ユニリタ Research Memo(5):ソリューション提供力の強化や、新製品・サービスの開発では一定の成果
[17/12/12]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■上期進捗評価と下期施策
ユニリタ<3800>は、今期の活動方針として、(1)お客様基盤を拡大するための販売力の統合と強化、(2)アライアンスによるソリューション提供力の強化、(3)新たな価値を創造する製品・サービスの開発と提供、(4)グループシナジーの発揮、の4つに取り組んでいるが、その進捗評価と下期施策のポイントは以下のとおりである。
(1) お客様基盤を拡大するための販売力の統合と強化
既存の営業機能と技術部門のカスタマーサービス機能を統合したフロント組織の編成のほか、既存顧客の多様化するニーズに対応し、課題解決力を強化するための組織的営業活動の体制作りを推進してきた。また、ターゲットを絞ったソリューションの訴求を目的として、業種別のブランディングを実施。特に、大手外食チェーンとの協業モデルである「LIVE UNIVERSE」※を横展開するため、飲食店やホテル・旅館などの業界誌への広告掲載や、日本最大の外食業界向け展示会への出展など、これまでの同社グループの顧客とは違った顧客層へのアプローチも行っている。ただし、上期においては、顧客側の要因(スモールスタート等)もあり、まだ本格的な業績貢献には至っていない。下期においても、アカウントプランをベースとした上流からの提案活動の強化や業種別アプローチによる課題対応ノウハウの蓄積を図っていく方針である。
※2016年3月に、居酒屋チェーン「九州熱中屋」など約100店舗を展開する(株)ゴールデンマジック(DDホールディングス<3073 >の100%子会社)と共同企画した企業向けeラーニング・ナレッジシステムである。同社の提供するシステム基盤上に動画とSNS(双方向性)を組み合わせた効果的な人材育成ツール(ノウハウの伝承、スキルアップ、モチベーション向上など)となっている。
(2) アライアンスによるソリューション提供力の強化
課題解決型ソリューション提供力の強化のため、パートナー企業との協業モデル作りにも積極的に取り組んでいる。2017年5月に、クラウド型データセンター事業を展開するアイネット<9600>との資本業務提携を実施すると、アイネットのクラウドサービスプラットフォーム上で同社セキュリティソリューションの提供を開始した。また、情報技術開発(株)※1や東計電算<4746>※2とのパートナー提携も開始している。パートナー企業数は93社(前期末比5社増)に拡大し、協業モデル数も6件増やすことができた(モデル累計件数は35件)。下期についても、パートナー企業との協業モデルを推進するとともに、コンサルティングから運用、インフラまでカバーする協業ビジネスを展開する方針である。
※1 マイグレーション(システムの引っ越し)のノウハウと実績が豊富な情報技術開発と同社が協業することで、より短期間・高品質のマイグレーションソリューションを提供することが可能となる。
※2 東計電算が提供する食品系企業向け業務パッケージと同社ソフトウェアとの連携を図ることが目的である。
(3) 新たな価値を創造する製品・サービスの開発と提供
1,200社を超える導入実績をもとに、既存製品を顧客業務の視点からソリューション化(17ソリューション)して提供を開始した。ユーザー企業の共通課題に着目し、プロダクトの単体売りではなく、プロダクトの選定から運用定着化までをカバーするユーザーとの共創型ソリューションとなっている。前述した「LIVE UNIVERSE」も、まさにユーザーとの共創によるものであるが、2017年8月には、そのシステム基盤の部分を、コミュニケーション特化型PaaS「Smart Communication Platform※1としてリリース(国内ベンダー初)。また、2017年10月には、「LIVE UNIVERSE」に画像認識のAI機能を搭載し、新たなサービス提供※2も開始している。
※1 企業のデジタル変革の推進や、クラウドインテグレータがクラウドサービスを開発する場合に、同社の提供するシステム基盤やマイクロサービス(動画やSNSなど)から必要な機能だけを選択し、素早く展開できるプラットフォームとなっている。
※2 ゴールデンマジックの協力のもと、AIが人の目に代わり、料理の完成度を評価する仕組みとなっている。
(4) グループシナジーの発揮
IoT型移動体向けソリューション※1を提供する子会社ユニ・トランドについては、設立2年目にして全国35のバス会社と12自治体へ導入するなど順調に拡大している※2。また、「バス路線検索サービス」等が、その独創性や国際的な発展性、地域への貢献などから数々の賞を受賞※3。これまでになかった新しいサービスであるため、まずはスピード感をもって面を取る(先行者利益を獲得する)戦略を描いているようだ。
※1 IoT技術を活用したバス事業者向けソリューション。バス位置検索システム(路線検索、運用位置情報検索等)のほか、バス乗降者数をリアルタイムで計測できるシステムも開発。
※2 特に、北海道ではサービス導入開始から2/3のシェアを獲得するとともに、15のバス会社と3つの自治体へ導入。また、九州でも2県のバス会社と自治体へ導入している。
※3 具体的には「JISA Awards 2017特別賞」「ASOCIO Outstanding ICT Company Award」「地域ITS活動優秀事例賞」など。
以上から、上期の実績を総括すると、営業体制面では具体的な成果を実現するに至らなかったが、今後の成長に向けては、アライアンスによるソリューション提供力の強化や新たな製品・サービスの開発、グループシナジーの発揮などで一定の成果を残したと言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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ユニリタ<3800>は、今期の活動方針として、(1)お客様基盤を拡大するための販売力の統合と強化、(2)アライアンスによるソリューション提供力の強化、(3)新たな価値を創造する製品・サービスの開発と提供、(4)グループシナジーの発揮、の4つに取り組んでいるが、その進捗評価と下期施策のポイントは以下のとおりである。
(1) お客様基盤を拡大するための販売力の統合と強化
既存の営業機能と技術部門のカスタマーサービス機能を統合したフロント組織の編成のほか、既存顧客の多様化するニーズに対応し、課題解決力を強化するための組織的営業活動の体制作りを推進してきた。また、ターゲットを絞ったソリューションの訴求を目的として、業種別のブランディングを実施。特に、大手外食チェーンとの協業モデルである「LIVE UNIVERSE」※を横展開するため、飲食店やホテル・旅館などの業界誌への広告掲載や、日本最大の外食業界向け展示会への出展など、これまでの同社グループの顧客とは違った顧客層へのアプローチも行っている。ただし、上期においては、顧客側の要因(スモールスタート等)もあり、まだ本格的な業績貢献には至っていない。下期においても、アカウントプランをベースとした上流からの提案活動の強化や業種別アプローチによる課題対応ノウハウの蓄積を図っていく方針である。
※2016年3月に、居酒屋チェーン「九州熱中屋」など約100店舗を展開する(株)ゴールデンマジック(DDホールディングス<3073 >の100%子会社)と共同企画した企業向けeラーニング・ナレッジシステムである。同社の提供するシステム基盤上に動画とSNS(双方向性)を組み合わせた効果的な人材育成ツール(ノウハウの伝承、スキルアップ、モチベーション向上など)となっている。
(2) アライアンスによるソリューション提供力の強化
課題解決型ソリューション提供力の強化のため、パートナー企業との協業モデル作りにも積極的に取り組んでいる。2017年5月に、クラウド型データセンター事業を展開するアイネット<9600>との資本業務提携を実施すると、アイネットのクラウドサービスプラットフォーム上で同社セキュリティソリューションの提供を開始した。また、情報技術開発(株)※1や東計電算<4746>※2とのパートナー提携も開始している。パートナー企業数は93社(前期末比5社増)に拡大し、協業モデル数も6件増やすことができた(モデル累計件数は35件)。下期についても、パートナー企業との協業モデルを推進するとともに、コンサルティングから運用、インフラまでカバーする協業ビジネスを展開する方針である。
※1 マイグレーション(システムの引っ越し)のノウハウと実績が豊富な情報技術開発と同社が協業することで、より短期間・高品質のマイグレーションソリューションを提供することが可能となる。
※2 東計電算が提供する食品系企業向け業務パッケージと同社ソフトウェアとの連携を図ることが目的である。
(3) 新たな価値を創造する製品・サービスの開発と提供
1,200社を超える導入実績をもとに、既存製品を顧客業務の視点からソリューション化(17ソリューション)して提供を開始した。ユーザー企業の共通課題に着目し、プロダクトの単体売りではなく、プロダクトの選定から運用定着化までをカバーするユーザーとの共創型ソリューションとなっている。前述した「LIVE UNIVERSE」も、まさにユーザーとの共創によるものであるが、2017年8月には、そのシステム基盤の部分を、コミュニケーション特化型PaaS「Smart Communication Platform※1としてリリース(国内ベンダー初)。また、2017年10月には、「LIVE UNIVERSE」に画像認識のAI機能を搭載し、新たなサービス提供※2も開始している。
※1 企業のデジタル変革の推進や、クラウドインテグレータがクラウドサービスを開発する場合に、同社の提供するシステム基盤やマイクロサービス(動画やSNSなど)から必要な機能だけを選択し、素早く展開できるプラットフォームとなっている。
※2 ゴールデンマジックの協力のもと、AIが人の目に代わり、料理の完成度を評価する仕組みとなっている。
(4) グループシナジーの発揮
IoT型移動体向けソリューション※1を提供する子会社ユニ・トランドについては、設立2年目にして全国35のバス会社と12自治体へ導入するなど順調に拡大している※2。また、「バス路線検索サービス」等が、その独創性や国際的な発展性、地域への貢献などから数々の賞を受賞※3。これまでになかった新しいサービスであるため、まずはスピード感をもって面を取る(先行者利益を獲得する)戦略を描いているようだ。
※1 IoT技術を活用したバス事業者向けソリューション。バス位置検索システム(路線検索、運用位置情報検索等)のほか、バス乗降者数をリアルタイムで計測できるシステムも開発。
※2 特に、北海道ではサービス導入開始から2/3のシェアを獲得するとともに、15のバス会社と3つの自治体へ導入。また、九州でも2県のバス会社と自治体へ導入している。
※3 具体的には「JISA Awards 2017特別賞」「ASOCIO Outstanding ICT Company Award」「地域ITS活動優秀事例賞」など。
以上から、上期の実績を総括すると、営業体制面では具体的な成果を実現するに至らなかったが、今後の成長に向けては、アライアンスによるソリューション提供力の強化や新たな製品・サービスの開発、グループシナジーの発揮などで一定の成果を残したと言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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