日証金 Research Memo(4):好調な株式市場を反映して大幅な増収増益決算
[17/12/11]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2018年3月期上期の業績概要
日本証券金融<8511>の2018年3月期上期の株式市場では、期初18,983円で始まった日経平均株価は、北朝鮮を巡るリスクの高まりから4月には上期中の最安値まで下落したものの、6月上旬には仏大統領選結果を好感して約1年半ぶりに20,000円の大台を回復した。北朝鮮への懸念が再燃し、9月上旬には下落したものの、衆院解散報道や米国による追加利上げ期待などを背景としたドル高・円安を受けて上昇に転じ、9月には2年ぶりの高値を記録し、9月末は20,356円で取引を終えた。
上期の東京市場の制度信用取引買い残高は、期初の2兆350億円台から5月上旬には1兆8,000億円程度に減少したが、その後は株価下落局面における個人投資家の押し目買いから、8月下旬には上期のピークとなる2兆1,500億円台まで回復し、9月末は2兆300億円台となった。一方、期初に5,800億円台であった同売り残高は、4月中旬に上期のボトムとなる5,700億円台に減少したものの、6月上旬の株価上昇局面において新規売りが見られたことから、7,700億円台まで増加した。その後は、株価下落局面における利益確定の買戻しから、8月下旬には一時減少したが、9月下旬にかけては再び回復し、9月末は7,300億円台となった。
このような株式市場の動向のもとで、2018年3月期上期における同社グループの貸付金総残高(期中平均)は5,367億円と前年同期比843億円の増加となった。連結営業収益は、貸借取引業務における有価証券貸付料が増加したことなどから、12,909百万円(前年同期比20.8%増)の大幅増収となった。また、営業費用は貸借取引及び債券貸借取引における有価証券借入料が増加したことなどから6,518百万円(同32.8%増)であったものの、一般管理費はほぼ前年同期並みの3,970百万円(同0.7%減)にとどまった。この結果、営業利益は2,420百万円(同36.2%増)、経常利益は2,723百万円(同32.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は2,227百万円(同27.4%増)と大幅増益となった。市場環境が想定よりも良かったことから、親会社株主に帰属する四半期純利益は7月時点での通期試算利益の約85%を達成した。
上期における各セグメントの営業概況は以下のとおりである。
(1) 証券金融業
貸借取引業務では、融資の期中平残が3,138億円と前年同期比502億円増加したことから、貸付金利息は増収となった。また、貸株の期中平残も3,738億円と前年同期比1,465億円増加し、貸株料が増収となったことに加え、貸株超過銘柄にかかる品貸料も増加したことから、これらを合わせた有価証券貸付料は増収となった。この結果、同業務の営業収益は6,640百万円(前年同期比51.1%増)となった。
一般貸付業務では、個人・一般事業法人向け貸付及び金融商品取引業者向け貸付がともに低調に推移し、当業務の貸付金の期中平残は361億円と前年同期比113億円の減少となった。一方、株式市況の回復に伴い、現金担保付株券等貸借取引の利用は増加した結果、同業務の営業収益は、414百万円(同9.4%減)であった。
有価証券貸付業務では、一般貸株部門が増収を確保したことに加え、債券営業部門において貸付残高の増加等により大幅な増収となった結果、営業収益は2,242百万円(同14.5%増)となった。
その他は、保有国債の利息収入が減少した一方で、保有投資信託の分配金等の収入が増加したことなどから、1,794百万円(同2.4%増)となった。
(2) 信託銀行業
管理型信託サービスの強化により信託報酬は増加基調を継続したものの、保有国債等の売却益が減少したほか、貸付金利の低下に伴い貸付金利息が減収となったことなどから、営業収益は1,380百万円(同18.3%減)となった。
(3) 不動産賃貸業
営業収益は435百万円(同1.7%増)となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<MH>
1. 2018年3月期上期の業績概要
日本証券金融<8511>の2018年3月期上期の株式市場では、期初18,983円で始まった日経平均株価は、北朝鮮を巡るリスクの高まりから4月には上期中の最安値まで下落したものの、6月上旬には仏大統領選結果を好感して約1年半ぶりに20,000円の大台を回復した。北朝鮮への懸念が再燃し、9月上旬には下落したものの、衆院解散報道や米国による追加利上げ期待などを背景としたドル高・円安を受けて上昇に転じ、9月には2年ぶりの高値を記録し、9月末は20,356円で取引を終えた。
上期の東京市場の制度信用取引買い残高は、期初の2兆350億円台から5月上旬には1兆8,000億円程度に減少したが、その後は株価下落局面における個人投資家の押し目買いから、8月下旬には上期のピークとなる2兆1,500億円台まで回復し、9月末は2兆300億円台となった。一方、期初に5,800億円台であった同売り残高は、4月中旬に上期のボトムとなる5,700億円台に減少したものの、6月上旬の株価上昇局面において新規売りが見られたことから、7,700億円台まで増加した。その後は、株価下落局面における利益確定の買戻しから、8月下旬には一時減少したが、9月下旬にかけては再び回復し、9月末は7,300億円台となった。
このような株式市場の動向のもとで、2018年3月期上期における同社グループの貸付金総残高(期中平均)は5,367億円と前年同期比843億円の増加となった。連結営業収益は、貸借取引業務における有価証券貸付料が増加したことなどから、12,909百万円(前年同期比20.8%増)の大幅増収となった。また、営業費用は貸借取引及び債券貸借取引における有価証券借入料が増加したことなどから6,518百万円(同32.8%増)であったものの、一般管理費はほぼ前年同期並みの3,970百万円(同0.7%減)にとどまった。この結果、営業利益は2,420百万円(同36.2%増)、経常利益は2,723百万円(同32.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は2,227百万円(同27.4%増)と大幅増益となった。市場環境が想定よりも良かったことから、親会社株主に帰属する四半期純利益は7月時点での通期試算利益の約85%を達成した。
上期における各セグメントの営業概況は以下のとおりである。
(1) 証券金融業
貸借取引業務では、融資の期中平残が3,138億円と前年同期比502億円増加したことから、貸付金利息は増収となった。また、貸株の期中平残も3,738億円と前年同期比1,465億円増加し、貸株料が増収となったことに加え、貸株超過銘柄にかかる品貸料も増加したことから、これらを合わせた有価証券貸付料は増収となった。この結果、同業務の営業収益は6,640百万円(前年同期比51.1%増)となった。
一般貸付業務では、個人・一般事業法人向け貸付及び金融商品取引業者向け貸付がともに低調に推移し、当業務の貸付金の期中平残は361億円と前年同期比113億円の減少となった。一方、株式市況の回復に伴い、現金担保付株券等貸借取引の利用は増加した結果、同業務の営業収益は、414百万円(同9.4%減)であった。
有価証券貸付業務では、一般貸株部門が増収を確保したことに加え、債券営業部門において貸付残高の増加等により大幅な増収となった結果、営業収益は2,242百万円(同14.5%増)となった。
その他は、保有国債の利息収入が減少した一方で、保有投資信託の分配金等の収入が増加したことなどから、1,794百万円(同2.4%増)となった。
(2) 信託銀行業
管理型信託サービスの強化により信託報酬は増加基調を継続したものの、保有国債等の売却益が減少したほか、貸付金利の低下に伴い貸付金利息が減収となったことなどから、営業収益は1,380百万円(同18.3%減)となった。
(3) 不動産賃貸業
営業収益は435百万円(同1.7%増)となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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