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アイビーシー Research Memo(11):市場拡大基調で中期的に事業環境良好

注目トピックス 日本株
■アイビーシー<3920>の中長期成長戦略

パソコンや携帯電話といった身近なツールから、高性能サーバや大規模データセンター、さらに最近では家電や自動車まで、あらゆる機器がネットワークでつながろうとしている時代にあって、ネットワークシステムが正しく稼働するように見守り、障害の発生を未然に防ぐことは、企業や官公庁などのあらゆる組織にとって極めて重要な危機管理策の1つとなっている。

IDC Japanの調べによると、国内のシステム性能・稼働監視ソフトウェア市場規模は2012年〜2016年で年平均4%超の成長となり、市場は拡大基調である。ITシステムの仮想化やクラウドへの移行に併せて新たな稼働監視システムを導入する企業が増加している。さらに今後はITオペレーション分析の需要拡大、アプリケーションパフォーマンス管理ソフトのSaaS(Software as a Service)移行などが市場成長を後押しすると予想されており、中期的に事業環境は良好だろう。

クラウドコンピューティングやビッグデータの活用、リソースの仮想化などの技術が浸透して、ネットワークシステム全体が一段と高度化・複雑化かつブラックボックス化している状況を考慮すれば、100社を超えるマルチベンダー対応や解析ノウハウ蓄積に強みを持つ同社製品の競争優位性が一段と鮮明化することが予想される。中期成長期待が高まる。

こうした中期的に良好な事業環境下で、進化を続ける「System Answer」シリーズを中心に、他社との協業によるサービス領域の拡大(IBCソリューションの拡充)を推進するとともに、マーケットの変化に対応したサービスの積極的な提供による成長を目指す方針だ。成長戦略としては「新製品発売」「成長分野進出」「サービス領域拡大」を掲げている。

情報監視に対応した「System Answer」シリーズの新製品として、2017年7月にシステム情報監視ソフトウェア「System Answer G3」を発売した。

同社製品は創業以来、システムが正しく動いているかどうかを監視し、問題が発生した際にどこで発生したのかを検知・把握する「死活監視」「状態監視」のための「保守ツール」から、性能上問題がないかどうかを分析し、障害が発生する前に問題点を検知して適切な対処を施す「性能監視」のための「収集ツール」へと発展してきた。そして今後は、コンピュータやネットワークシステムを維持・改善するための根拠ある「判断ツール」として活用できる「情報監視」機能を備えた製品が求められると考え、情報監視に対応した新製品「System Answer G3」を開発・発売した。

「情報監視」とは、コンピュータやネットワークシステム運用時に発生する様々な問題を、的確に判断するための情報や根拠をいち早く把握するための監視手法である。具体的には機器の履歴管理、高負荷時の影響度把握、監視の見落とし防止、派生アラートの集約、監視の自動化、仮想化監視機能の強化、API機能(自動レポーティング機能、外部プログラム連携機能)などである。

新製品「System Answer G3」は、情報監視作業の大部分をツールが自動で行うため、一般的な監視システムで問題となる「情報収集漏れ」「分析ノウハウ不足」「監視作業の負荷増大」を解消でき、大規模システムへの対応も可能というメリットがある。今後は継続的にオプション機能の充実も進める方針だ。

なお新製品「System Answer G3」の販売・普及については、「System Answer G2」シリーズを利用している既存顧客の切り替えと新規顧客の積み上げの両面から進む見通しである。ただし顧客ごとに違う契約やシステム見直し時期に切り替えの検討が行われるため、順次本格化するイメージとしている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)



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