三井化学 Research Memo(11):3つの事業ドメインそれぞれで、成長戦略が着実に進捗中
[17/12/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■中長期成長戦略と進捗状況
3. ヘルスケア事業の成長戦略と進捗状況
(1) ヘルスケア事業の長期目標と成長戦略
ヘルスケア事業では2026年3月期の営業利益目標を450億円(ほかにヘルスケア領域の新事業・次世代事業からの利益)としている。ヘルスケア事業は3つの事業ドメインそれぞれの事業モデルが異なるが、需要が成長を続けていること、三井化学<4183>の技術的優位性を発揮できること、高シェアを握っていること、などの共通点がある。これら同社の特長・強みと、需要に応じた適切な能力増強及び新製品開発の実行によって、2026年3月期目標の達成を目指す方針だ。
(2) 進捗状況と当面の見通し
ビジョンケア材料はレンズ材料の低屈折(ボリュームゾーン)から高屈折(ハイエンド)まで幅広く展開するほか、コーティング材についても様々な用途のものをラインアップしている。今後はこうした要素技術を核として消費者に新たな価値を提供・提案し、成長を目指すことになる。生産能力に関しては、2016年3月期には主原料であるXDIの大型設備を稼働させており、当面は不安はないとみられる。
不織布は、流通在庫の調整が終了し、2018年3月期からは需給バランスが正常に戻っている。そうしたなか今下期は、第4四半期において、高機能不織布設備15,000トン/年の設備を名古屋工場で稼働させるほか、柔軟性と伸縮機能に優れた高機能不織布の6,000トン/年の設備も四日市工場で営業運転を開始する計画だ。この結果、同社グループの不織布生産能力は従来から約2割増の115,000トン/年の体制となる。また17年度に開発した「柔らかさ」と「強さ」を兼ね備えた肌に優しい高機能不織布「エアリファTM」は順調に採用が拡大しており、拡大が続くアジア市場、なかでも高品質プレミアムおむつ市場におけるシェアを着実に伸ばしていくと期待される。
歯科材料ではグループが一体となってそれぞれの技術や強みを持ち寄ってシナジー追求と市場開拓を目指す動きがいよいよ本格的にスタートした。対象市場は義歯等、歯科技工物の製作で、現状は歯科技工士が手で行っている作業を、デジタル3Dプリンタ技術等を応用した小型機で置き換えるという事業だ。事業モデルとしてはオフィスにおけるMFP(多機能プリンタ)と同じで、消耗品で稼ぐ“リカーリング・モデル”と言える。同社は傘下に、子会社サンメディカル(株)、2013年に子会社化したDENTCA及びKulzerの歯科材料関連3社を抱えており、それぞれの強みを持ち寄って装置・材料の開発や顧客開拓を進めてきている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
<MH>
3. ヘルスケア事業の成長戦略と進捗状況
(1) ヘルスケア事業の長期目標と成長戦略
ヘルスケア事業では2026年3月期の営業利益目標を450億円(ほかにヘルスケア領域の新事業・次世代事業からの利益)としている。ヘルスケア事業は3つの事業ドメインそれぞれの事業モデルが異なるが、需要が成長を続けていること、三井化学<4183>の技術的優位性を発揮できること、高シェアを握っていること、などの共通点がある。これら同社の特長・強みと、需要に応じた適切な能力増強及び新製品開発の実行によって、2026年3月期目標の達成を目指す方針だ。
(2) 進捗状況と当面の見通し
ビジョンケア材料はレンズ材料の低屈折(ボリュームゾーン)から高屈折(ハイエンド)まで幅広く展開するほか、コーティング材についても様々な用途のものをラインアップしている。今後はこうした要素技術を核として消費者に新たな価値を提供・提案し、成長を目指すことになる。生産能力に関しては、2016年3月期には主原料であるXDIの大型設備を稼働させており、当面は不安はないとみられる。
不織布は、流通在庫の調整が終了し、2018年3月期からは需給バランスが正常に戻っている。そうしたなか今下期は、第4四半期において、高機能不織布設備15,000トン/年の設備を名古屋工場で稼働させるほか、柔軟性と伸縮機能に優れた高機能不織布の6,000トン/年の設備も四日市工場で営業運転を開始する計画だ。この結果、同社グループの不織布生産能力は従来から約2割増の115,000トン/年の体制となる。また17年度に開発した「柔らかさ」と「強さ」を兼ね備えた肌に優しい高機能不織布「エアリファTM」は順調に採用が拡大しており、拡大が続くアジア市場、なかでも高品質プレミアムおむつ市場におけるシェアを着実に伸ばしていくと期待される。
歯科材料ではグループが一体となってそれぞれの技術や強みを持ち寄ってシナジー追求と市場開拓を目指す動きがいよいよ本格的にスタートした。対象市場は義歯等、歯科技工物の製作で、現状は歯科技工士が手で行っている作業を、デジタル3Dプリンタ技術等を応用した小型機で置き換えるという事業だ。事業モデルとしてはオフィスにおけるMFP(多機能プリンタ)と同じで、消耗品で稼ぐ“リカーリング・モデル”と言える。同社は傘下に、子会社サンメディカル(株)、2013年に子会社化したDENTCA及びKulzerの歯科材料関連3社を抱えており、それぞれの強みを持ち寄って装置・材料の開発や顧客開拓を進めてきている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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