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インテリックス Research Memo(2):中古マンションの再生流通事業となるリノヴェックスマンションが収益の柱

注目トピックス 日本株
■事業概要

1. 事業セグメントの内容
インテリックス<8940>は中古マンションを戸別に仕入れ、リノベーション(再生)した後に再販するリノヴェックスマンションを収益柱としている。事業セグメントは、中古マンション再生流通事業(リノヴェックスマンション事業)とその他不動産事業とに区分されており、2018年5月期第2四半期累計の事業別構成比で見ると、中古マンション再生流通事業が売上高の85.5%、営業利益の78.1%を占める主力事業となっている。

(1) 中古マンション再生流通事業
中古マンション再生流通事業には、リノヴェックスマンション販売のほか、保有マンションの賃貸収入及びその他収入(不動産仲介手数料等)が含まれるが、その大半はリノヴェックスマンションの販売となる。

事業の流れとしては、不動産仲介会社から仕入れた物件に対し、子会社の(株)インテリックス空間設計で最適なリノベーションプランを作成し、内装工事を施した上で不動産仲介会社を通じて販売している。

同社では物件を仕入れてから販売までの事業期間を経営管理指標として重視しており、120日程度を目安としてこれよりも期間が長引くようであれば販売価格の調整を行い、早期に売り切ることを基本方針としている。販売在庫の滞留期間が長期化すれば、収益性が低下するリスクも上昇するためだ。販売に関しては市場のトレンドを把握するため、一部の物件を子会社の(株)インテリックス住宅販売を通じて最終顧客に販売している。また、内装工事に関しては、現段階ではほぼ協力会社に外注している。

販売エリアは首都圏を中心に展開してきたが、2013年以降は地方主要都市(札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡)の開拓を積極的に進めている。首都圏では参入企業の増加に伴い競争が激化する一方で、地方ではリノベーションマンションを手掛ける企業がまだ少なく、シェア開拓余地が大きいことが背景にある。リノヴェックスマンションの販売件数に占める地方エリアの構成比で見ると、2013年5月期の2.7%から2018年5月期第2四半期累計では47.0%まで上昇しているが、同社では地方の比率を中期的に50%程度まで引き上げていく方針を示している。全国に中古マンションのストックは約600万戸あり、そのうち首都圏は約300万戸と半分を占めており、市場全体の構成比まで地方の比率を引き上げていくことは可能と見ている。また、同事業の売上総利益率については、12〜13%を適正水準として事業運営を行っている。

(2) その他不動産事業
その他不動産事業には、新築マンションの分譲販売やオフィスビル、戸建・土地の仕入販売、賃貸不動産収入、その他収入(リノベーション内装事業、不動産仲介手数料収入)などが含まれる。また、2015年4月より事業を開始したアセットシェアリング事業や2017年5月期第4四半期から開始したリースバック事業も同セグメントに含まれる。

アセットシェアリング事業とは、不動産特定共同事業法(通称:不特法)のうち「任意組合型」の活用による不動産小口化商品の販売事業を指す。同商品の特徴は、新築・中古を問わず良質な不動産物件を共同所有により、1口100万円単位(5口以上:500万円以上)で取得可能なこと、共同所有することで空室・滞納リスクを分散でき、安定収益が期待できること、相続・贈与用資産として資産評価の大幅な圧縮が可能なこと、などが挙げられる。

特に、相続・贈与対策として利便性が高い商品であることが強みとなる。具体的には、実物不動産を小口化した商品なので、相続人の状況に応じて柔軟に遺産分割できる商品であること、不動産価格と相続税評価額との開きがあるため、キャッシュを実物不動産に変えることで、相続財産の圧縮が図れること、不動産収益を納税資金として貯蓄し、納税で必要となる分だけを分割して売却することが可能であること、などが挙げられる。

なお、不動産物件の管理については、子会社の(株)インテリックスプロパティで行う。グループ全体としては小口化販売によるフロー収益に加えて、任意組合の理事長フィーやプロパティマネジメントによるストック収益が見込めることになる。一方、投資家の期待収益率としては、分配予定利回り※で3%以上を目安として、商品を組成していく方針となっている。

※賃料収入から実際に発生する経費(管理費等)を控除した年間収入÷投資額


同事業では青山財産ネットワークス<8929>やFPG<7148>など先行する事業者もあるが、同社は不動産業者として今まで構築してきたネットワークやノウハウを生かすことで競争力の高い商品を開発できる強みがある。このため、今後は認知度の向上を図るとともに、税理士をはじめとした士業ルート等の販売チャネルの多様化を進めることで事業を拡大していく考えだ。

また、リースバック事業とは、ユーザーから所有不動産を同社が買い取ると同時に、定期建物賃貸借契約(2年間)を新たに結び、そのまま賃貸(リース)するサービスのことを指す。ユーザーにとっては、相続税資金や老後の資金、ローン返済資金などまとまった資金が必要な際に、所有不動産を売却しても住み続けることが可能なサービスとなり、潜在的なニーズは大きいと見ている。ユーザーは2年後に、再契約し居住を延長するか退出、もしくは所有不動産を買い戻す選択ができる契約となっている。売上高としては賃貸料や契約手数料のほか、物件を販売した場合は販売収入が計上されることになる。買い取った不動産は有形固定資産に計上し減価償却費もかかるため事業開始から2年程度は減価償却費が先行することになるが、3年目以降から徐々に収益貢献してくるものと予想される。賃貸料が定期的に入ってくるため買取件数が拡大していけば、収益の安定性向上に寄与するほか、物件の新たな仕入ルートとしても期待できることになる。

リースバック事業ではハウスドゥ<3457>が先行し事業を拡大しているが、同社でも販売チャネルとして士業や金融機関との連携を図ることで顧客開拓を進めていく戦略となっている。なお、2018年5月期の買取件数は150件を目標としている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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