アドクリ Research Memo(3):Webプロモーション施策の強化が奏効し、2017年9月期は増収増益を達成
[17/12/20]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2017年9月期の業績概要
アドバンスクリエイト<8798>の2017年9月期の連結業績は、売上高が前期比11.5%増の8,137百万円、営業利益が同9.3%増の1,043百万円、経常利益が同10.6%増の1,024百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同27.3%増の742百万円と増収増益決算となり、期初会社計画比でも全ての項目において上回って着地した。
売上高については、2016年2月に日銀が導入したマイナス金利政策の影響で、学資保険や一時払い終身保険等の貯蓄性保険商品の販売が停止されたことや、代理店手数料率が相対的に低下するなど厳しい市場環境が続いたものの、SNS等も用いたWebマーケティング施策の強化により、保険代理店事業で前期比13.3%増収となったほか、再保険事業も同7.2%増と順調に拡大したことが増収要因となった。
利益面では、メディア事業が契約形態の変化により一時的に減益となったものの、保険代理店事業、再保険事業の増益によりカバーした。なお、売上原価率が前期の20.5%から24.2%に上昇し、金額ベースでも32.1%増と大きく増加したが、これはWebプロモーション費用を積極的に投下したことが主因となっている。また、売上高営業利益率が前期の13.1%から12.8%と0.3ポイント低下したが、収益性の高いメディア事業が減収減益となったことによるもので、各事業セグメントでの利益率はいずれも前期比で上昇している。なお、当期純利益については投資有価証券売却益59百万円を特別利益として計上したこともあり、6期ぶりの過去最高益更新となった。
2. 事業セグメント別動向
(1) 保険代理店事業
保険代理店事業の売上高は前期比13.3%増の7,280百万円、営業利益は同18.2%増の745百万円となり、売上高では4期ぶりの増収、営業利益は2期ぶりの増益に転じた。超低金利下において貯蓄性商品を中心に厳しい市場環境が続くなかで、2017年3月には標準利率の改定により売れ筋保険商品の販売が停止されたこともあり、第3四半期まで減益基調を余儀なくされたが、SNS等を活用した積極的なWebプロモーションを展開したことで、資料請求件数や直営店舗における商談件数が増加し、第4四半期には売上高で前年同期比30.1%増、営業利益で同109.8%増と急回復し、通期での増収増益につながった。
チャネル別の申込みANP(新契約年換算保険料)で見ると、通信販売が前期比3.1%減と減少傾向が続いたものの、対面販売が同31.6%増、協業店が同8.2%増といずれも増加し、合計でも同15.4%増と6期ぶりの増加に転じている。また、2017年9月末の保有契約件数は、前期比で3.7%増の500千件と引き続き増加傾向となっている。
対面販売が好調だった要因としては、利回りが相対的に高い外貨建て終身保険を積極的に販売したことが奏効した。商品内容説明等の従業員に対する教育を強化し、顧客への提案力が向上したことが販売増につながったと見られる。また、単品売りだけではなく損害保険等のほかの商品も含めた総合提案力の強化にも取り組んだことで、従業員1人当たりANPについても前期比15.1%増と大きく伸長し、収益性の向上要因となった。一方、協業店についてはここ数年取り組んできた協業先の絞り込みがほぼ一巡したことや、資料請求件数の増加に伴う協業店への送客数増加によって、3期ぶりの増加に転じている。なお、通信販売については2010年9月期をピークに減少傾向が続いているものの、効果的なWebプロモーションを実施したことによりネット生保については前期比8.7%増と4期ぶりの増加に転じている。
(2) メディア事業
メディア事業の売上高は前期比29.0%減の651百万円、営業利益は同26.6%減の163百万円と減収減益に転じた。これは契約形態がスポット契約からレギュラー契約へと変化した一時的な要因となっており、クライアントである保険会社からの広告出稿意欲は引き続き好調に推移している。また、「保険市場」での広告収入だけでなく、SEO対策などのコンサルティングやリスティング広告運用サービスなどの引き合いも増加している。
(3) 再保険事業
再保険事業の売上高は前期比7.2%増の683百万円、営業利益は同33.6%増の132百万円と順調に拡大した。引受保険会社数は11社と前期末比横ばいだったが、再保険の契約額が着実に増加していることが増収増益要因となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2017年9月期の業績概要
アドバンスクリエイト<8798>の2017年9月期の連結業績は、売上高が前期比11.5%増の8,137百万円、営業利益が同9.3%増の1,043百万円、経常利益が同10.6%増の1,024百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同27.3%増の742百万円と増収増益決算となり、期初会社計画比でも全ての項目において上回って着地した。
売上高については、2016年2月に日銀が導入したマイナス金利政策の影響で、学資保険や一時払い終身保険等の貯蓄性保険商品の販売が停止されたことや、代理店手数料率が相対的に低下するなど厳しい市場環境が続いたものの、SNS等も用いたWebマーケティング施策の強化により、保険代理店事業で前期比13.3%増収となったほか、再保険事業も同7.2%増と順調に拡大したことが増収要因となった。
利益面では、メディア事業が契約形態の変化により一時的に減益となったものの、保険代理店事業、再保険事業の増益によりカバーした。なお、売上原価率が前期の20.5%から24.2%に上昇し、金額ベースでも32.1%増と大きく増加したが、これはWebプロモーション費用を積極的に投下したことが主因となっている。また、売上高営業利益率が前期の13.1%から12.8%と0.3ポイント低下したが、収益性の高いメディア事業が減収減益となったことによるもので、各事業セグメントでの利益率はいずれも前期比で上昇している。なお、当期純利益については投資有価証券売却益59百万円を特別利益として計上したこともあり、6期ぶりの過去最高益更新となった。
2. 事業セグメント別動向
(1) 保険代理店事業
保険代理店事業の売上高は前期比13.3%増の7,280百万円、営業利益は同18.2%増の745百万円となり、売上高では4期ぶりの増収、営業利益は2期ぶりの増益に転じた。超低金利下において貯蓄性商品を中心に厳しい市場環境が続くなかで、2017年3月には標準利率の改定により売れ筋保険商品の販売が停止されたこともあり、第3四半期まで減益基調を余儀なくされたが、SNS等を活用した積極的なWebプロモーションを展開したことで、資料請求件数や直営店舗における商談件数が増加し、第4四半期には売上高で前年同期比30.1%増、営業利益で同109.8%増と急回復し、通期での増収増益につながった。
チャネル別の申込みANP(新契約年換算保険料)で見ると、通信販売が前期比3.1%減と減少傾向が続いたものの、対面販売が同31.6%増、協業店が同8.2%増といずれも増加し、合計でも同15.4%増と6期ぶりの増加に転じている。また、2017年9月末の保有契約件数は、前期比で3.7%増の500千件と引き続き増加傾向となっている。
対面販売が好調だった要因としては、利回りが相対的に高い外貨建て終身保険を積極的に販売したことが奏効した。商品内容説明等の従業員に対する教育を強化し、顧客への提案力が向上したことが販売増につながったと見られる。また、単品売りだけではなく損害保険等のほかの商品も含めた総合提案力の強化にも取り組んだことで、従業員1人当たりANPについても前期比15.1%増と大きく伸長し、収益性の向上要因となった。一方、協業店についてはここ数年取り組んできた協業先の絞り込みがほぼ一巡したことや、資料請求件数の増加に伴う協業店への送客数増加によって、3期ぶりの増加に転じている。なお、通信販売については2010年9月期をピークに減少傾向が続いているものの、効果的なWebプロモーションを実施したことによりネット生保については前期比8.7%増と4期ぶりの増加に転じている。
(2) メディア事業
メディア事業の売上高は前期比29.0%減の651百万円、営業利益は同26.6%減の163百万円と減収減益に転じた。これは契約形態がスポット契約からレギュラー契約へと変化した一時的な要因となっており、クライアントである保険会社からの広告出稿意欲は引き続き好調に推移している。また、「保険市場」での広告収入だけでなく、SEO対策などのコンサルティングやリスティング広告運用サービスなどの引き合いも増加している。
(3) 再保険事業
再保険事業の売上高は前期比7.2%増の683百万円、営業利益は同33.6%増の132百万円と順調に拡大した。引受保険会社数は11社と前期末比横ばいだったが、再保険の契約額が着実に増加していることが増収増益要因となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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