三井化学 Research Memo(12):イクロステープTMの増産を決定。新製品開発が順調に進捗
[17/12/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■中長期成長戦略と進捗状況
4. フード&パッケージング事業の成長戦略と進捗状況
(1) フード&パッケージング事業の長期目標と成長戦略
フード&パッケージング事業では2026年3月期の営業利益目標を400億円(ほかにフード&パッケージング領域の新事業・次世代事業からの利益)としている。フード&パッケージング事業のうちコーティング・機能材や機能性フィルム・シートは、三井化学<4183>が強みを持つイソシアネート・チェーンから生み出されるコーティング材や接着剤の製品・技術と、同様に強みを持つ高機能ポリオレフィン樹脂及びそのフィルム化技術から成り立つ。
コーティング・機能材は原材料として販売されるため非常に幅広い。マーケットインと呼ばれる顧客の製品開発段階から入り込む形で市場を開拓し、安定成長を目指す方針だ。
機能性フィルム・シートは包装用と産業用の2つに大別できる。包装用では、生活水準向上や食品加工業の発展に伴い、アジアでの需要拡大が見込まれている。同社は生産・マーケティング・サポートの各拠点を中国、インド、タイ、シンガポール等アジア各地に設けて成長機会の着実な取り込みに努めている。
農薬は次世代の収益成長を担うと期待される新規5原体をパイプラインとして保有していたが、そのうち最初の殺菌剤がトルプロカルブ®として2016年に上市された。今後は残る4原体の上市を通じて成長を目指すことになる。
(2) 進捗状況と当面の見通し
コーティング・機能材の領域では2017年11月に水系ヒートシール材であるケミパール®XSPの開発に成功した。これは医薬品のブリスター包装用(透明なプラスチックを商品の形状に合わせて膨らませ、そこに錠剤やカプセル剤を入れて裏側をアルミ箔などで覆った包装形態)への使用が見込まれる素材だ。
機能性フィルム・シートでは、半導体製造工程で使用されるイクロステープTMの能力増強を決定した。現状は名古屋工場に2ラインを有するが、新設工場は需要家立地の観点から台湾の高雄決定された。380万平方メートル/年(ただし銘柄構成で能力は変動する)の能力を有する1ラインが2019年9月に稼働する予定だ。台湾新工場が稼働すれば供給能力は現行の1.5倍となり、年6%以上のペースで拡大を続ける需要に対して十分対応できることになる。今期の進捗としては2017年11月に台湾工場のための新会社を設立した。
農薬事業の新規4原体の開発は、当初の開発スケジュールに対して若干遅れ気味であるようだ。しかしながら、海外展開の準備は着々と進んでおり、2017年8月には子会社の三井化学アグロ(株)がインドネシアのPT Agriculture Construction(Agricon)の株式を30%取得した。Agriconとは2009年の殺菌剤フルスルファミドの上市以来、販売面で良い関係が築けており、今後の展開を見据えて一段踏み込んだ形だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
<MH>
4. フード&パッケージング事業の成長戦略と進捗状況
(1) フード&パッケージング事業の長期目標と成長戦略
フード&パッケージング事業では2026年3月期の営業利益目標を400億円(ほかにフード&パッケージング領域の新事業・次世代事業からの利益)としている。フード&パッケージング事業のうちコーティング・機能材や機能性フィルム・シートは、三井化学<4183>が強みを持つイソシアネート・チェーンから生み出されるコーティング材や接着剤の製品・技術と、同様に強みを持つ高機能ポリオレフィン樹脂及びそのフィルム化技術から成り立つ。
コーティング・機能材は原材料として販売されるため非常に幅広い。マーケットインと呼ばれる顧客の製品開発段階から入り込む形で市場を開拓し、安定成長を目指す方針だ。
機能性フィルム・シートは包装用と産業用の2つに大別できる。包装用では、生活水準向上や食品加工業の発展に伴い、アジアでの需要拡大が見込まれている。同社は生産・マーケティング・サポートの各拠点を中国、インド、タイ、シンガポール等アジア各地に設けて成長機会の着実な取り込みに努めている。
農薬は次世代の収益成長を担うと期待される新規5原体をパイプラインとして保有していたが、そのうち最初の殺菌剤がトルプロカルブ®として2016年に上市された。今後は残る4原体の上市を通じて成長を目指すことになる。
(2) 進捗状況と当面の見通し
コーティング・機能材の領域では2017年11月に水系ヒートシール材であるケミパール®XSPの開発に成功した。これは医薬品のブリスター包装用(透明なプラスチックを商品の形状に合わせて膨らませ、そこに錠剤やカプセル剤を入れて裏側をアルミ箔などで覆った包装形態)への使用が見込まれる素材だ。
機能性フィルム・シートでは、半導体製造工程で使用されるイクロステープTMの能力増強を決定した。現状は名古屋工場に2ラインを有するが、新設工場は需要家立地の観点から台湾の高雄決定された。380万平方メートル/年(ただし銘柄構成で能力は変動する)の能力を有する1ラインが2019年9月に稼働する予定だ。台湾新工場が稼働すれば供給能力は現行の1.5倍となり、年6%以上のペースで拡大を続ける需要に対して十分対応できることになる。今期の進捗としては2017年11月に台湾工場のための新会社を設立した。
農薬事業の新規4原体の開発は、当初の開発スケジュールに対して若干遅れ気味であるようだ。しかしながら、海外展開の準備は着々と進んでおり、2017年8月には子会社の三井化学アグロ(株)がインドネシアのPT Agriculture Construction(Agricon)の株式を30%取得した。Agriconとは2009年の殺菌剤フルスルファミドの上市以来、販売面で良い関係が築けており、今後の展開を見据えて一段踏み込んだ形だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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