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Iスペース Research Memo(5):既存事業の拡大と同時に、新規事業の育成も進める

注目トピックス 日本株
■インタースペース<2122>の今後の見通し

2. 事業セグメント別見通し
(1) インターネット広告事業
インターネット広告事業の売上高は前期比10%増の297億円程度を見込んでいる。内訳は、アフィリエイト広告が同10%増の242億円、SFAが同4%増の40億円、その他が同18%増の15億円となる。

アフィリエイト広告については、人材派遣の活況が続く見通しだが、eコマース関連や金融関連の伸びを保守的に見ている。eコマース関連では2017年9月期に健康食品関連が大きく伸びたが、商品の販売需要などの季節変動などのリスクを織り込んでいる。金融関連では銀行カードローンの出稿が抑制気味になってきたことや、消費者ローンについても関連企業が自社アフィリエイトを始めたこと等が影響すると見ている。ただ、FXが好調なほか今後はビットコイン関連の商材が増えてくる可能もある。今後も需要の増加が見込まれる商材をいち早く発掘して、アフィリエイト広告プログラムに取り入れることで、売上拡大を続けていく方針だ。

一方、SFAについては携帯電話向けセキュリティ商品が引き続き伸びるほか、新規商材の開発も進めていくことで増収を見込んでいる。その他、海外事業についてはインドネシアとタイを合わせた売上高で前期比1.5倍増の2億円程度となる見通しだ。営業利益ではタイでわずかながらも黒字化し、インドネシアも損失額が縮小する計画で、合わせて数千万円程度の増益要因となる。また、ネイティブ広告についてはエンターテイメント系や金融系の有力メディアの開拓に注力し、売上高で前期比2.4倍増の6億円を目指し、損失額も縮小する計画となっている。ネイティブ広告事業についてはまだ、先行投資期間で単価を低く設定しているため、粗利益率の水準もアフィリエイト広告と比較すると低い水準となっており、黒字化の時期は2019年9月期以降となりそうだ。

また、トピックスとしては2017年9月に世界大手のアフィリエイトプラットフォーム企業である米CJと戦略的業務提携を開始したことが挙げられる。CJはアフィリエイトサービスの米国最大手で、売上規模は同社の10倍程度の規模と見られる。今回の提携によりCJが抱えるグローバルクライアントの中で、日本で販売を拡大したい商品について、同社が抱える提携パートナーを通してアフィリエイト広告を流していくというものだ。提携パートナーの中には、海外商品を販売しているメディアもあり、こうしたメディアを通して健康器具やアパレル、オンライン旅行予約等のアフィリエイト広告を行うことになる。将来的には同社が展開する東南アジア市場においても、CJのクライアントの商品を取り扱っていくほか、逆に同社のクライアントの商品をCJのネットワークを通して欧米で販売していくことも視野に入れている。今回の提携による売上げへのインパクトについては月間で数百万円程度となる可能性がある。取扱いプログラムの増加により売上高も増えていくものと予想され、今後の動向が注目される。

なお、アップルの「iOS11」が搭載するCookieブロック機能によるアフィリエイト広告への影響が懸念されているが、同社はその影響は軽微にとどまると見ている。国内でのスマートフォンにおけるアップルのシェアは約4割で、このうち「iOS11」の普及率はまだ25〜30%と低く、現時点で全体の最大1割程度の影響が出る可能性があるものの、同社は同問題に対応したトラッキングツールを2017年10月末にリリースし、現在は各メディアに導入を進めている段階で、当第2四半期までにはすべて対応が完了し、こうした影響がなくなると見ているためだ。

(2) メディア運営事業
メディア運営事業の売上高は前期比5%増の約7億円を見込んでいる。「ママスタジアム」による広告収入の増加やゲームコンテンツの売上増を見込んでいる。

メディア業界ではキュレーションメディアにおけるフェイクニュースの問題が話題となったが、同社ではコンテンツをすべて自社で制作していることから信頼性の向上につながり、逆に媒体価値が上がりUU数の増加につながっていると考えられる。2018年9月期の売上計画は前期比横ばいと保守的に見ているが、UU数の増加基調が続くなかで広告収入も増加するものと予想される。

また、同社では新規メディアの開発、もしくはM&Aも海外向けも含めて検討している。広告収入だけでなくサブスクリプションモデルにより月額収入を獲得することでマネタイズしていく戦略となる。ターゲットとしては「ママスタジアム」が子育てする母親をターゲットとしていることもあり、親和性の高い教育分野での展開を検討している。

一方、ゲームコンテンツについては2018年9月期も10本強のタイトルをリリースする計画となっている。他社開発品で古くなったものを安価に買い取り、スマホアプリとして再生して配信していくローリスクローリタンのビジネスモデルで既に黒字化も定着している。最近では欧州でのアプリダウンロード比率が全体の3割にまで上昇するなど海外向けの需要が伸びていることから、2018年9月期も堅調な推移が見込まれる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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