Iスペース Research Memo(3):17/9期はアフィリエイトサービスの好調により、2期連続で過去最高業績更新
[17/12/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2017年9月期の業績概要
インタースペース<2122>の2017年9月期の連結業績は、売上高が前期比19.2%増の27,754百万円、営業利益が同19.2%増の1,073百万円、経常利益が同43.3%増の1,291百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同48.4%増の804百万円といずれも期初会社計画を上回る好決算となり、2期連続で過去最高業績を更新した。
売上高では、メディア事業が一部売上計上基準の変更により減収となったものの、主力のインターネット広告事業が前期比20.0%増収と計画(同9.8%増)を上回って推移したことが好調要因となった。費用面を見ると、売上原価率は販売構成比の変化等により前期比0.8ポイント上昇した。販管費では、人員体制の強化に伴い人件費が前期比165百万円増加したほか、アフィリエイトサービス関連を中心に広告宣伝費も同164百万円増加したが、増収効果によって販管費率は同0.7ポイント低下した。この結果、営業利益率は前期並みの3.9%となった。
また、営業外で投資事業組合運用益191百万円を計上し、経常利益は前期比43.3%増の1,291百万円と大幅増益となった。同社は東南アジアへの事業展開におけるマーケティングと投資を目的として、東南アジアのインターネット関連企業を投資対象とした投資ファンドでの投資運用を行っており、今回は同ファンドにおいてに投資先企業を売却したことによる運用益が発生し、その分配金を計上した格好だ。
2. 事業セグメント別動向
(1) インターネット広告事業
インターネット広告事業の売上高は前期比20.0%増の27,089百万円、営業利益は同16.5%増の962百万円と好調に推移した。売上高の内訳を見ると、アフィリエイト広告が前期比25.8%増の22,190百万円、SFAが同1.8%減の3,792百万円、その他(リスティング広告、アドネットワーク広告、その他)が同4.1%増の1,109百万円となり、SFAを除いて好調に推移した。
アフィリエイト広告のカテゴリー別売上高の前期比増減率を見ると、eコマースが38.2%増、サービスが39.3%増、金融が11.4%増と主力3カテゴリーがそろって2ケタ増収と好調に推移した。eコマースでは健康食品、サービスでは人材派遣、エステ関連が大幅に増加し、金融ではFX関連が好調に推移した。
また、SFAについては携帯電話の販売台数低迷が伸び悩む要因となったが、セキュリティ商品等の新規商材が伸び始めたことや、ネイルサロンや不動産販売店等の販路開拓にも取り組んだことで、下半期だけで見ると前年同期比で13%増と増収に転じている。
その他、新サービスとして育成中のネイティブ広告は配信プラットフォームである「X-lift」の導入メディア数が500件まで拡大し、売上高で2.5億円と増収が続いているが当初の想定よりは伸び悩んだと見られる。まだ、ドライバーとなるメディア数が少ないことが要因で、現在はエンターテイメント系や金融系等にターゲットを絞りながら有力メディアの開拓を進めている段階にある。
海外事業についてはインドネシア、タイの連結子会社、及びベトナムの合併会社にてアフィリエイトサービスを展開し、また、シンガポールにてアドネットワーク配信サービスを行っている。アフィリエイトサービスについては各国とも前期比で約2倍の増収率となっており、インドネシアとタイを合わせた売上高は約1億円となっている。損益的にはベトナムが単月ベースで黒字化しており、通期では収支均衡ラインとなり、インドネシアに関してはまだ数千万円の損失となったものの、損失額は縮小しており全体への影響は軽微であると推察できる。
広告プログラム数(2017年9月期第4四半期)で見ると、3ヶ国合計で約200プログラムと前年同期の約170プログラムから順調に増加した。ベトナムではeコマースやサービス(旅行等)、インドネシアではeコマース、タイでは金融、eコマース関係を中心に着実に増加している。また、パートナーサイト数については3ヶ国合計で6万件強と前年同期比の3.5万件から大きく増加した。各国とも増加したが、なかでもベトナムが約2万件から4万件強と急増している。ベトナムの合弁相手先企業がアフィリエイトサービス事業を合弁会社にシフトしていることも増加の一因となっているようだ。また、同社では2017年9月からインドネシアとタイで、LINEポイント内のアフィリエイト広告の取り扱いを開始しており、今後の拡大が期待される。
(2) メディア運営事業
メディア運営事業の売上高は前期比8.3%減の664百万円、営業利益は同49.5%増の111百万円となった。売上高の内訳を見ると、Webメディア(広告収益)については「ママスタジアム」のUU数が2017年9月期第4四半期で830万を突破するなど、媒体価値の向上に伴い前期比26.6%増の376百万円と好調に推移した。また、コンテンツ運営についてもスマートフォン用カジュアルアプリを24本リリースし、期の後半には海外からの売上げも増加し始めたことで、同3.7%増の278百万円と堅調に推移した。なお、同事業全体で減収となったが、これはその他の一部商材について売上計上基準を変更(グロス表示からネット表示に変更)したことが要因で、実質ベースでは増収となっている。
新規の自社メディアでは、恋愛系情報サイト「KOIMEMO(コイメモ)」のUU数が250万を突破し、順調に伸びているが、ペット愛好者向けキュレーションメディアの「mofmo(モフモ)」については30万と伸び悩んでいるようだ。広告収入はいずれも軽微で、損益分岐点を超えるにはUU数を更に拡大していく必要がありそうだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2017年9月期の業績概要
インタースペース<2122>の2017年9月期の連結業績は、売上高が前期比19.2%増の27,754百万円、営業利益が同19.2%増の1,073百万円、経常利益が同43.3%増の1,291百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同48.4%増の804百万円といずれも期初会社計画を上回る好決算となり、2期連続で過去最高業績を更新した。
売上高では、メディア事業が一部売上計上基準の変更により減収となったものの、主力のインターネット広告事業が前期比20.0%増収と計画(同9.8%増)を上回って推移したことが好調要因となった。費用面を見ると、売上原価率は販売構成比の変化等により前期比0.8ポイント上昇した。販管費では、人員体制の強化に伴い人件費が前期比165百万円増加したほか、アフィリエイトサービス関連を中心に広告宣伝費も同164百万円増加したが、増収効果によって販管費率は同0.7ポイント低下した。この結果、営業利益率は前期並みの3.9%となった。
また、営業外で投資事業組合運用益191百万円を計上し、経常利益は前期比43.3%増の1,291百万円と大幅増益となった。同社は東南アジアへの事業展開におけるマーケティングと投資を目的として、東南アジアのインターネット関連企業を投資対象とした投資ファンドでの投資運用を行っており、今回は同ファンドにおいてに投資先企業を売却したことによる運用益が発生し、その分配金を計上した格好だ。
2. 事業セグメント別動向
(1) インターネット広告事業
インターネット広告事業の売上高は前期比20.0%増の27,089百万円、営業利益は同16.5%増の962百万円と好調に推移した。売上高の内訳を見ると、アフィリエイト広告が前期比25.8%増の22,190百万円、SFAが同1.8%減の3,792百万円、その他(リスティング広告、アドネットワーク広告、その他)が同4.1%増の1,109百万円となり、SFAを除いて好調に推移した。
アフィリエイト広告のカテゴリー別売上高の前期比増減率を見ると、eコマースが38.2%増、サービスが39.3%増、金融が11.4%増と主力3カテゴリーがそろって2ケタ増収と好調に推移した。eコマースでは健康食品、サービスでは人材派遣、エステ関連が大幅に増加し、金融ではFX関連が好調に推移した。
また、SFAについては携帯電話の販売台数低迷が伸び悩む要因となったが、セキュリティ商品等の新規商材が伸び始めたことや、ネイルサロンや不動産販売店等の販路開拓にも取り組んだことで、下半期だけで見ると前年同期比で13%増と増収に転じている。
その他、新サービスとして育成中のネイティブ広告は配信プラットフォームである「X-lift」の導入メディア数が500件まで拡大し、売上高で2.5億円と増収が続いているが当初の想定よりは伸び悩んだと見られる。まだ、ドライバーとなるメディア数が少ないことが要因で、現在はエンターテイメント系や金融系等にターゲットを絞りながら有力メディアの開拓を進めている段階にある。
海外事業についてはインドネシア、タイの連結子会社、及びベトナムの合併会社にてアフィリエイトサービスを展開し、また、シンガポールにてアドネットワーク配信サービスを行っている。アフィリエイトサービスについては各国とも前期比で約2倍の増収率となっており、インドネシアとタイを合わせた売上高は約1億円となっている。損益的にはベトナムが単月ベースで黒字化しており、通期では収支均衡ラインとなり、インドネシアに関してはまだ数千万円の損失となったものの、損失額は縮小しており全体への影響は軽微であると推察できる。
広告プログラム数(2017年9月期第4四半期)で見ると、3ヶ国合計で約200プログラムと前年同期の約170プログラムから順調に増加した。ベトナムではeコマースやサービス(旅行等)、インドネシアではeコマース、タイでは金融、eコマース関係を中心に着実に増加している。また、パートナーサイト数については3ヶ国合計で6万件強と前年同期比の3.5万件から大きく増加した。各国とも増加したが、なかでもベトナムが約2万件から4万件強と急増している。ベトナムの合弁相手先企業がアフィリエイトサービス事業を合弁会社にシフトしていることも増加の一因となっているようだ。また、同社では2017年9月からインドネシアとタイで、LINEポイント内のアフィリエイト広告の取り扱いを開始しており、今後の拡大が期待される。
(2) メディア運営事業
メディア運営事業の売上高は前期比8.3%減の664百万円、営業利益は同49.5%増の111百万円となった。売上高の内訳を見ると、Webメディア(広告収益)については「ママスタジアム」のUU数が2017年9月期第4四半期で830万を突破するなど、媒体価値の向上に伴い前期比26.6%増の376百万円と好調に推移した。また、コンテンツ運営についてもスマートフォン用カジュアルアプリを24本リリースし、期の後半には海外からの売上げも増加し始めたことで、同3.7%増の278百万円と堅調に推移した。なお、同事業全体で減収となったが、これはその他の一部商材について売上計上基準を変更(グロス表示からネット表示に変更)したことが要因で、実質ベースでは増収となっている。
新規の自社メディアでは、恋愛系情報サイト「KOIMEMO(コイメモ)」のUU数が250万を突破し、順調に伸びているが、ペット愛好者向けキュレーションメディアの「mofmo(モフモ)」については30万と伸び悩んでいるようだ。広告収入はいずれも軽微で、損益分岐点を超えるにはUU数を更に拡大していく必要がありそうだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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