ダイコク電 Research Memo(4):当面は不透明感が残るものの、中期的には事業拡大の好機
[18/01/19]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■ダイコク電機<6430>の業界環境
パチンコ業界は、遊技人口の減少、低貸玉化への流れ、消費税増税の影響などを受けて厳しい環境が続いている。特に、2015年に業界における自主規制(高射幸性機種の制限等)がパチンコ及びパチスロ遊技機の両方で実施されると、2016年に入ってからも「検定機と性能が異なる可能性のあるぱちんこ遊技機」回収・撤去の問題が動き出し、業界全体が停滞感に覆われてきた。さらに2017年9月4日には「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則及び遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の一部を改正する規則」(施行期日2018年2月1日、以下「規則改正」と略)※が公布されると、業界に対する悲観的な見方や先行き不透明感により、混沌とした状況が継続している。
※今回の「規則改正」で、例えば、遊技機の最大出玉が抑制され、管理遊技機の規格が明記された。ただ、しばらくは旧基準機と新基準機が併存することとなり、また、経過措置のあり方など、現時点では決定していない事項も多い。したがって、パチンコホールにとっては、業績悪化への懸念のほか、機種の入れ替えのタイミングなど難しい判断が必要とされ、それが投資意欲の冷え込み(慎重な姿勢)につながっていると言える。
警察庁によれば、パチンコ店舗数は年々減少傾向にあり、2011年から2016年の間で年平均2.3%減となっている。2016年のパチンコ店舗数は10,986店舗(前年比324店舗減)であるが、2017年3月期の同社のホールコンピュータ顧客数は同社の推定で約35%のシェアであることからユーザー店舗数は約3,900店舗と推定される。同社の顧客層は地域1番の優良店が多く、1店舗当たりの平均設置台数も警察庁発表の全国平均411.9台と比べて3割ほど多い519.1台と大型店舗が多いことから、比較的景気変動に対する抵抗力が強く、投資余力にも優れているとみられる。
一方、遊技台数については、パチスロ遊技機が増加しているものの、パチンコ遊技機が減少していることから全体ではほぼ横ばいで推移しており、店舗数の減少と合わせると、店舗の大型化が示されている。スケールメリットが生かされる店舗の大型化は、機能性や付加価値による高い投資効果を訴求できる同社にとっては追い風と考えられる。
ただ、同社推計による市場規模(総粗利ベース)で見ると、店舗数と同様、年々縮小傾向にあることから、パチンコ・パチスロ1台当たりの粗利は減少しており、店舗の大型化が進むなかでも、ホール経営は厳しい局面を迎えている。また、2016年12月15日に成立したIR推進法※を契機として、ギャンブル等依存症(のめり込み)への対策が推進されており、業界にとっては新たな課題となっている。過去においても、射幸性の高い機種の制限が一時的な客離れを引き起こし、約1年間は厳しい市場環境が続いた。今回の一連の動きについても業界に大きな影響を及ぼしているが、別の見方をすれば、業界淘汰を含め、射幸性に頼らないホール経営に転換が進むものと考えられる。また、過去の業績低迷期については2〜3年後には底打ちしており、今回についても、体力のあるホールを中心として業界の転換や活性化が進んでいけば、中期的には回復に向かうものと期待される。
※正式名称は、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律。同法は、許可を受けた民間事業者が、カジノ、会議場、ホテルなどが一体となった施設を国が認定した「特定複合観光施設区域」に限って設置できるよう、政府が法律の施行後1年以内をめどに必要な法制上の措置を講じなければならないと規定している。この成立を契機に、幅広く、公営競技やパチンコについて、ギャンブル等依存症への対策が推進されている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
<MH>
パチンコ業界は、遊技人口の減少、低貸玉化への流れ、消費税増税の影響などを受けて厳しい環境が続いている。特に、2015年に業界における自主規制(高射幸性機種の制限等)がパチンコ及びパチスロ遊技機の両方で実施されると、2016年に入ってからも「検定機と性能が異なる可能性のあるぱちんこ遊技機」回収・撤去の問題が動き出し、業界全体が停滞感に覆われてきた。さらに2017年9月4日には「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則及び遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の一部を改正する規則」(施行期日2018年2月1日、以下「規則改正」と略)※が公布されると、業界に対する悲観的な見方や先行き不透明感により、混沌とした状況が継続している。
※今回の「規則改正」で、例えば、遊技機の最大出玉が抑制され、管理遊技機の規格が明記された。ただ、しばらくは旧基準機と新基準機が併存することとなり、また、経過措置のあり方など、現時点では決定していない事項も多い。したがって、パチンコホールにとっては、業績悪化への懸念のほか、機種の入れ替えのタイミングなど難しい判断が必要とされ、それが投資意欲の冷え込み(慎重な姿勢)につながっていると言える。
警察庁によれば、パチンコ店舗数は年々減少傾向にあり、2011年から2016年の間で年平均2.3%減となっている。2016年のパチンコ店舗数は10,986店舗(前年比324店舗減)であるが、2017年3月期の同社のホールコンピュータ顧客数は同社の推定で約35%のシェアであることからユーザー店舗数は約3,900店舗と推定される。同社の顧客層は地域1番の優良店が多く、1店舗当たりの平均設置台数も警察庁発表の全国平均411.9台と比べて3割ほど多い519.1台と大型店舗が多いことから、比較的景気変動に対する抵抗力が強く、投資余力にも優れているとみられる。
一方、遊技台数については、パチスロ遊技機が増加しているものの、パチンコ遊技機が減少していることから全体ではほぼ横ばいで推移しており、店舗数の減少と合わせると、店舗の大型化が示されている。スケールメリットが生かされる店舗の大型化は、機能性や付加価値による高い投資効果を訴求できる同社にとっては追い風と考えられる。
ただ、同社推計による市場規模(総粗利ベース)で見ると、店舗数と同様、年々縮小傾向にあることから、パチンコ・パチスロ1台当たりの粗利は減少しており、店舗の大型化が進むなかでも、ホール経営は厳しい局面を迎えている。また、2016年12月15日に成立したIR推進法※を契機として、ギャンブル等依存症(のめり込み)への対策が推進されており、業界にとっては新たな課題となっている。過去においても、射幸性の高い機種の制限が一時的な客離れを引き起こし、約1年間は厳しい市場環境が続いた。今回の一連の動きについても業界に大きな影響を及ぼしているが、別の見方をすれば、業界淘汰を含め、射幸性に頼らないホール経営に転換が進むものと考えられる。また、過去の業績低迷期については2〜3年後には底打ちしており、今回についても、体力のあるホールを中心として業界の転換や活性化が進んでいけば、中期的には回復に向かうものと期待される。
※正式名称は、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律。同法は、許可を受けた民間事業者が、カジノ、会議場、ホテルなどが一体となった施設を国が認定した「特定複合観光施設区域」に限って設置できるよう、政府が法律の施行後1年以内をめどに必要な法制上の措置を講じなければならないと規定している。この成立を契機に、幅広く、公営競技やパチンコについて、ギャンブル等依存症への対策が推進されている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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