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イノベーション Research Memo(4):2018年3月期第2四半期は先行投資を積極化し一時的に収益が落ち込む

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2018年3月期第2四半期累計業績の概要
イノベーション<3970>の2018年3月期第2四半期累計の業績は、売上高で前年同期比8.9%増の655百万円、営業損失で10百万円(前年同期は92百万円の利益)、経常損失で9百万円(同126百万円の利益)、四半期純損失で5百万円(同83百万円の利益)と増収減益決算となった。

売上高はオンラインメディア事業の成長により増収となったものの、利益面では「ITトレンド」の認知度向上を目的とした広告宣伝費38百万円や、研究開発機関となるSales Tech Lab.設立に伴う研究開発費8百万円を計上したことや採用募集費の増加(+7百万円)、人件費の増加等に加えて、第2四半期に「ITトレンド」のGoogle検索結果の表示順位を回復するために費用を投下したことが減益要因となった。人材採用については、エンジニア等の優秀な中途社員を早期に採用できたことで、若干人件費が想定を上回った。なお、「ITトレンド」のGoogle検索結果の表示順位については、SEO対策を施したことで10月以降は前年の順位まで回復傾向にある。なお、同社は第2四半期累計の会社計画を開示していないが、売上高、利益ともにやや想定を下回る進捗だったと見られる。利益面ではSEOの影響で広告費用を投下したことが下振れ要因となったようだ。

2. 事業セグメント別動向
(1) オンラインメディア事業
オンラインメディア事業の売上高は前年同期比13.3%増の511百万円、セグメント利益は同26.3%減の164百万円となり、売上高は過去最高を更新した。「ITトレンド」「BIZトレンド」の来訪者数(延べ人数)が同16.6%増の270.6万人と順調に拡大し、資料請求件数が増加したことが増収要因となった。なお、主力の「ITトレンド」内の第2四半期末時点での製品掲載数は期初段階から1割強増加するなど順調に拡大している。資料請求件数では、「働き方改革」に対する関心の高まりから、勤怠管理・就業管理分野の引き合いが好調だった。

利益面では、広告宣伝費で38百万円、SEOの影響で広告費用を投下したことが減益要因となっている。「ITトレンド」に関する広告宣伝は、第2四半期に交通広告や動画広告等を実施した。認知度向上に対する一定の効果は確認されたが(「ITトレンド」でキーワード検索する回数は増加)、費用対効果という点においては検討の余地があり、今下期については実施の予定はない。また、2019年3月期以降については、収益状況をみて継続するかどうか判断するとしている。

SEO対策についてはGoogle検索のアルゴリズムが6月末に変更されたことに伴い、検索結果の表示順位が落ち、来訪者数にも影響が出始めたことから、第2四半期に入って対策を実施した。四半期別の来訪者数で見ると、第1四半期の153万人に対して、第2四半期は116万人まで落ちている。8月の夏休み期間が含まれていることを考慮しても、検索表示順位低下の影響があったと見られる。SEO対策を実施した結果、9月から表示順位は回復し始め、10月以降はほぼ前年並みの順位にまで戻るなど直近では復調している。

(2) セールスクラウド事業
セールスクラウド事業の売上高は前年同期比4.3%減の143百万円、セグメント利益は同49.2%増の50百万円となった。Web制作や他社Webサービスなど「List Finder」以外のサービス販売が縮小したことで減収となったが、「List Finder」については2018年3月期第2四半期末のアカウント数で前年同期比34.0%増の693件と大きく伸長したことで増収となっている。また、当初の想定通りと見られる。利益面では販売構成比の変化や効率的な販売活動を行ったことにより増益となっている。

「List Finder」が伸びている要因は、2017年1月に業務提携した(株)アペルザ経由での販売が増加したことが主因だ。アペルザで運営する製造業向けカタログポータルサイト「Aperza catalog」に「List Finder」の一部機能を実装し、同ポータルサイトに出展する2,000社以上の企業が「List Finder」を利用できるようにした。一部機能を限定していることやアペルザ経由での販売となるため、アカウント単価については従来よりも低くなっている。このため、契約件数の伸びよりも売上高の増収率は低くなるが、マーケティング費用が掛からないため、利益率に大きな差はないと見られる。

従来、同事業のセグメント利益率は他社サービスの販売も含まれていたためオンラインメディア事業と比較して低かったが、2018年3月期第2四半期累計ではオンラインメディア事業の32.1%に対して35.1%と初めて上回っており、今後の収益けん引役になることが予想される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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