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TKP Research Memo(5):先行費用をこなしながら足元業績は順調に拡大

注目トピックス 日本株
■決算概要

1. 2018年2月期第3四半期(累計)の業績
ティーケーピー<3479>の2018年2月期第3四半期(累計)の連結業績は、売上高が前年同期比29.0%増の21,301百万円、営業利益が同17.0%増の3,042百万円、経常利益が同12.8%増の2,821百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同47.6%増の1,984百万円と順調に拡大し、売上高、利益ともに過去最高(第3四半期累計ベース)を更新した。

売上高は、上位3グレードを軸とした拠点数やホテル事業※1の拡大に加えて、周辺サービス(宿泊や料飲等)の取り込みによる付加価値の向上が増収に寄与した。また、2017年9月に子会社化したメジャースの連結効果※2も上乗せ要因となっている。グレード別の内訳を見ると、上位3グレードの伸びが大きいほか、宿泊施設も大きく拡大。サービス別でも、主力である「会議室料」の伸びはもちろん、それ以上に「料飲」や「宿泊」の伸びが大きく、その結果、「会議室料」の構成比率(依存度)は52.7%(前年同期は58.9%)に低下している。すなわち、同社が目指す高付加価値化が順調に進展していると言える。

※1 前期出店したアパホテル2拠点(札幌駅北口、日暮里駅前)が期初から寄与したほか、2017年4月にオープンした「アジュール竹芝」も増収に貢献した。特に、客室数の多いアパホテル日暮里駅前による貢献度(売上高及び利益ともに)が大きかったようだ。
※2 メジャースによる第3四半期業績への寄与は、売上高が約336百万円、営業利益が約8百万円であった。


利益面では、単価向上や稼働率の高まりにより原価率が改善。一方、販管費は、今後の事業拡大に向けた人員増強を前倒しで行ったことから、人件費及び採用教育費など先行費用が利益を圧迫したものの、増収効果や原価率の改善により営業増益を確保した(営業利益率は若干低下)。一方、経常利益の伸びが比較的緩やかなのは、事業拡大に必要な資金枠(シンジケートローン)を確保したことに伴う手数料によるものである。したがって、全体を総括すれば、先行費用をこなしながら過去最高益(第3四半期累計ベース)を更新したものと評価できる。

財政状態については、新規出店やホテル事業の拡大、大塚家具との業務・資本提携等により、総資産が前期末比23.6%増の29,857百万円※に拡大した一方、株式上場に伴う公募増資(約16億円)や利益剰余金の積み上げなどに伴い、自己資本も同96.8%増の8,716百万円に大きく拡大したことから、自己資本比率は29.2%(前期末は18.3%)に改善。有利子負債についても前期末比2.6%増の17,043百万円に若干増加した。特筆すべきは、公募増資などに伴って「現金・預金」が増加したことに加え、シンジケートローンによる資金調達枠の設定により約200億円規模の投資余力(流動性の高い資産を含む)を確保していることである。同社では、環境の変化やそれに伴う事業機会等に迅速に対応するためとしているが、今後の動きにも注意が必要である。

※業務・資本提携に伴う大塚家具株式(約10億円程度)、2017年12月にオープンした西葛西ホテル(約7億円程度)、新規出店に伴う敷金(約7億円程度)と推定。


2. 四半期業績の推移
四半期業績の推移で見ても、第3四半期の売上高は過去最高(四半期ベース)を更新している。特筆すべきは、季節要因※により業績依存度の高かった第1四半期の売上高を超えたことである。これは、前述したように、株式上場や営業力の増強による効果に加えて、上位グレードの拡充や周辺サービスへの展開、ホテル事業の拡大、イベントプロデュース事業への参入(メジャースの子会社化)等を背景として、様々な需要(用途)に対応できるようになり、満遍なく案件を取り込んできたことの証左と言える。したがって、これまでの季節要因は構造的に解消に向かっていくものとみられる。

※貸会議室ビジネスにおいては、新人研修などの需要が大きい4〜5月(第1四半期)への業績依存度が高い。


一方、利益面では、四半期ごとのばらつきが見られるものの、全体的な利益水準の底上げは明らかであり、第3四半期の営業利益も前年同期(2017年2月期第3四半期)を大きく上回っている。特に、高付加価値戦略の進展により、単価向上や稼働を高めてきたことで原価率が大きく改善し、その結果、人件費や採用教育費など先行費用をこなしながらも増益基調を確保していると評価できる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



<NB>

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