ヨシムラフード Research Memo(4):強みはM&Aと中小企業支援プラットフォーム
[17/11/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
3. 強みはビジネスモデルそのもの
ヨシムラ・フード・ホールディングス<2884>の強みはまさにビジネスモデルそのもの、事業承継の受け皿としてのM&Aと「中小企業支援プラットフォーム」にある。同社は、M&Aで子会社化した会社の売却を目的としていないため、事業規模が小さく成長に時間がかかる企業や、成長のための経営資源が不足しているような企業などを含め、幅広く中小企業の受け皿になることができる。これは他にない強みである。
また、創業以来、食品に特化して中小企業の支援・活性化をしてきたため、既に同社は食品業界の市場環境や商習慣、中小食品企業特有のリスクなどを熟知する一方、デューデリジェンスや交渉のノウハウも蓄積してきた。M&A前後で同じ事業統括担当が絡むため「目利き」としての強みもある。加えて、M&A仲介会社や地方銀行や信用金庫、証券会社などの地域金融機関、税理士やコンサル事務所、弁護士、再生コンサルタントなどと幅広いネットワークを構築しており、中小食品企業のM&A情報を容易に得る体制も構築している。
同社のもう1つの強みが「中小企業支援プラットフォーム」である。そして、これを利用して課題を整備するだけで子会社の経営が簡単に上向くことは、既に実証されていると言える。これまでM&Aしてきた12社は、うち4社が親会社によるリストラ、3社が再生案件、5社が後継者難であり、チルド・冷凍総菜から酒、酒の肴、ゼリー、ピーナツバターまで製品は多岐にわたり、日本各地で小規模ながら地域に密着して製造してきた会社である。このように様々な子会社がなべて数字を伸ばしているのである。
例えば、楽陽食品は、子会社化当初のリストラ一巡後は、新規工場や既存工場への投資や新規客へのアプローチなど経営を積極化させた。その結果、チルドシウマイの業界シェアが2009年の16.9%から2014年にはトップシェアの23.3%まで拡大、最後発と言っていい餃子も2017年2月期には821百万円と2年で4倍に成長した。経営資源の制約で積極経営できない中小企業が多いなか、楽陽食品の様変わりはまさに「中小企業支援プラットフォーム」の強みを示していると言えるだろう。
さらに直近でも実例は多い。2016年7月に子会社化した純和食品は、ボイルやレトルトの高い技術がありながら、イオン<8267>向けにゼリーのPB(プライベートブランド)を製造販売するだけだった。これではイオンの販売戦略に振り回されるリスクが高く、年度によっては大変苦戦することもあった。そこで今期に入ってNB(ナショナルブランド)商品を開発しグループの営業網を利用して販売した結果、既に取引先のスーパーは30チェーンに拡大した。また、2017年10月に子会社化したばかりの(株)ヤマニ野口水産は、全国に販路がなく北海道の留萌で酒の肴を細々と作り続けるだけだったが、グループの販売網を使えるようになった途端、生協への北海たこやわらか煮の納入が決まった。「中小企業支援プラットフォーム」は食品分野であれば高い汎用性のある仕組みである、と同社が自負するのもうなずける。
ちなみに、「中小企業支援プラットフォーム」の事業統括担当は、グループで最も食品のノウハウを持った人材でなければならない。しかし、持株会社の同社にはそのような人材がもともといるわけではない。ということは、事業統括担当は子会社から同社に引き上げられたということを示している。実際、6つの横串事業のうちで営業と製造、それに仕入物流の事業統括担当は子会社の出身である(ほかは商品開発と品質管理が外部、経営管理が同社)。横串ばかりか縦串も使ってシナジーを上げているということができる。これは非常に効率的な考え方である上、次は自分と子会社従業員のモチベーションも上がるというものだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<NB>
3. 強みはビジネスモデルそのもの
ヨシムラ・フード・ホールディングス<2884>の強みはまさにビジネスモデルそのもの、事業承継の受け皿としてのM&Aと「中小企業支援プラットフォーム」にある。同社は、M&Aで子会社化した会社の売却を目的としていないため、事業規模が小さく成長に時間がかかる企業や、成長のための経営資源が不足しているような企業などを含め、幅広く中小企業の受け皿になることができる。これは他にない強みである。
また、創業以来、食品に特化して中小企業の支援・活性化をしてきたため、既に同社は食品業界の市場環境や商習慣、中小食品企業特有のリスクなどを熟知する一方、デューデリジェンスや交渉のノウハウも蓄積してきた。M&A前後で同じ事業統括担当が絡むため「目利き」としての強みもある。加えて、M&A仲介会社や地方銀行や信用金庫、証券会社などの地域金融機関、税理士やコンサル事務所、弁護士、再生コンサルタントなどと幅広いネットワークを構築しており、中小食品企業のM&A情報を容易に得る体制も構築している。
同社のもう1つの強みが「中小企業支援プラットフォーム」である。そして、これを利用して課題を整備するだけで子会社の経営が簡単に上向くことは、既に実証されていると言える。これまでM&Aしてきた12社は、うち4社が親会社によるリストラ、3社が再生案件、5社が後継者難であり、チルド・冷凍総菜から酒、酒の肴、ゼリー、ピーナツバターまで製品は多岐にわたり、日本各地で小規模ながら地域に密着して製造してきた会社である。このように様々な子会社がなべて数字を伸ばしているのである。
例えば、楽陽食品は、子会社化当初のリストラ一巡後は、新規工場や既存工場への投資や新規客へのアプローチなど経営を積極化させた。その結果、チルドシウマイの業界シェアが2009年の16.9%から2014年にはトップシェアの23.3%まで拡大、最後発と言っていい餃子も2017年2月期には821百万円と2年で4倍に成長した。経営資源の制約で積極経営できない中小企業が多いなか、楽陽食品の様変わりはまさに「中小企業支援プラットフォーム」の強みを示していると言えるだろう。
さらに直近でも実例は多い。2016年7月に子会社化した純和食品は、ボイルやレトルトの高い技術がありながら、イオン<8267>向けにゼリーのPB(プライベートブランド)を製造販売するだけだった。これではイオンの販売戦略に振り回されるリスクが高く、年度によっては大変苦戦することもあった。そこで今期に入ってNB(ナショナルブランド)商品を開発しグループの営業網を利用して販売した結果、既に取引先のスーパーは30チェーンに拡大した。また、2017年10月に子会社化したばかりの(株)ヤマニ野口水産は、全国に販路がなく北海道の留萌で酒の肴を細々と作り続けるだけだったが、グループの販売網を使えるようになった途端、生協への北海たこやわらか煮の納入が決まった。「中小企業支援プラットフォーム」は食品分野であれば高い汎用性のある仕組みである、と同社が自負するのもうなずける。
ちなみに、「中小企業支援プラットフォーム」の事業統括担当は、グループで最も食品のノウハウを持った人材でなければならない。しかし、持株会社の同社にはそのような人材がもともといるわけではない。ということは、事業統括担当は子会社から同社に引き上げられたということを示している。実際、6つの横串事業のうちで営業と製造、それに仕入物流の事業統括担当は子会社の出身である(ほかは商品開発と品質管理が外部、経営管理が同社)。横串ばかりか縦串も使ってシナジーを上げているということができる。これは非常に効率的な考え方である上、次は自分と子会社従業員のモチベーションも上がるというものだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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