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テクマト Research Memo(4):2018年3月期第2四半期累計は一時的要因で会社計画を下回るも主力事業は順調

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2018年3月期第2四半期累計業績の概要
テクマトリックス<3762>の2018年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比6.1%増の11,028百万円、営業利益が同6.5%減の556百万円、経常利益が同14.6%増の697百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同15.0%増の447百万円となった。

売上高は情報基盤事業、アプリケーション・サービス事業ともに増収となり、半期ベースで過去最高を連続で更新した。営業利益に関してはCRM及びインターネットサービス分野で不採算案件が発生したこと、及び連結子会社のクロス・ヘッドにおいて第1四半期に事業構造改革を実施した影響により減益となっている。ただ、いずれも一時的な要因であり、第3四半期以降の収益には影響ない。また、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益に関しては、営業外で投資事業組合運用益149百万円を計上したことにより増益となっている。

期初会社計画比は、売上高が若干未達となったもののほぼ計画線で推移、利益についてはすべての項目で未達となった。営業利益に関しては、CRM及びインターネットサービス分野での不採算案件の発生、及びクロス・ヘッドによる事業構造改革実施に伴う一時的な利益減が要因となっており、影響度は半々程度だったと見られる。これら要因を除けばセキュリティ関連ビジネスやクラウドサービス等の主力事業は順調に推移したと言える。

2. 事業セグメント別の動向
(1) 情報基盤事業
情報基盤事業の売上高は前年同期比4.1%増の7,360百万円、営業利益は同11.8%減の519百万円となった。売上高についてはクロス・ヘッドの事業構造改革による一時的な落ち込みがあったものの、負荷分散装置が大手インターネットサービス事業者向けを中心に堅調に推移したほか、Office 365との連携ソリューションなど新しい需要を開拓。ランサムウェア等の標的型攻撃に代表されるサイバー攻撃に対する防御力強化に向けたシステム投資の拡大を追い風にして、次世代ファイアウォールや各種セキュリティ関連製品及び監視サービスの需要が好調に推移した。また、官公庁向けには、ファイル無害化自動連携ツールの販売も拡大した。営業利益の減益はクロス・ヘッドの落ち込みによるもので、単体ベースでは半期ベースで過去最高益を更新している。

また、受注についてもクラスターストレージがメディア・エンタテイメント業界向けに大型案件の受注を獲得したほか、セキュリティ関連製品についても民間、官公庁向けの引き合いが依然旺盛で、受注高は前年同期比4.7%増の7,781百万円と順調に推移した。受注残高も同11.2%増の6,922百万円と第2四半期末としては過去最高水準となっており、第3四半期以降の収益に貢献することになる。

単体ベースで見たストック売上比率については39.6%と2017年3月期よりも1.7ポイント上昇した。ストック売上には保守サービスや運用・監視サービスが含まれるが、同社では40%程度が適正水準と見ている。2016年3月期以降、官公需向けを中心にセキュリティシステムの構築需要が伸びたこともあって37%台に低下していたが、適正水準まで戻ってきたことになる。2018年3月期第2四半期累計の単体売上高は前年同期比で7.0%増、うち、ストック売上は同6.8%増、非ストック売上は同7.1%増とバランスよく伸びている。

なお、クロス・ヘッドは2018年3月期第1四半期においてSES(システムエンジニアリングサービス:業務委託契約)事業において、低採算だった案件から技術者を一旦戻し、AWS(Amazon Web Service) 向け等の高度な技能が必要とされる高採算案件への戦略的シフトを実施した。技術者を戻したものの、タイムリーに高採算案件に技術者をアサインできなかったため、一時的に技術者の稼働率が低下し減益要因となったが、第2四半期以降は高採算案件に技術者を振り向け稼働率も回復しており、第3四半期以降は収益増に貢献してくるものと予想される。

(2) アプリケーション・サービス事業
アプリケーション・サービス事業の売上高は前年同期比10.2%増の3,668百万円、営業利益は同554.8%増の37百万円となった。売上高はインターネットサービス分野が不採算案件の影響もあって前年同期比減収と落ち込んだものの、医療及びソフトウェア品質保証分野が同2ケタ増と好調に推移したこと、CRM分野も堅調に推移したこと等により、半期ベースで過去最高を更新した。一方、利益についてもインターネットサービス及びCRM分野のマイナスの影響を、医療及びソフトウェア品質保証分野の増益でカバーする格好となった。医療及びソフトウェア品質保証分野の営業利益は、期初計画に対しても超過したようだ。

受注高については前年同期比10.0%減の3,657百万円となった。インターネットサービス及びCRM分野での不採算案件の収束にリソースを集中したことが影響したと見られる。ただ、クラウドサービスへのシフトが順調に進んでおり、第2四半期末の受注残高は前年同期比0.1%増の6,012百万円と若干ながら伸長した。

単体ベースのストック売上比率は、医療分野を中心にクラウドサービスが好調に推移したこともあり、2018年3月期第2四半期累計では54.1%と初めて50%を超える水準となった。同社では今後もストック売上比率を引き上げていくことで、収益性の向上と同時に安定性を高めていく戦略をとっている。なお、2018年3月期第2四半期累計における単体売上高は前年同期比7.8%増の3,316百万円、うちストック売上は同24.9%増の1,793百万円、非ストック売上は同7.1%減の1,523百万円となった。

分野別の動向を見ると、医療分野では、クラウドPACS「NOBORI」の契約施設数が2018年3月期第2四半期末時点で約720施設と前年同期の約510施設から大きく増加したことで2ケタ増収となった。損益面でも2017年3月期下期からの黒字基調が続いており、収益性の向上も進んでいる。通期計画では期末時点の契約施設数で850施設を目標としており、進捗率は若干低めとなっているが、足元のパイプラインの状況から、通期計画の達成を目指す方針に変わりない。一方、「医知悟」についても遠隔読影の需要が拡大しており増収増益に貢献した。顧客対象が従来の病院向けに加えて健診施設等にも広がっているほか、病理分野への展開も進んでいることが背景にある。契約施設数は2018年3月期第2四半期末で650施設超と前年同期の500施設超から3割増となったほか、登録利用専門医数も1,380人超(前年同期は1,000人超)に拡大し、従量課金の金額も順調に増加した。

CRM分野の売上高は大手システム・インテグレーターとの業務提携の効果やクラウド需要の拡大もあり堅調に推移した。損益的には大手通信事業者のコールセンター向け大型案件が不採算となったことで、減益要因となった。同案件では複数のシステムを同社製品に統合するプロジェクトであったが、想定以上に時間とコストがかかったようだ。ただ、既に納品・検収は終えており第3四半期以降への影響はない

インターネットサービス分野でも、スマートフォンアプリの大型開発案件に関して短納期での開発が求められたことなどからコストが想定以上にかかり不採算となった。ただ、当該案件については既に納品・検収を終えており、第3四半期以降への影響はない。また、金融機関向けシステム開発や連結子会社のカサレアルの売上については堅調に推移している。

ソフトウェア品質保証分野については、自動車業界向けを中心に引き合いが旺盛で、売上高は前年同期比2ケタ増収と好調に推移した。自動車業界では、ADAS(先進運転支援システム)の普及や自動運転技術、EVなどをテーマとした新規開発プロジェクトが旺盛で開発現場は繁忙状況が続いており、品質及び生産性の向上に寄与するテストツールの販売好調につながっているものと見られる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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