ドーン Research Memo(1):2018年5月期は増収増益決算に向けて2本柱のクラウド事業と受託開発が足元順調
[18/02/19]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
ドーン<2303>は、地理情報システム(GIS)を活用したシステムの開発・販売を行う企業である。中央省庁や地方自治体、電力会社などでの採用実績が多く、信頼性の要求されるシステムに定評がある。GISエンジンソフトのライセンス販売や受託開発を長年にわたり事業の柱としてきたが、近年はクラウド型サービスで業績を伸ばしている。
1. 注目事業・サービス
同社の近年の成長の原動力となっているのが、クラウド型サービス「NET119緊急通報システム」である。聴覚や発話に障がいのある人のためのシステムであり、スマートフォン・携帯電話のインターネット接続機能を利用して、簡単に素早く119番通報することができる。急病やケガ、地震災害や火災などの緊急時に、自宅からの通報はもちろん、GPS機能を利用しているため外出先からも通報でき、受信側はすぐに居場所を特定できる。操作性の良さやシステムとしての信頼性の高さが評価され、兵庫県神戸市や埼玉県川口市などを皮切りに導入が進み、2015年12 月には東京消防庁、2016年10月には大阪市消防局で稼働が開始し、全国の自治体への横展開に弾みがついている。同システムが導入されている消防本部の管轄人口は約3,950万人(2017年11月末現在)、人口カバー率は約30%であり、2020年5月期に50%まで高めたい、さらには東京五輪・パラリンピックを控え同システムの全国的な普及推進を加速するという政府の方針にも応えていきたい考えだ。同システムはクラウド型サービスであり、顧客である自治体にとっては自前で運営する場合と比較してコストが安く運営の手間もかからないというメリットがある。
2. 2018年5月期第2四半期実績
2018年5月期第2四半期の売上高は273百万円(前年同期比3.6%減)、営業損失4百万円(前年同期は7百万円の営業利益)、経常損失2百万円(前年同期は11百万円の経常利益)、四半期純損失2百万円(前年同期は7百万円の四半期純利益)と減収減益となった。売上高に関しては、「NET119緊急通報システム」を始めとする防災関連のクラウド利用料収入が順調に増加したものの、上期に納期となる受託開発案件が前期よりも少なかったため、全体としてわずかに減収となった。利益に関しては赤字となったが、下期に納期を迎える受託開発案件が控えており、懸念するに当たらない。全体として同社内の上期計画(非公開)どおりの業績であり、順調に推移していると言えるだろう。
3. 2018年5月期の業績予想
2018年5月期通期の業績予想は、売上高で前期比5.3%増の830百万円、営業利益で同20.0%増の150百万円、経常利益で同17.6%増の154百万円、当期純利益で同16.9%増の104百万円と増収増益の期初予想を据え置いた。下期に納期を迎える受託開発は、官需を中心に計画どおりの仕上がり。民需では電力系・通信系のみならず鉄道系の受託開発も加わり、顧客業界が広がっている。クラウド事業は、「NET119緊急通報システム」の自治体横展開が着実に進捗しており、安定的な業績の積み増しが期待できる。
4. 次代を担う事業・サービス
主力の「NET119緊急通報システム」以外のクラウドサービスもエリア拡大へ動き出している。防犯アプリは事件発生情報や不審者情報、特殊詐欺情報(オレオレ詐欺など)などを地図上に表示する機能や、あらかじめ設定した近親者のメールアドレスに送信できる機能等を備えたものであり、警視庁のほか、愛知県警などにも採用が進んでいる。このほかにもNTTドコモ<9437>の「イマドコサーチ」への事件情報コンテンツ提供、災害情報システム「DMaCS(ディーマックス)」など、ある自治体での採用から始まり、実績が認められて他の自治体に横展開されるケースが増加しており、複数のクラウドサービスが成長期に移行しそうだ。
■Key Points
・2018年5月期第2四半期は減収減益も計画通り。受託開発の上期納期分が少なかったことが主要因
・2018年5月期は増収増益決算に向けて2本柱のクラウド事業と受託開発が足元順調
・主力の「NET119緊急通報システム」以外のクラウドサービスもエリア拡大へ
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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ドーン<2303>は、地理情報システム(GIS)を活用したシステムの開発・販売を行う企業である。中央省庁や地方自治体、電力会社などでの採用実績が多く、信頼性の要求されるシステムに定評がある。GISエンジンソフトのライセンス販売や受託開発を長年にわたり事業の柱としてきたが、近年はクラウド型サービスで業績を伸ばしている。
1. 注目事業・サービス
同社の近年の成長の原動力となっているのが、クラウド型サービス「NET119緊急通報システム」である。聴覚や発話に障がいのある人のためのシステムであり、スマートフォン・携帯電話のインターネット接続機能を利用して、簡単に素早く119番通報することができる。急病やケガ、地震災害や火災などの緊急時に、自宅からの通報はもちろん、GPS機能を利用しているため外出先からも通報でき、受信側はすぐに居場所を特定できる。操作性の良さやシステムとしての信頼性の高さが評価され、兵庫県神戸市や埼玉県川口市などを皮切りに導入が進み、2015年12 月には東京消防庁、2016年10月には大阪市消防局で稼働が開始し、全国の自治体への横展開に弾みがついている。同システムが導入されている消防本部の管轄人口は約3,950万人(2017年11月末現在)、人口カバー率は約30%であり、2020年5月期に50%まで高めたい、さらには東京五輪・パラリンピックを控え同システムの全国的な普及推進を加速するという政府の方針にも応えていきたい考えだ。同システムはクラウド型サービスであり、顧客である自治体にとっては自前で運営する場合と比較してコストが安く運営の手間もかからないというメリットがある。
2. 2018年5月期第2四半期実績
2018年5月期第2四半期の売上高は273百万円(前年同期比3.6%減)、営業損失4百万円(前年同期は7百万円の営業利益)、経常損失2百万円(前年同期は11百万円の経常利益)、四半期純損失2百万円(前年同期は7百万円の四半期純利益)と減収減益となった。売上高に関しては、「NET119緊急通報システム」を始めとする防災関連のクラウド利用料収入が順調に増加したものの、上期に納期となる受託開発案件が前期よりも少なかったため、全体としてわずかに減収となった。利益に関しては赤字となったが、下期に納期を迎える受託開発案件が控えており、懸念するに当たらない。全体として同社内の上期計画(非公開)どおりの業績であり、順調に推移していると言えるだろう。
3. 2018年5月期の業績予想
2018年5月期通期の業績予想は、売上高で前期比5.3%増の830百万円、営業利益で同20.0%増の150百万円、経常利益で同17.6%増の154百万円、当期純利益で同16.9%増の104百万円と増収増益の期初予想を据え置いた。下期に納期を迎える受託開発は、官需を中心に計画どおりの仕上がり。民需では電力系・通信系のみならず鉄道系の受託開発も加わり、顧客業界が広がっている。クラウド事業は、「NET119緊急通報システム」の自治体横展開が着実に進捗しており、安定的な業績の積み増しが期待できる。
4. 次代を担う事業・サービス
主力の「NET119緊急通報システム」以外のクラウドサービスもエリア拡大へ動き出している。防犯アプリは事件発生情報や不審者情報、特殊詐欺情報(オレオレ詐欺など)などを地図上に表示する機能や、あらかじめ設定した近親者のメールアドレスに送信できる機能等を備えたものであり、警視庁のほか、愛知県警などにも採用が進んでいる。このほかにもNTTドコモ<9437>の「イマドコサーチ」への事件情報コンテンツ提供、災害情報システム「DMaCS(ディーマックス)」など、ある自治体での採用から始まり、実績が認められて他の自治体に横展開されるケースが増加しており、複数のクラウドサービスが成長期に移行しそうだ。
■Key Points
・2018年5月期第2四半期は減収減益も計画通り。受託開発の上期納期分が少なかったことが主要因
・2018年5月期は増収増益決算に向けて2本柱のクラウド事業と受託開発が足元順調
・主力の「NET119緊急通報システム」以外のクラウドサービスもエリア拡大へ
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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