頼構築の礎となるが、支援・活性化の中心となるのも当の事業統括担当であり、彼らが各子会社に直接向き合うことで信頼が得られ課題の解決が進めやすくなる(その結果が評価されれば子会社従業員のモチベーションは上がり、信頼関係がさらに深まる)。同じ担当者がM&A前もM&A後も事業に関与するということはまれであり、この点でも同社のユニークさが表れていると言える。
同社は、持株会社としてグループ全社の経営戦略の立案・実行及び経営管理を行うとともに、子会社に対しては営業、製造、仕入物流、商品開発、品質管理、経営管理といった横串機能を提供して統括・支援している(事業統括担当の本質的な役割である)。これにより各子会社相互の強みを生かし弱みを補完し合うことができる。つまり、ヒト・モノ・カネといった経営資源を融通し合うわけだが、こうした仕組みを「中小企業支援プラットフォーム」と呼んでいる。「中小企業支援プラットフォーム」は、同社が食品の製造・販売に特化して長期的に支援に取り組んできたノウハウの蓄積により構築された仕組みで、長期的支援という考え方は共感を得られやすい。かつて産業促進機構やベンチャーキャピタルなどから同社が出資を受けてこられたのも、子会社の従業員や元オーナー、取引先などからの信頼が厚いのも、「中小企業支援プラットフォーム」の背景への共感によるものと考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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