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三井化学 Research Memo(14):敗血症の起炎菌を数時間で同定する細菌迅速検査システムの製品化に取り組む

注目トピックス 日本株
■中長期成長戦略と進捗状況

6. 次世代事業の進捗
三井化学<4183>は、従来からのターゲット3領域の周辺事業や外縁事業に対して、サポートを提供し事業開発を加速させるために「次世代事業」という新たな事業ドメインを創り、事業化に取り組んでいる。エネルギーソリューションやメディカルソリューション等4つのテーマが挙げられているが、これに限定されるものではなく、今後も新たなシーズが生まれてくると期待される。

計数目標としては、長期経営計画最終年度の2026年3月期において、営業利益250億円を目標としている(次世代事業と、ターゲット3領域における新事業からの営業利益の合計)。

今回のレポートでは敗血症を取り上げる。

同社は富山大学と共同で、敗血症に関する新しい検査システムの製品化に取り組んでいる。敗血症は細菌の感染を基盤として発症する急性の臓器障害だ。敗血症は治療開始が遅れると救命率が低下するため、敗血症の疑いがある場合には速やかな対処が必要となる。しかし現状では、原因菌の同定に2〜3日ほど時間がかかっており、その間は経験に頼った治療や薬剤投与が行われている。

富山大学が開発したTm mapping法は、この点を解決し、同定時間が5時間程度と非常に短い点に優れた特長がある。同社はこのTm mapping法の製品化に向けて富山大学と共同で開発に取り組んでいる。

この共同研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構の「産学連携医療イノベーション創出プログラム」イノベーションセットアップスキームの研究開発課題の1つに採択されている。(2016年10月3日付)。共同研究における同社の当面の役割は、検査キットを研究用試薬として提供することだが、これまでに検査キット及び同定のための情報システムの整備を完了し、研究試薬として検査キットの販売を開始している状況だ。

同社が取り組むのは治療薬という医薬品ではなくあくまで検査システムだ。それゆえ医薬品開発のような巨額の研究開発費や、開発途中でのドロップ(断念)リスクも小さいといえる。既に研究試薬としての販売がスタートしていることもあり、今後、研究開発の加速と早期の製品化が期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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