ADワークス Research Memo(6):不動産小口化投資商品市場への参入開始
[17/12/07]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
2. 不動産テック事業の取り組み状況
エー・ディー・ワークス<3250>は新たな収益ドライバーとして、不動産テック事業の育成に取り組み始めている。2016年10月に同事業を展開する子会社のSMIを設立し、小口化投資商品の流通プラットフォーム「みんなの投資online」の運営を開始している。現在は、不動産投資や海外投資等の各種資産運用の情報やクラウドファンディングに関する情報等のポータルサイトとして運営しているが、2019年3月期以降は不動産特定共同事業法(以下不特法)による小口化投資商品※を同サイト上で販売していく予定にしている。
※小口化投資商品は一口100万円、商品によっては10万円と比較的少ない投資金額から投資が可能なほか、1つの物件を複数の投資家で分散して所有するため、空室の発生による利回り変動リスクも他の不動産投資商品と比較して大幅に軽減されるといったメリットがある。契約スタイルによって「匿名組合型」「任意組合型」「賃貸借型」の3種類の商品に大別される。
第1号案件として自社が保有する京都の商業施設ビルを小口化投資商品として組成し、2019年3月期中に販売を開始したい考えだ。実績ができれば同業他社の商品も掲載して、不動産流通販売プラットフォームとしてマネタイズしていく戦略となっている。現在、不特法を用いた小口化投資商品の販売については各社とも、セミナーによる集客や、提携先である金融機関、税理士等からの顧客紹介が殆どとなっており、まだ、一般的な資産運用商品としての認知度は低い。インターネット上で気軽にこれらの商品を見て、投資ができるポータルサイトができれば、投資家層も広がり不動産小口化投資商品の市場も一気に拡大するものと予想される。SMIでは不動産小口化商品を販売する青山財産ネットワークス<8929>やFPG<7148>、インテリックス<8940> 等の同業他社と、健全な市場形成を進めていくことを目的とした事業者交流会をスタートさせており、今後の動向が注目される。
こうした不動産流通マーケットにおける顧客層として、同社では金融資産で3千万円〜1億円のハイエンド個人投資家層を想定しており、潜在顧客数としては全国で約430万世帯が該当すると見ている。同社のコア事業である収益不動産販売事業における顧客層は金融資産で1億円以上の富裕層で全国で約120万世帯となるため、潜在顧客数としては従来の3倍強に広がるものと想定される。
なお、同社は収益不動産を1棟売りにするか小口化投資商品として販売するかの判断基準について、1棟売りに関しては築年数が古く、5年程度で転売してキャピタルゲインを獲得できそうな物件を中心に考えている。一方、小口化投資商品については築年数が比較的浅く投資家が10〜15年と長期で保有しても利回りが安定するもの、あるいは地方の投資家が投資したいと考えるネームバリューのある地域の商業ビル等が考えられる。また、収益性の違いを見た場合は、1棟売りの場合に3%かかる販売仲介手数料が小口化投資商品の場合は不要となるため、理論的には従来よりも収益性の高い事業になることが予想される。さらに他社商品については掲載料のほか販売が決まった場合の手数料収入を得られる可能性がある。
同社では自社のビジネスモデルをブルーオーシャン型と呼んでいるが、今回の不動産テック事業もまたブルーオーシャン型として位置付けられる。既存事業がバリューイノベーションの実現によるブルーオーシャン型のビジネスモデルであるのに対して、不動産テック事業はマーケットイノベーションの実現によって、ブルーオーシャンとする。不動産小口化投資商品を幅広く扱うオンラインの流通プラットフォームはまだなく、先行して同市場を構築し業界のデファクトスタンダードにすることでブルーオーシャンを構築する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 不動産テック事業の取り組み状況
エー・ディー・ワークス<3250>は新たな収益ドライバーとして、不動産テック事業の育成に取り組み始めている。2016年10月に同事業を展開する子会社のSMIを設立し、小口化投資商品の流通プラットフォーム「みんなの投資online」の運営を開始している。現在は、不動産投資や海外投資等の各種資産運用の情報やクラウドファンディングに関する情報等のポータルサイトとして運営しているが、2019年3月期以降は不動産特定共同事業法(以下不特法)による小口化投資商品※を同サイト上で販売していく予定にしている。
※小口化投資商品は一口100万円、商品によっては10万円と比較的少ない投資金額から投資が可能なほか、1つの物件を複数の投資家で分散して所有するため、空室の発生による利回り変動リスクも他の不動産投資商品と比較して大幅に軽減されるといったメリットがある。契約スタイルによって「匿名組合型」「任意組合型」「賃貸借型」の3種類の商品に大別される。
第1号案件として自社が保有する京都の商業施設ビルを小口化投資商品として組成し、2019年3月期中に販売を開始したい考えだ。実績ができれば同業他社の商品も掲載して、不動産流通販売プラットフォームとしてマネタイズしていく戦略となっている。現在、不特法を用いた小口化投資商品の販売については各社とも、セミナーによる集客や、提携先である金融機関、税理士等からの顧客紹介が殆どとなっており、まだ、一般的な資産運用商品としての認知度は低い。インターネット上で気軽にこれらの商品を見て、投資ができるポータルサイトができれば、投資家層も広がり不動産小口化投資商品の市場も一気に拡大するものと予想される。SMIでは不動産小口化商品を販売する青山財産ネットワークス<8929>やFPG<7148>、インテリックス<8940> 等の同業他社と、健全な市場形成を進めていくことを目的とした事業者交流会をスタートさせており、今後の動向が注目される。
こうした不動産流通マーケットにおける顧客層として、同社では金融資産で3千万円〜1億円のハイエンド個人投資家層を想定しており、潜在顧客数としては全国で約430万世帯が該当すると見ている。同社のコア事業である収益不動産販売事業における顧客層は金融資産で1億円以上の富裕層で全国で約120万世帯となるため、潜在顧客数としては従来の3倍強に広がるものと想定される。
なお、同社は収益不動産を1棟売りにするか小口化投資商品として販売するかの判断基準について、1棟売りに関しては築年数が古く、5年程度で転売してキャピタルゲインを獲得できそうな物件を中心に考えている。一方、小口化投資商品については築年数が比較的浅く投資家が10〜15年と長期で保有しても利回りが安定するもの、あるいは地方の投資家が投資したいと考えるネームバリューのある地域の商業ビル等が考えられる。また、収益性の違いを見た場合は、1棟売りの場合に3%かかる販売仲介手数料が小口化投資商品の場合は不要となるため、理論的には従来よりも収益性の高い事業になることが予想される。さらに他社商品については掲載料のほか販売が決まった場合の手数料収入を得られる可能性がある。
同社では自社のビジネスモデルをブルーオーシャン型と呼んでいるが、今回の不動産テック事業もまたブルーオーシャン型として位置付けられる。既存事業がバリューイノベーションの実現によるブルーオーシャン型のビジネスモデルであるのに対して、不動産テック事業はマーケットイノベーションの実現によって、ブルーオーシャンとする。不動産小口化投資商品を幅広く扱うオンラインの流通プラットフォームはまだなく、先行して同市場を構築し業界のデファクトスタンダードにすることでブルーオーシャンを構築する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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