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ネットイヤー Research Memo(1):収益改善施策の実行により今下期以降、収益は回復トレンドに

注目トピックス 日本株
■要約

ネットイヤーグループ<3622>は、インターネット技術を活用したデジタルマーケティング支援事業を手掛ける。顧客は大企業が中心。子会社にソーシャルメディアに関する分析・コンサルティング分野で業界トップクラスの(株)トライバルメディアハウスを持つ。なお、業務用アプリを展開していたrakumo(株)については経営資源を本業に集中するため、2017年8月末に全株式を売却している。

1. 収益改善に向けた取り組みが奏効し、受注状況は改善傾向に
2018年3月期第2四半期累計の売上高は前年同期比13.3%増の2,637百万円、営業損失は194百万円(前年同期は315百万円の損失)となった。同社の業績は2015年3月期に計上した大型プロジェクト案件が一巡して以降、その落ち込みをカバーするため小規模な案件が増え、売上あたりの営業及びプロジェクト工数が増加したこと、業界全体の人材不足の影響で社内体制が不十分なプロジェクトが増え、プロジェクト採算性が悪化したことなどにより、2017年3月期まで収益悪化を続けてきた。当第2四半期ではこうした悪循環を断ち切る施策を実行し、下期以降の収益回復に向けた道筋を整備した期間と言える。具体的には、新たな不採算プロジェクトの発生防止策としてのQA部門の新設、働き方改革による生産性向上、社内教育の強化による従業員スキルの底上げがある。また、収益力回復のために低採算となっている継続案件について値上げ交渉も個別で進めている。8月末には子会社のrakumoの株式を売却し、獲得した資金で専門性の高い人材の確保・育成やマーケティング等に投資していく予定にしている。前期に発生した不採算プロジェクトに関しては、当第3四半期で売上計上できる見込みとなり、同プロジェクトの収拾に当たっていた優秀なエンジニアを他の新規案件に振り向けることで生産性の向上も見込めるようになる。

2. 2018年3月期は2期ぶりの黒字転化を目指す
2018年3月期の業績は、売上高で前期比1.6%増の6,000百万円、営業利益で45百万円と2期ぶりの黒字転化を見込む。期初会社計画(売上高6,200百万円、営業利益110百万円)から下方修正となるが、売上高についてはrakumoの売却による影響で、営業利益については下期に人材投資やマーケティング投資を強化するため、これら投資費用の増加が減額要因となる。今後も収益回復トレンド基調が継続するかどうかは、ここ数年苦労している優秀な人材の確保ができるかどうかにかかっていると言える。デジタルマーケティング支援事業では、高いコンサルティング能力と同時に、それを具現化するためのシステム開発能力も求められるためだ。

3. トライバルメディアハウスでは自社メディアサイト「Funmee!!」を育成中
子会社のトライバルメディアハウスでは、2016年12月に立ち上げた自社メディアサイト「Funmee!!(ファンミー!!)」の育成に注力している。「Funmee!!」は共通の関心事やライフスタイルを持った人々が集うメディアサイトとなっており、将来的にBtoC企業がファン層の囲い込みや市場リサーチ等に活用できるサイトに育成していく考えだ。2017年7月にはiOS版のアプリもリリースしている。現在は記事や写真投稿のほか、ネット販売などを試験的に行っている。当面はアクセスユーザー数を積み上げていくフェーズとなるため、収益への貢献は期待できないものの、利用者数が増加しメディア価値が高まれば、広告収入やマーケティング支援サービスとしてマネタイズしていく方針であり、今後の動向が注目される。

■Key Points
・インターネット技術を活用したデジタルマーケティング支援事業が主力
・受注契約単価の見直しや不採算プロジェクトの発生防止策導入により、今下期から収益は回復トレンドに
・最良のカスタマーエクスペリエンスを実現するマーケティングテクノロジー会社として成長を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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