トライSTG Research Memo(4):テレビ事業は一時的に粗利益率が低下、DM事業は想定以上に好調に推移
[17/11/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■トライステージ<2178>の業績動向
2. 事業セグメント別動向
(1) ダイレクトマーケティング支援事業
ダイレクトマーケティング支援事業の売上高は前年同期比10.2%増の18,197百万円、営業利益は同29.2%減の639百万円となった。売上高の内訳を見ると、テレビ事業が前年同期比6.2%増の17,467百万円、WEB事業が同12倍増の729百万円となった。WEB事業のうち第2四半期から連結に加わったアドフレックスの売上高は664百万円、営業利益は41百万円とほぼ会社計画どおりの進捗となった。のれん償却費については四半期で16百万円となるため、のれん償却費控除後でも利益ベースで業績に寄与したことになる。
ただ、主力のテレビ事業の粗利益率が前年同期の12.3%から10.0%に低下したことが減益要因となった。粗利率の低下要因としては、顧客の出稿意欲が前期に引き続き2018年2月期も強いと見て、2017年4月の改編時にメディア枠を多めに発注したが、出稿意欲が想定よりも鈍かったため一部のメディア枠について値引き販売を実施したこと、また、特定クライアントにおいてパフォーマンスが悪化したことに伴う売上値引き処理約117百万円が第2四半期に発生したことが要因となっている。
顧客動向では、上位5社の売上高は個別の増減はあるものの、合計では前年同期比2億円増の82億円と堅調に推移した。顧客業種別では、2016年に伸びた雑貨品が減少したが、健康食品が引き続き堅調に推移した。
(2) DM事業
DM事業の売上高は前年同期比44.8%増の8,138百万円、営業利益は同176.8%増の139百万円と大幅増収増益となった。参入企業が多く利益率の低いDM発送業界において、ヤマト運輸や日本郵便が相次ぐ値上げを実施したことで、中堅以下の事業者が収益的に厳しくなっており、業界内で大手の寡占化が進行していることが同社にとっても追い風となっている。
利益面でも、増収効果に加えて2017年6月にハガキやDM便の値上げが進んだことや、収益性の高い直接取引の新規顧客が着実に増加したことなどが増益要因となっており、営業利益率はのれん償却前ベースで2.4%まで上昇した。なお、のれん償却は半期で55百万円だが、第2四半期末ののれん資産は18百万円まで減少しており、第3四半期でのれん償却費はすべてなくなる見通し。
(3) 海外事業
海外事業の売上高は前年同期比1599.4%増の756百万円、営業損失は133百万円(前年同期は106百万円の損失)となった。2017年2月期下期に子会社化したJMLの業績は売上高が374百万円、営業損失が25百万円、Merdisは売上高が345百万円、営業利益が37百万円となった。前年同期との比較はないがJMLについては減収減益、Merdisについては増収増益となった。Merdisについてはのれん償却28百万円を含めても利益に貢献したことになる。ただ、いずれも会社計画比ではやや下回ったようだ。なお、TSMについてはまだ売上はなく、営業損失で1百万円となった。海外事業の業績数字と3社合計の差額は、単体の海外事業となる。
JMLについてはTV Directと同様に主力の欧米製の健康器具や調理器具のライフサイクルが終盤を迎えてきたこと、代替するヒット商品が出ていないことなどが業績低迷の要因となっている。同社は日本の健康食品や韓国の化粧品等のラインナップを今後拡充していくほか、コスト削減に取り組むことで早期の業績回復を目指していく方針としている。Merdisについては主力の韓国製商品がインドネシア国内だけでなく周辺国への輸出も堅調に推移しており、着実に業績が伸びているが、今後、グループの各拠点への卸を強化していくことで業績拡大を加速化していく考えだ。
(4)通販事業
通販事業の売上高は6百万円、営業損失は107百万円となった。2017年3月に子会社のNHAで営業を開始し、頻尿や更年期障害を対象とした漢方薬やサプリメントを、コールセンターで薬剤師のカウンセリングを実施しながら販売している。地方の新聞広告やラジオ広告によるテストマーケティングの段階からスタートしたため、売上高はわずかとなっているが、現在はCSテレビでの広告も開始するなど積極的なメディア出稿により拡販を進めていく計画となっている。
(5) その他事業
その他事業の売上高は前年同期比34.2%増の708百万円、営業利益は同11.0%増の14百万円となった。2016年3月に子会社化した日本百貨店が運営する小売事業「日本百貨店」と卸売事業が含まれる。「日本百貨店」の既存店は微増となり、前期途中に出店した新規2店舗の売上増分が増収要因となった。店舗数は現在、7店舗(東京、神奈川、オンラインストア)となっている。
また、2017年3月には香港の大型ショッピングモール「K11(ケーイレブン)」のエントランスフロアに設置されている特別展示販売スペースにて、日本の工芸品を販売し好評を博したことから、5月に「K11」を運営するK11 Design Store Limited(以下、K11)と、日本製工芸品の販売拡大を目的とする業務委託契約を締結した。今後、K11が運営する複数のECサイトへの商品卸や「K11」等商業施設への出店等、香港や中国市場での事業展開を幅広く検討していくこととなった。
国内での卸事業展開では、2017年6月に沖縄最大の流通企業グループであるリウボウグループの傘下である(株)リウボウインダストリーと相互の商品供給や商品開発を中心とした業務提携を発表した。日本百貨店の商材を、リウボウグループ傘下の百貨店やスーパーマーケットに卸販売し、インバウンド需要を取り込んでいくほか、リウボウグループの沖縄産商品を仕入れ、「日本百貨店」を通じて販売していくことになる。また、商品の共同開発やアジア市場での共同事業展開も視野に入れている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 事業セグメント別動向
(1) ダイレクトマーケティング支援事業
ダイレクトマーケティング支援事業の売上高は前年同期比10.2%増の18,197百万円、営業利益は同29.2%減の639百万円となった。売上高の内訳を見ると、テレビ事業が前年同期比6.2%増の17,467百万円、WEB事業が同12倍増の729百万円となった。WEB事業のうち第2四半期から連結に加わったアドフレックスの売上高は664百万円、営業利益は41百万円とほぼ会社計画どおりの進捗となった。のれん償却費については四半期で16百万円となるため、のれん償却費控除後でも利益ベースで業績に寄与したことになる。
ただ、主力のテレビ事業の粗利益率が前年同期の12.3%から10.0%に低下したことが減益要因となった。粗利率の低下要因としては、顧客の出稿意欲が前期に引き続き2018年2月期も強いと見て、2017年4月の改編時にメディア枠を多めに発注したが、出稿意欲が想定よりも鈍かったため一部のメディア枠について値引き販売を実施したこと、また、特定クライアントにおいてパフォーマンスが悪化したことに伴う売上値引き処理約117百万円が第2四半期に発生したことが要因となっている。
顧客動向では、上位5社の売上高は個別の増減はあるものの、合計では前年同期比2億円増の82億円と堅調に推移した。顧客業種別では、2016年に伸びた雑貨品が減少したが、健康食品が引き続き堅調に推移した。
(2) DM事業
DM事業の売上高は前年同期比44.8%増の8,138百万円、営業利益は同176.8%増の139百万円と大幅増収増益となった。参入企業が多く利益率の低いDM発送業界において、ヤマト運輸や日本郵便が相次ぐ値上げを実施したことで、中堅以下の事業者が収益的に厳しくなっており、業界内で大手の寡占化が進行していることが同社にとっても追い風となっている。
利益面でも、増収効果に加えて2017年6月にハガキやDM便の値上げが進んだことや、収益性の高い直接取引の新規顧客が着実に増加したことなどが増益要因となっており、営業利益率はのれん償却前ベースで2.4%まで上昇した。なお、のれん償却は半期で55百万円だが、第2四半期末ののれん資産は18百万円まで減少しており、第3四半期でのれん償却費はすべてなくなる見通し。
(3) 海外事業
海外事業の売上高は前年同期比1599.4%増の756百万円、営業損失は133百万円(前年同期は106百万円の損失)となった。2017年2月期下期に子会社化したJMLの業績は売上高が374百万円、営業損失が25百万円、Merdisは売上高が345百万円、営業利益が37百万円となった。前年同期との比較はないがJMLについては減収減益、Merdisについては増収増益となった。Merdisについてはのれん償却28百万円を含めても利益に貢献したことになる。ただ、いずれも会社計画比ではやや下回ったようだ。なお、TSMについてはまだ売上はなく、営業損失で1百万円となった。海外事業の業績数字と3社合計の差額は、単体の海外事業となる。
JMLについてはTV Directと同様に主力の欧米製の健康器具や調理器具のライフサイクルが終盤を迎えてきたこと、代替するヒット商品が出ていないことなどが業績低迷の要因となっている。同社は日本の健康食品や韓国の化粧品等のラインナップを今後拡充していくほか、コスト削減に取り組むことで早期の業績回復を目指していく方針としている。Merdisについては主力の韓国製商品がインドネシア国内だけでなく周辺国への輸出も堅調に推移しており、着実に業績が伸びているが、今後、グループの各拠点への卸を強化していくことで業績拡大を加速化していく考えだ。
(4)通販事業
通販事業の売上高は6百万円、営業損失は107百万円となった。2017年3月に子会社のNHAで営業を開始し、頻尿や更年期障害を対象とした漢方薬やサプリメントを、コールセンターで薬剤師のカウンセリングを実施しながら販売している。地方の新聞広告やラジオ広告によるテストマーケティングの段階からスタートしたため、売上高はわずかとなっているが、現在はCSテレビでの広告も開始するなど積極的なメディア出稿により拡販を進めていく計画となっている。
(5) その他事業
その他事業の売上高は前年同期比34.2%増の708百万円、営業利益は同11.0%増の14百万円となった。2016年3月に子会社化した日本百貨店が運営する小売事業「日本百貨店」と卸売事業が含まれる。「日本百貨店」の既存店は微増となり、前期途中に出店した新規2店舗の売上増分が増収要因となった。店舗数は現在、7店舗(東京、神奈川、オンラインストア)となっている。
また、2017年3月には香港の大型ショッピングモール「K11(ケーイレブン)」のエントランスフロアに設置されている特別展示販売スペースにて、日本の工芸品を販売し好評を博したことから、5月に「K11」を運営するK11 Design Store Limited(以下、K11)と、日本製工芸品の販売拡大を目的とする業務委託契約を締結した。今後、K11が運営する複数のECサイトへの商品卸や「K11」等商業施設への出店等、香港や中国市場での事業展開を幅広く検討していくこととなった。
国内での卸事業展開では、2017年6月に沖縄最大の流通企業グループであるリウボウグループの傘下である(株)リウボウインダストリーと相互の商品供給や商品開発を中心とした業務提携を発表した。日本百貨店の商材を、リウボウグループ傘下の百貨店やスーパーマーケットに卸販売し、インバウンド需要を取り込んでいくほか、リウボウグループの沖縄産商品を仕入れ、「日本百貨店」を通じて販売していくことになる。また、商品の共同開発やアジア市場での共同事業展開も視野に入れている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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