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APAMAN Research Memo(8):既存事業については収益力の強化に注力し、新規事業開発を積極的に進めていく

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

3. 主要事業の取り組みについて
(1) 斡旋事業
斡旋事業に関しては引き続き店舗当たりの収益力回復を最優先に取り組んでいく方針で、店舗数拡大については次のステップとして考えている。前述したように斡旋事業の利益は2017年9月期第3四半期以降、前年同期比で増益に転じているものの、まだ2年前の水準と比較すると低く、回復途上にあるためだ。APAMAN<8889>では収益力回復のための施策として、付帯商品・サービスの拡充を進めていくほか、店舗への集客力向上施策として、お部屋探しサイト「apamanshop.com」の利便性向上やSNSを使った物件検索サービス、IT接客サービス、外国人向け通訳サービスといった各種施策に取り組んでおり、その効果も徐々に出始めている。

付帯商品・サービスでは、24時間駆付けサービスで2年一括払い契約から月額サービスへの切り替えが進んでおり、収益増に貢献し始めているほか、新たに電力サービス「APAMANでんき」の取り扱いも2017年11月より開始している。また、集客力向上施策として2017年11月より「apamanshop.com」に施設名検索機能を追加した。学校や病院、ショッピングセンター等の生活関連施設を約41万件データベース化し、これら施設を起点とした物件検索を可能とした。

外国人向け通訳サービスは、インターネットテレビ電話を介した通訳サービス(9言語対応)で、多言語コールセンターを運営する(株)インバウンドテックのサービスを導入した。2017年11月より全店舗でサービスを開始しており、口コミ効果もあって店舗によっては外国人客も増加していると言う。

また、顧客満足度向上施策として、同年11月よりお部屋探しサイト、2017年12月よりアパマンショップのポータルサイト上で店舗ごとの口コミ評価を閲覧できる機能を導入した。利用者が店舗での接客対応などの評価を書き込むため、悪い評価が付けば集客力に影響することになる。同社では同機能を導入することで、店舗における接客サービス品質の向上が進むと期待している。

その他、新サービスとしてシェアリングキーの導入に向けた実証実験を現在進めている。ベンチャー企業である(株)tsumuguが開発したスマートロックシステム「TiNK」を導入する。キーユニットに3G/LTE、ブルートゥースモジュール等の無線通信モジュールを内蔵し、スマートフォン等のアプリを使って施・解錠する。最大5名までのキーシェアリングや、一時的にキーを発行し解錠ができるワンタイムキー発行機能も備えている。これらの機能を使うことによって、入居者は誰が入退室したかアプリを通じて遠隔で確認できるほか、民泊用物件での利用も可能となる。同社では、シェアリングキーにすることによって、内見業務の効率化が図れるほか、付加価値サービスの提供によって賃貸物件の価値向上にもつながると見ている。

また、物件情報をロボットが自動で取得し、基幹システムへ送信するシステムや人気の物件をAI技術で自動判別してポータルサイト上に反映させていくRPA(Robotic Process Automation)システムの開発も現在進めている。

(2) PM事業
PM事業では引き続き賃貸管理戸数の積み上げを進めていくほか、入居率の向上や各種サービスの内製化に伴う減価低減施策に取り組んでいく。管理戸数については2017年9月期に2%程度の伸びとなったが、2018年9月期もほぼ同じベースで増やしていく考えだ。営業戦略として、従来は営業スタッフの増員により管理戸数を増やしていく戦略であったが、前期途中からは地方銀行などからの紹介ルートを強化していくことで効果的に管理戸数を伸ばしていく戦略に方針転換している。このため、PM事業の営業人員も2016年9月末の26名から2017年9月末は17名まで減少している。

売上高に関しては保険/24時間駆付けサービスや家賃保証サービス等の付帯サービスの拡販や関連業務サービスの拡充を進めることで伸ばしていく戦略だ。各種サービスの拡販と原価低減により1戸当たりの収益拡大を進めていく。また、原価低減施策の一環として2017年7月に電子上での契約手続きを可能とする電子署名サービス「Docusign(ドキュサイン)」の導入を開始している。同社の賃貸管理業務総合支援システム(APS)と「Docusign」を連携し、APS上で作成した業務関連の書類等を不動産オーナーにインターネットを介して送信し、ネット上で署名をもらうシステムとなる。従来は、FAXでの送受信が主流であったが、電子化することでペーパレス化が可能となりコスト削減が進むほか、生産性向上も期待できる。賃貸契約の署名はまだ法律上できないが、日々の管理業務に関する手続きは同サービスを利用していくことになる。将来的に、賃貸契約書の電子署名も可能となればさらにコスト低減が期待できることになる。同社では今後、FC店舗へも「Docusign」のサービスを提供していく考えだ。

(3) コワーキング事業
コワーキング事業ではスタートアップ企業の増加によるレンタルオフィス需要の拡大を受け、積極的に拠点展開を進めていく計画となっている。拠点数は前期末の10拠点から2018年9月期は10月に広島、12月に東京(京橋、八王子)の合計3拠点を開設したほか、2拠点が開設準備中となっている。このうち、広島の物件については2017年7月に業務提携したティーケーピー<3479>との協業第1号案件となる。同物件は、2017年2月まで物販店舗であった場所をTKPが賃貸契約してコンバージョンし、同物件の3階から6階までを貸会議室・宴会場「TKPガーデンシティ広島駅前大橋」として運営、1階から2階をコワーキングスペースとしてfabbitが運営する格好となる。利用料金は1人月額2万円程度とし、500契約を目標としている。今後も全国の主要都市で好物件があれば協業していく予定となっている。同社はレンタルオフィス、ティーケーピーは貸会議場、宴会場の運営とサービスは棲み分けされているため、共同運営の物件は今後も増えていくことが予想される。

コワーキング事業の収益モデルとしては、サブリースと同じで不動産オーナーから施設を借り、それを顧客であるスタートアップ企業等に貸し出す格好となる。また、部屋の貸出しだけでなく、事務機器や情報通信機器等のレンタルも行っている。賃料としては通常家賃の2倍程度の価格で提供するため、一定の稼働率を維持できれば高い収益性を期待できることになる。2018年9月期の売上規模としては拠点数の拡大もあって、前期の約2億円から3〜4億円程度まで伸びる可能性がある。ただ、先行投資負担も継続するため、利益貢献は早くても2019年9月期以降となる見通しだ。

また、同社ではコワーキング事業の海外展開も見据えており、その一環として米国・ボストン地域でのコワーキング運営でトップの実績を持つWORKBAR LLC.と資本業務提携を2017年11月に締結した。今後は互いのノウハウを共有し、ブランド力を高めながらボストン地域だけでなく、その他の米国市場、アジア市場などへの展開を進めていくことを視野に入れている。

(4) 各種シェアリングサービス
民泊サービスについては2018年6月に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されるのを前にして、最大マーケットである東京23区内において民泊条例が成立または条例案の骨子が出始めている。新宿区や世田谷区など大半の区では住宅エリアでの平日営業が禁止となる見通しで、賃貸事業としては成り立たなくなる。このため、同社ではこうしたエリアを除いた地域で事業展開を進めていくことになりそうだ。

一方、ecobike(シェアサイクル)については2018年中にサービス開始を予定している。駐輪場に関してはアパマンショップの各店舗の空きスペースのほか、不動産オーナーが保有する物件で空いている駐輪場スペース等の活用も想定している。不動産オーナーにとっては駐輪料金を得られることになる。

その他、ストレージサービスについては実績としてやや伸び悩んでいるようだ。不動産オーナーにとっては、入居率が高水準であればあえてストレージ用に転用する必要性もないことが要因のようだ。パーキングサービスについては引き続き駐車場の契約台数を着実に増やしていく計画となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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